2017年もいよいよ8月ということで既に足元の相場は夏枯れがかなり進んでいるようにも見えます。
例年8月は市場参加者が減ることから相場もそれほど大きくは動かないものですが、実はこの8月はアノマリーの特異月といってもいいぐらい様々なアノマリーが存在することになります。
あまり動かない時間帯ではありますが、どんなアノマリーが存在するのかについて今回はご紹介していきます。
そもそもアノマリーとは何か?
厳密にいいますとアノマリーというのは、
一定の法則や理論から見たときに異常や例外、あるいは説明がつかない事象のことをいいます。
株や為替の世界におけるアノマリーは異常というよりは説明のつかないことに使われている
のがほとんどです。
理論的な根拠を示すことができないけれども一定以上の確率をもっており、あたる可能性の多い動きというふうに理解すればいいのではないでしょうか。
アノマリーには時間軸の時期性によるものが多いのですが、株などでは銘柄属性によるアノマリーも登場することがあるようです。
実はアストロロジー(占星術)にもアノマリーが存在し、一定の星座の条件で相場がどうなるといった予測がでることもあります。
今回ここでご紹介するのはもっぱら8月という時期が絡むアノマリーということになります。
8月米国株式相場の下落
まずは、米国株式相場の8月での下落です。最近ドル円とNYダウの連動性は薄れていますが、それでもダウが大きく下落すると為替にも応分の影響がでるものです。
以前は9月に下落することが多かったのですがここ10年ぐらいは明らかに8月のほうが下落が大きくなっています。
今年も7月はかなり株価が全体的に上伸していますから、夏休みの前に一旦利益確定をしてしっかり実現益を確保しておきたいという投資家心理が重なりあってこうした動きになることがあるようです。
また足元では相場が高値を継続しすぎている状況ですから、とにかく一旦撤退しておこうという判断が働いていることもこのような動きとなって現れていることがわかります。
8月日本株式相場の下落
米株式が下落するとなればお付き合いしないわけにいかないのが日本の株式相場の8月下落です。
実は下落幅はダウよりも日経平均のほうが明らかに大きくなりますが、こちらも夏枯れでお盆前には市場参加者が激減することから元気のない相場で下落することが極めて多くなります。
ただし、ここ数年の相場は下落すれば日銀がETFを買ってくれるようになっていますから、昔ほど闇雲に下がる相場になっていないこともまた事実です。閑散に売りなしなどということわざがあるように本来は閑散相場は大きく下げないものですが、米国のダウが下がれば一緒に下がることだけは間違いありませんから、実はドル円相場にはこの日経平均の下げのほうが大きな影響を与えることがあります。
8月ドル円相場の下落
多くの方がすでにご存知かもしれないのが8月のドル円相場の下落です。よく月初と月末の相場だけ比較しますとたいして下がっていないというケースが多いのですが、お盆にかけて本邦勢がお休みになる時期に仕掛け売りと見られるような下押しが結構でることがあります。
これも確実に毎年とまでは行きませんが、かなりの確率で相場は下落しますので注意が必要です。今年は11日が山の日で金曜日ですがお休みですし、明けて14日月曜日、15日火曜日あたりもほとんど実働しませんので、このあたりに注意が必要になります。
もちろん毎年というわけではありませんが、ドル円でも平気でこの時期に5円程度動くことがありますからあまり軽く考えずに注意することが必要です。8月15日には毎年米国債券の利払いが発生しますので、この時期にあわせてドル円ではドル売りが徐々にでることも多く、これがある程度アノマリーを裏付けているという市場参加者も存在するようです。
8月豪ドル円相場の下落
8月下落でまったくその理由が釈然としないのがここ数年における豪ドル円の相場です。
7月までかなり堅調に推移していても8月にはいりますと急激に上値が重くなるという特異な減少が起きているのです。
本当はこれにも確固たる理由が存在して、我々投資家だけが気がついていないだけなのかもしれませんが、南半球は気候が逆さまで何かそうしたこととも関係があるのではないかなどという憶測も飛び交っています。
したがって豪ドル円をロングで持っていて利がのっている方はこの時期に一回利益確定をしてもう一度参入のチャンスを狙ったほうが確実といえます。
折角の利益はあくまで利食い千人力ですからしっかりとキープして夏の終わりを待つのがベストといえるでしょう。
10年に一度の今年の8月限定アノマリー
これはすでにこのコラムでもご紹介済みですが、7のつく年というのは7月まで米国の株式相場は堅調ながらその後には大きな調整が入りやすいというアノマリーです。
2007年はサブプライムローン問題で8月以降調整が入り、結果的に大暴落を示現したのはそこから1年後の2008年の9月となりましたが、調整は入りやすい時期になります。1997年はアジア通貨危機がありましたし1987年はブラックマンデーがあり、厳しい下落を経験することになっています。ただ、8月に限定できるかというとちょっと明確ではないのが現状です。
大統領就任の年の7月後半からの下落
もはや7月後半ですが、7のつく年とは別に大統領が就任した年の7月まではなんとか株価がもっても8月以降は大きく下落することがあるというアノマリーです。このアノマリーにはおまけがありまして、民主党から共和党に政権が移った大統領就任年はとくに大きく下落することが記録されているというのです。
2001年の場合には9月11日にWTCでテロがありましたから8月というよりは9月にこの動きの拍車がかかっていますが、8月以降から徐々に下がり始めたこともあったようですから、気を抜けない時期にさしかかることになります。
上昇より圧倒的に暴落のほうが多いのが8月のアノマリー
ドル円ロングとしてみれば上昇に見えるともいえますが、この時期のアノマリーはやはり一番多いのが大幅下落のアノマリーということになります。
米国はリーマンショックの下落から8月でついに98ヶ月の景気拡大ということで、これまでの平均の58ヶ月を大幅に更新していますから、正直なところ、8月であろうが9月であろうが大きく下落する可能性が常に高くなってきているといえますが、8月だけとってみてもこれだけよろしくないアノマリーが隣接した状況になっていますので、本当に起こるかどうかは別としてもまさかの下落に備えることだけはしておいたほうがよさそうです。
ひとつは長くロングのポジションを持たないことや、タイトなストップロスをおくことで万が一の下落でも証拠金を守るといった基本的な防衛策が必要になるのは言うまでもありません。
さすがにいつ下落するかわからないけれどずっとショートを持っているというのはやりすぎ感満載ですが、上に行くか下に行くかが50%の確率のFX相場でアノマリーの確率が80%から90%に近くなる場合はとにかく一旦乗ってみても悪くはないかもしれません。
ドル円はアノマリーとは別に米国の10年債金利の動きにかなり連動して推移していますので、アノマリーをある程度信じるにしてもこの金利の状況だけは確かめてから売買していくのがお勧めとなります。
また株式相場は上昇してもドル円がしっかりついていくことは少なくなっているものの、下落のときには相当影響を受けることになりますから、8月の株価動向にも十分注意することが必要になります。
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