イエレン議長発言起因のリスクオン相場は長く続かない

2016年3月29日に実施された米国FRBイエレン議長の議会講演を受けて、相場は一転し4月の利上げ期待は大きく後退、下手をすれば6月すら利上げは慎重という見通しとなったことからドルは各主要通貨で大きく売られることとなりました。

イエレン議長はこの講演の席上、中国の減速原油価格の下落を二大リスクとして具体的に指し示しており、この簡単には改善しない2つのリスクのおかげで利上げは当分進行しないという市場の認識をさらに高める結果となってしまいました。

これにより、その後相場は大きくリスクオンへと動くようになってしまい、まさにイエレン議長がバブルの守護神と呼ばれるだけのことはある独特な状況を示現させることとなりました。

しかし、こうした状況が今後もリスクオンを継続させることになるとは到底思えず、かなり慎重に対応することが望まれる相場になってきているのです。

資源国・新興国株価が大きくリバウンド

イエレン発言を受けて米国のS&Pが大きく上昇したのは既に多くの方がご認識されているとおりですが、それとともに世界的な市場では資源国、新興国の株価が大きく上昇し、明確なイエレン発言起因のリスクオン相場が展開し始めています。個別にはコモディティ価格も上昇するものがあり、明らかに米国の利上げ後退を歓迎した動きが示現していることがわかります。

ペルー、ブラジル、カザフスタンなどが軒並み上昇している状況は顕著であり、米国の利上げ状況がいかに資源国と新興国の経済に影響を与えるものとなっているのかを改めて認識させられる次第となっています。
気になるのはこうした相場状況が需給の改善から生じているものではなく、あくまでセンチメントによるものだということです。

※資源国・新興国株価騰落ランキング
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リスク資産売却の好機と言い始めた新債券王ガンドラック

イエレン講演のあと、その直後に新興国のリスク資産を売却し、その保有比率を大きく下げたと発表した新債券王ジェフリーガンドラックの発言に注目が集まっています。

ダブルラインキャピタルのCEOを勤める彼は長く債券王を呼ばれたビルグロスを凌駕し、ここ1~2年は悉く相場状況を見抜く、相場の当たり屋として市場で大きくクローズアップされている存在です。その彼がイエレン講演に対し、とにかく議長発言は驚くほどハト派的発言を連発しており、市場の先行きが全く見通せていないことがわかるとコメントしたことは大きく注目されました。

また、今後米ドルはさらに弱くなるとも予想しており、ドル安圧力はさらに高まったとも指摘しています。

このタイミングはリスク資産を売る好機でもあるとしており、まもなくリスク資産が下落に転じる可能性も仄めかしている状況です。同氏はこのタイミングに1月から進めてきたリスク資産投資の大きな部分を売却しており、身をもって相場の転換期を市場に示唆する動きをとったことになります。

イエレン・リスクオンの恩恵を全く受けないのが日本の株式市場

ところで上述の騰落率の中で大きく下落しているランキングの方に登場しているのが日本のTOPIX日経平均株価です。

ウクライナや中国、イタリアなどはそれぞれに個別の事情を抱える国ですから米国の利上げ観測後退が起きたから株価が上がるほど単純な構造ではないことはすぐに理解できますが、先進国の中では日本がその仲間にしっかり入ってしまっており株価の下落幅はTOPIXでも日経平均でも非常に大きなものになりつつあります。
しかもこの数字は3月30日時点ですから、4月に入っての東証の大幅な株価下落を加味すればさらにその騰落率は大きなものになってくることがわかります。

理由は至極簡単で、ドル高是正が円高へと明確にシフトしていることが大きな理由であり、しかも同時期に発表となった日銀短観の内容の悪さも株式相場からの資金撤退を助長する結果となってしまっています。

特にこの日銀短観の中で目を引くのは、経済見通しの悪さもさることながら、国内の製造業各社の社内における想定為替レートが117.46円と極めて高く設定されていることです。

これは次年度の予算を策定する段階であった1月初旬の相場を参考にしているものと思われますが、為替相場は日銀がマイナス金利を発表した1月29日に瞬間的に121円台を回復して以降一度たりとも115円台に戻すことはなく、年度初めから多くの製造業の想定為替レート以下で相場が推移していることは非常に気にかかる部分ともいえます。

3年にもおよぶ政権と日銀による金融抑圧政策の実施で、為替と株価に下駄を履かせてもらうことが常道化してしまったことが経営者の感覚を狂わせているのではないかと思うほどこのレートは相場の実態レートとはかけ離れており、足元で110円台を割るかどうかをためしている現況とはかなり乖離があることは明らかです。

このままでは第一四半期終了段階から各社の決算は下方修正必至であり、個別株の実態相場として下落が見込まれる状況が想定されることになります。

外国人投資家の日本株市場からの撤退は数字でも明確に示現

このコラムで、どうやら外人投資筋は日本売りをはじめたようだということを書きましたが、外国人投資家の日本株売りは東証が発表するデータの中でももはや明確であり、年初からの外国人の日本株売りは現物と先物で5兆1872億円と、とうとう5兆円を超える規模にまで膨らむこととなりました。

※外国人投資家売買動向
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とくに顕著なのは昨年夏の段階ではSWFが行った現物株の売却とともに先物も売られ、ヘッジファンドなどが短期的に売り浴びせを行っていたことが窺われたわけですが、この年初からの売りは実に96.4%が現物株による実需売りに集約されており、一時的な売りトレンドというよりは日本株に対する外人投資家の評価が大きく変わったことを暗に示唆する内容となっていることがわかります。

日本株については4月の日銀の追加緩和期待や伊勢志摩サミットを前にした大規模な財政出動の発表、さらに消費増税の先送りなどが大きな支援材料となって株価は戻すと見る向きもありますが、本当にこうした材料で外国人投資家の期待を回復できるのかどうかにはかなり疑問も残されることになります。

したがって、市場にリスクオンが来ようとリスクオフに転換しようとも日本の株相場にはほとんど関係はなく、根本が解決しない限り売りは続き、悪いファクターについてだけはその影響を大きく受けてさらに売られることが予想されます。

一部のメディアが指摘するようにアベノミクスに対する興味と日本株投資への妙味が薄れたことが大きな原因とする説はどうやらまんざら嘘ではない状況が到来してきているようです。

参議院選挙年は選挙前に景気が鈍化するアノマリーも

国内の調査機関の分析によりますと、1992年以降の過去8回の参院選挙前の景気状況を分析すると、ほぼ前年春にピークアウトした市場は、奇しくも参議院選挙にあわせて下降をたどり、夏場に向けてボトムを形成するパターンが殆どであることがわかります。

これは1995年1万4000円の日経平均が年末2万円になったV字回復相場でも同様で、政権は選挙前に株や為替の相場をなんとか修正して上向きにしたところで選挙に臨みたいところでしょうが、現実はまったくそうなっていないことがわかります。

昨今の相場状況でいいますと、材料出つくしは売りの大きなサインとなることも多く、黒田バズーカ、財政出動、増税延期という3段重ねの政策はドラギ総裁が大失敗を犯した3月のECB緩和にも似た打ち止め感を醸成しかねない状況にも見えてきます。

なにより市場活性化の再来はあくまで外国人投資家次第であることから、こうした政策が彼らにどう見えるかが重要となりそうです。米国の金融政策がどう展開しようとも、悪い影響しか受けないのが日本の株式市場の現況であり、見方によっては新興国よりもその状況はかなり厳しいともいえそうです。

足元のイエレンバブルは長く続かない

さて、ジェフリー・ガンドラックが指摘するように、イエレン議長のハト派発言で実態経済へのインパクトとは別にリスクオンのセンチメントだけ高まることとなりましたが、これで何かが変わったわけではありませんし、米国の利上げが行われれば結果的には再度このセンチメントの再巻き戻しが発生することは間違いない状況です。

かねてからガンドラックは原油先物相場は戻しても1バレル45ドル程度でそれ以上の上昇はありえないと指摘してきましたが、相場はかなり彼の予測に近い状況で推移しており、足元では減産合意がかなり遠のいたことからまたしてもWTI原油先物は30ドル台での神経質な推移へと逆戻りしています。

新債券王のリスク資産売却の薦めは市場でもかなり高い関心を呼んでおり、市場で成功している投資家ほど相場の下落展開に神経質になり始めていることをはっきりと示唆しています。

イエレン議長の発言から妙なリスクオンを招いたこの相場も早晩下落局面に陥ることは間違いないようで、FRBは米国の株価を見て政策を決めているのではないかとの揶揄も出るほど、彼らは株価の動きには神経質になっているようですからS&Pが再下落を始めるとなると米国の利上げはさらに後退するものの、それだけでは相場は元に戻らない可能性が高まることになります。中央銀行主導のバブルはそれが崩壊し始めても一気に瓦解することは少なく時間をかけてだめになるという見方が多くなってきていますが、多くの相場関係者はそのタイミングを見計らい始めているようで、為替もドル円をはじめとして上昇よりも明らかに下落に対する準備をしておくことが肝要な相場状況になってきています。

まとめとして

米国の利上げタイミングはよくも悪くも世界的に市場に大きな影響を与えていますが、その時期が後退することでリスクオンになってもなんら実態経済に変化はなく、やがて相場は元に戻ることが予想されるため、非常に注意が必要であることがわかります。

なにより日本株とドル円はそうしたFRBの政策によるリスクオンの恩恵すら受けられない厳しい状況にあり、悪いことがあればデメリットだけは影響を受けることになってしまう点には相当気を使う必要がありそうです。

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ABOUTこの記事をかいた人

PN 今市 太郎

外資系コンサルティングファーム、外資系生命保険会社を経て独立ビジネスコンサルタントとしてビジネスプロセスコンサルティング、クラウドコンピューティングのリプレイスメントや海外のファンドのM&A投資コンサルティングなどに従事。 そのため、株の売買はインサイダーにならないようにFXだけに特化し2007年から本格的に売買をスタートし、9年の実績。 現在は月間5000PIPSから8000PIPS程度をコンスタントに獲得できるように日々精進している。