【ドル円上昇】21日以降にファンド勢が反対売買を仕掛ける可能性も

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9月2日に米国で発表されました雇用統計は市場の事前予想よりは悪い数字になり、3ヶ月平均でみれば大きな落ち込みではないものの、9月に積極的に利上げをしなければならない理由もなくなるというなかなか微妙な状況になってきています。株式市場はこれを好感して上昇することとなりましたが、為替相場のほうは一旦102円台に下落したものの再度上昇をするというなかなかわかりにくい相場展開となり、この先の動きをどう考えるのかがかなり難しくなってきています。

雇用統計結果は悪くもないが積極的に9月利上げできる数字でもない

米労働省が2日に発表した雇用統計によりますと、8月の非農業部門雇用者数(事業所調査、季節調整済み)は15万1000人増となりエコノミストの事前予想の18万人増を下回る結果となりました。

一方前月は27万5000人増に上方修正されており、過去三ヶ月平均は順調に維持できています。また失業率および労働参加率は前月比横ばいで、賃金の伸びは鈍化するという、なかなか投資家にとっては判断のしずらい内容となり、一旦はドル円は大きく売られ102.802円レベルまで下落しましたが、その後再度大きく買い戻されて104.317円と前日までの動きを上回るレベルまで上伸することとなりました。

※ドル円1分足推移チャート
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ビルグロースは9月利上げを確実視

ジャナス・キャピタル・グループでジャナス・グローバル・アンコンストレインド・ボンド・ファンドを運用する初代の債券王という異名をもつグロースはブルームバーグラジオとのインタビューで、利上げは9月になるだろう。100%確実だとは思わないが、100%に近いと思うと発言し、依然9月利上げ説をとなえています。

このような類いの雇用が決め手にならないのであれば、何が決め手になるのかあまり確信がないとも述べており、雇用がある意味で高原状態にあり、しかも株高は史上最高のレベルになっている中でFRBは何を躊躇するのか?といった見方を崩していません。

確かに利上げをすれば一定のネガティブなインパクトが示現することは間違いありませんが、これ以上利上げが実現できる完璧な環境がそろうのを待っていてもその機会を逸することになるという見方はある意味正しいともいえます。

市場では利上げ予想がわかれる展開

一方、株式相場は9月利上げが遠のいたとの見方から上昇することとなり、ISM製造業指数と合わせて考えると、9月利上げは選択肢から外れるといった見方が大勢となっています。とくに債券関連では利上げに対する織り込みは一段と低くなっており、毎回ご紹介しているフェデラルファンドレートのおりこみ確率でいいますと、9月は8月26日のジャクソンホール直後の数字よりもさらに下落し21%に留まる状態となっています。

※Fed Watch as of 902
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ただ、為替のほうはドル円を中心として既に104円台にまで回復する動きがでてきており、21日に向けてさらに上伸する可能性も高まりつつあります。
ただし、7月の高値107円台と2011年の安値75円台を結ぶ線など、かなりいくつもの上値抵抗線がここから105円までには存在しており、すんなり105円以上に相場が上昇するのはかなり至難の業に見えるのもまた事実です。

トランプの劣勢はFRBにとっては9月利上げの好材料か

これまで秋の大統領選挙を意識してFRBはなかなか利上げの決断を前倒しではできないのではないかといった見方が市場ではかなり強かったわけですが、
ここへきてトランプの支持率が下がりはじめ、大統領となる確率がかなり低下していることも利上げ前倒しの見方に大きく寄与しはじめています。

とはいえ、クリントンのほうも決して国民に好かれているわけではなく、ある種のだめ争いの領域に入ってきていますので、現時点では決定的な材料とはなっていないのもまた事実です。

利上げ予測をネタに相場を持ち上げようとするファンド勢

為替市場では9月利上げを信用しているかどうかは別として、これを利用してドル円相場を持ち上げようとする向きが存在しています。どうやら米系ファンドの一部がそうした動きを強くしているようで、9月第一週は東京タイム、ロンドンタイム、NYタイムと三つの主要市場で一貫してドル円が上昇することとなり、単に積みあがりすぎたドル円のショートの買い戻しがでただけでは説明がつかないほどドル円は買い上げられる状況となっています。

この動きが9月21日のFOMCで本当に利上げを確信しているからなのか、それを利用して相場を持ち上げようとしているだけなのかは判断できない状況ですが、投機筋である以上、買った為替は必ず売りで対応してくることから、同日に開催予定の日銀の政策決定会合を含めて買い上げを行って直前もしくは結果を受けて売り浴びせるつもりである可能性も否定できない状態です。

利上げが現実化すると株式相場は大荒れの展開か

現状における米国の株式市場はほとんどFRBの9月利上げを織り込んでいないのが実情で、ここから9月利上げの可能性が急激に高まることになりますと、8月高値を更新した相場はシーズナルサイクルもからんで大きく下落していくことが予想されます。これは日本の株価にも影響することとなり、為替は株価の下落に引きずられて下落していく可能性を考える必要もでてきているといえます。

そもそも昨年12月の0.25%の利上げではその後の株式市場は2ヶ月以上に渡って大きく低迷することになり、為替も下落を示現したのは記憶に新しいところです。年内2回というフィッシャー副議長の発言もどこまで現実のものになるかは不明ですが、利上げが単純にドル円を押し上げることにならない点にも十分な注意が必要になってきています。

9月21日同日開催の日銀政策決定会合も不透明感を増幅

ところでFOMCと同日開催の日銀の政策決定会合も、ジャクソンホールの講演以来一貫して追加緩和余地があることを強気で発言する黒田総裁の存在により相場のわかりにくさを増幅することとなっています。

米系メディアやファンド勢からは緩和の検証により、わからない形で緩和措置を後退させるのではないかとの観測も高まりましたが、どうやら今回の検証については、問題なかったという自画自賛に終始することになりそうで、ややもすればマイナス金利の深堀を持ち出してくることさえ想定され始めており、果たして市場がそれをどう評価するかが大きな注目点となります。

日銀がどのように自画自賛するにせよ、市場ではもはや量的緩和が限界に来ているという見方が強く、昨年12月の政策決定会合以降は、何を持ち出してきても市場の反応はきわめてネガティブであり、21日の政策決定会合でも市場が売りの反応をしてくるリスクが残ります。

FOMCの利上げのほうは可能性が高まれば事前にそれをかなり織り込んでしまいますのでひょっとすると米系ファンドが足元でドル円を買い上げているのは、これまでにも見られて日銀プレーで、21日に向けて買い上げておいていきなり反対売買をしかけるための準備と見ると相場のシナリオは突然わかりやすさを増すことになります。

今年2月11日の建国記念日も休日で為替介入がないことを見越してか為替は激しく売り込まれる形となり、9月も22日が秋分の日であることが非常に気になる日柄となっています。

ドル円は9月前半に上昇を維持し後半下落か

ここからの相場ですが、8月雇用統計の結果を受けてドル円がどんどん下落する可能性はかなり低く、思惑があって買い進めているファンド勢に先導されながらドル円は高値を維持することが容易に予想されます。

国内の輸出勢は102円台で年末までの為替の手当は9月第一週でかなり終えているように見受けられますが、ここからドル円が104円から105円に迫る形で上昇した場合には、再度売りを出してくる可能性はきわめて高く、ドル円の上昇はかなりいいところまで来ているように見えます。

8月の雇用統計で105円を突破するほどの力を見せなかっただけに、ここからは下げにくいものの上昇幅も限られた動きが継続するのではないでしょうか。一方21日の二つの中央銀行政策決定会合を経て後半ドル円は大きく売り込まれる可能性は依然否定できず、まさかのときに備えた戻り売りは依然として有効な手法になりそうです。

本邦の証券市場を中心にして秋口株も為替も再上昇を期待する声は高い状況ですが、少なくとも為替から見ますとそれほど明るい展望が開けているわけではないのが現実です。


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