ドル円相場はどこまで上昇するのか?疑心暗鬼の師走相場を分析

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怒涛の11月為替相場を経て、いよいよ12月、師走相場が始まっていますが、ファンダメンタルズではほとのど説明のつかないような動きが継続しており、チャートからも強気を示すものと必ずしもそうでもないものが混在しはじめ、この相場の先行きを予想するのがかなり難しくなってきています。

今回はドル円のさらなる上昇に向けてのポジティブポイントネガティブポイントについて整理してみていくことにしたいと思います。

1.ポジティブポイントについて

まずはプラスポイントのほうから整理してみることにしますと・・

1-1.雇用統計では一旦調整も依然堅調

米労働省が12月2日に発表した米雇用統計では、失業率は4.6%と予想外に10月の4.9%からさらに低下し2007年8月来の低水準となりました。
また非農業部門雇用者数は前月比+17.8万人と事前の市場予想とほぼ一致して買われるかと思ったものの、10月分は+14.2万人へ+16.1万人から下方修正されたことが嫌気された部分もあったようです。

一方平均時給は前月比‐0.1%と、予想外に2014年12月以来のマイナスに落ち込み、前年比でみても+2.5%と、予想外に10月2.8%から低下し8月来の低水準となったことが嫌気され113.300円レベルまで下落する局面がありました。

しかし下値では買いたい向きがかなり待ち構えていたようで、大きく崩れることなく週の取引を終えています。

また依然として戻り売りをする個人投資家が多いことから、下落してもそれ以上下げないと見ると反対売買に転じることから、この戻り売りの流れが続く限りここからも大きな下落が示現しにくい相場展開が継続しそうな状況となってきています。

※雇用統計前後のドル円チャート
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1-2.月足の20ヶ月移動平均を上抜けたドル円

このコラムでも何度かご紹介していますが、ドル円の月足20ヶ月移動平均線を11月末のNY市場において若干ですが上抜けて終了しています。

この時点での20ヶ月移動平均線は114.34円レベルでしたが、終り値は114.40円ですから明確というほどではないにしても今年2月以来下落トレンドを形成していたドル円がとうとう今回の大幅上昇で上向きのトレンドへと変換したことを示唆するものとして注目される状況となっています。

この指標はヘッジファンド勢なども非常に関心を持ってみているものであり、今後ドル円をロングに転じるファンド勢も多くなるものと思われます。

※ドル円月足20ヶ月移動平均
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1-3.IMMの通貨ポジションでも投機筋はドル円ロングに転じる

CFTCが12月2日に発表した29日時点の建玉報告によれば、CMEの通貨先物市場で投機筋のドル円のロングは269枚と前回の1万900枚のショートからロングに転換しています。

このIMMの通貨ポジションは昨年12月以来ずっと投機筋のショートが溜まり続けてきましたが、ここへきてやっとロングへ転換していますから、まだまだ上昇の余地があることがわかります。

これまでのところ、このポジションがロングに傾けば確実にドル円は上昇した実績があり、ロングの積み上げ状況から見ればまだまだドル円の上値追いの可能性があることを示唆しているといえます。

上述の月足の20ヶ月移動平均も含めて投機筋はドル円がこれからまだまだ上がると見ていることは確実のようです。

1-4.実現が本格化してきた本国投資法(HIA)

もうひとつトランプ政権で強力なドル高をもたらしそうなのが、本国投資法の問題です。

この法律はブッシュ政権で時限立法として実施された経緯がありますが、今回もこれが実施される可能性が高まっているのです。本来海外から資金を米国本国に戻すには法人税35%がかかることになりますが、この法律が施行された場合には、税率が10%以下とか5%程度などになることから、多くの資金のレパトリエーションが実現することになります。

上述のブッシュ政権時には年間で2千億ドル、現在のレートで20兆円規模の資金還流があったとされていますから、すべてがドル円ではないにせよドル高をサポートする要因として機能する可能性がきわめて高くなるといえます。

財政支出についてはその原資をどこからもってくるかで議会ともめそうですが、こうしたレパトリ促進策については実現が可能となりやすく、ドル円の上昇支援要因であることは間違いありません。

こうしたファクトをベースにして考えますと、ドル円はそう簡単には下落しない動きが継続しそうであることが見えてきます。

2.ネガティブポイントについて

一方、相場としてはそれほど青天井ではない要素もではじめてきています。

2-1.ドルインデックスはすでにピークアウトの様相

ドル円だけみますと異常とも思えるドル高ですが、実はほかのドルストレートを見るとそれほど過熱感のある上昇が進んでいるわけではないことがわかります。

しかもドルの高低を示すドルインデックスはすでにピークアウト状態であり、ドル全般をテクニカル的に判断した場合、ドル円がここからさらに上伸するのかどうかはかなり危ういものがあり、月足の20ヶ月移動平均の結果とは異なる状況が見えてきているのもまた事実となります。

※ドルインデックス
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2-2.トランプおよび政権の閣僚からドル高けん制がでる可能性

トランプ大統領が誕生して以来、当のトランプ氏はYouTubeとツイッターのみでコミュニケーションを行っており、メディアに登場して自分の意見を口にするといった動きは一切見せていないことから、ドル円もやりたい放題のドル高になっているのが現状です。

ただ、今回は大統領選にともなって大型の財政支出の可能性が高まったことから国債発行が増加するとの見方で国債が売られているのは間違いなく、自国に起因した問題で金利が上昇していますから、いきなりドル高円安で日本が敵視されることはないと思われますが、長期的には日銀黒田総裁が実施しはじめている国債の指値オペによる金利の0%への釘付け政策が問題になることは間違いなく、トランプ氏からそうしたけん制発言が出たとたんにドル円は売られるリスクも高まることになりそうです。

下手をすれば中国とともに為替操作国に認定されかねないだけに、早晩問題化するリスクは高まると思われます。

とくに為替についてはトランプ政権ではもっとも金のかからない政策ですから、就任後真っ先に口先介入してくることになるのではないでしょうか。

2-3.米国利上げによるリスクオフ相場の再燃

12月14日のFOMCにおける利上げはすでに市場の90%以上が織り込んでいますからもはや確実と見られていますが、新興国の通貨と株価は米国の利上げでかなりのダメージを受けようとしており、今年はじめのような新興国経済危機が再燃する可能性も残されています。

確かに国内市場は完全に織り込んでいますが、これ以上米国債の金利が上昇することになれば、新興国への影響はさらに大きくなり、株と為替の大幅下落から新興国危機がいきなり顕在化するリスクも考えておかなくてはなりません。この場合、ドル円もFOMCをピークにして円高に押し戻される危険性も残っているといえるのです。

このようにトランプ政権の人事が固まり始め、要人が様々な発言をしはじめますと、1月20日の就任を待たずにドル円については逆風が吹き始めることが考えられ、果たしてここから年末、クリスマス休暇も返上して米系のファンド勢が一気に120円レベルまで買い上げてしまうことに成功するのか、その前になんらかの横槍が入っていきなり下落に転じることになるのか、かなり微妙な時期にさしかかっていることがわかります。

ただ、チャートを見る限りにおいては、よほどの下落に対する力が働きませんとショートが溜まってはまた担ぎ上げられるの繰り返しになりかねず、売るにも売れない相場限界が継続していることから、とにかく上昇余地のあるうちはしっかりストップロスをおいて上昇についていくしか手がない状態となっています。

もはや迷いだしたらきりがないところにさしかかってきていますが、ポジティブ、ネガティブな要素を十分理解したうえでポジションをとっていかれることをお勧めします。


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