参議院選挙後、大型経済対策期待で株と為替は本当に上昇するのか?

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2016071501

参議院選挙が大方の事前予想通り与党大勝で終わり、その後の相場がどう展開されることになるのか注目が集まりましたが、週明けの11日に正式に10兆円規模の経済対策の話が首相の口から飛び出した途端に日経平均もドル円も大きく値を戻す展開が続いています。

しかし、これで秋口まで相場は果たして上昇過程に乗ることができるのでしょうか?
今回はこの点に着目してみることにします。

ヘリマネの信望者バーナンキの来日も株価押上に寄与

11日の週は前FRB議長のバーナンキが来日し、黒田日銀総裁や安倍総理大臣とも会談をしたことから、市場は活気付きました。
なにしろバーナンキといえば学者の時代からヘリコプターマネーの信望者であることが知られていますので、今回も日本政府に積極的にヘリマネを実施してデフレからの完全脱却を薦めにきたことはほぼ間違いない状況といえます。

ヘリコプターマネーとは、ヘリコプターから市中に現金をばらまくかの如く、国民に直接カネを渡すことで、マネーサプライを大幅に増やす景気対策のことです。ベン・バーナンキ現FRB議長は、ヘリコプターマネーの強い賛成論者として知られています。
引用元:http://rh-guide.com/tokusyu/syohizei_herimane.html

今回の秋の財政出動にヘリマネが組み込まれるかどうかは足元ではまったく明確になっていませんが、確かに直接的に資金を配る形になれば一時的には内需を押し上げる力になることは間違いありません。90年代から何度となく日本は財政出動を行ってきましたが、デフレの回復はままなりませんでしたし、景気も当座は回復感がでたとしても長期で大きく流れを変えるドライバーにはなっていないのが現実です。

よりヘリマネ的な財政出動が期待されるのはこうしたところに理由があるのかもしれません。
特に今年利益がうまく出せていない海外のヘッジファンド勢がアベノミクス再来にかけて買上げているという噂も登場しはじめています。バーナンキの来日は特にこうしたファンドの関心と期待を高めることとなっているようです。
特に今年の前半の海外ヘッジファンドの利益は2009年以来の低レベルになってきており、解散するファンドも多いため決死の覚悟でアベノミクスに賭けているファンドが存在することはどうやら嘘ではないようです。

やたらとヘリマネの実行を進める外人エコノミスト勢

海外のエコノミストはこぞって日本に規律正しくヘリマネを実施することを推奨してきています。これはひとつには人の国で実証実験をしたいと思っている可能性が極めて高く、まず日本で行ってその効果を見ることと、その先に待ち受けているトンでもない事態を含めてとりあえず日本経済がなんとかもってるうちに自国の経済を回復させて逃げ切ろうとしているようにも見えてなりません。

先行きとんでもないことが待ち受ける実験を日本に薦めていることだけはほぼ間違いのない状況で、量的金融緩和の実施だけとってもてもデフレが脱却できるかどうかがよくわからない状況の中でさらなる実験に足を踏み入れて本当に大丈夫なのかという不安は、経済に詳しくない人が聞いても不安になる内容です。

ヘリマネの問題はその資金捻出方法にあり

2013年4月の黒田バズーカ以来、日銀は既に財政ファイナンス的なやり方で発行国債を買っては保有しつづけ、資金を市中にばら撒く方法を継続してとり続けています。

すでに保有国債は300兆円を超えており全体の3割近くにまで及んでいます。またETFも国内発行額の5割が日銀保有ということで、健全な市場が形成されているとは思えないようなやり方で経済を支え続けています。今回ヘリマネを実施する場合に囁かれ始めているのが、国債の償還期の撤廃です。これまで5年や10年と償還期の設定されていた国債を変更して償還期を撤廃し、ゼロ金利にしたところで日銀が購入し、そのまま金庫にしまったまま保有し続けるという魔法の錬金術を実施するのではないかという話が出始めています。

一見画期的な錬金術に見えますが、このようなことをして財政が健全化するとは到底思えませんし、なによりこれを無秩序に続ければ大変なインフレ、あるいは景気はよくないのにインフレだけ到来するスタグフレーションに陥る可能性がほぼ確実ともいえます。

海外のエコノミスト勢が規律正しくといってるのがこの点で、何も資金捻出に苦労をしなくて済み、しかも評判がいいとなれば、政権が何度でもこの方法を使いたがって何の歯止めもきかなくなる状況がやってくることは容易に予想されます。この秋に登場する経済対策にヘリマネが組み込まれることになるとその内容次第では賛否両論になることは間違いないものと思われます。

国内景気は過去3年のQQEを経てもかなりの逆戻り

参議院選挙ではアベノミクスは道半ばとされてきましたが、足元の相場状況でいえばドル円は既に黒田バズーカのスタート地点に極めて近いところに戻っていますし、株価もピークからは4000円~5000円の下落で、散々お金を使っておこなった金融緩和の割りにはその結果はほとんど剥落しかかっているのが現状です。

2015年12月に米国が利上げに踏み切ってからは完全にドル安政策が展開されるようになっており、もはやドル円は元には戻らない状況でここから110円にまで戻すのもかなり難しい状況に陥っています。そのため殆どの輸出系企業は企業収益を下押しすることが予想され、利益面から見ても日本株が上昇に転じるのはかなり難しいところに差し掛かってきています。ある意味でいえば、これまでたいした努力もしないままに株価を上げ、為替を切り下げたことにより企業収益に下駄を履かせることには成功したわけですが、ここからはその下駄履き分の蓄積内部留保金を吐き出す時間帯に差し掛かっているとも見えるわけです。

このことに既に気がついている外人投資家筋は積極的に日本株に投資を行わなくなっており、直近の相場の戻しでは売りを減少させる動きには転じていますが、相場が上昇するほどの買いに転換していない点が非常に気になるところです。

巷では7月29日に発表される日銀の政策決定会合でなんらかの緩和が今回こそはでるのではないかという勝手な期待が高まっていますが、経済対策が決定する以前の段階で、しかも米国FOMCで利上げがまたしても見送られようとしている中で、日銀だけが前倒しでこの7月に大幅な追加緩和をするかどうかはかなり疑問であり、政策を総動員すれば材料出尽くし、逆にたいした緩和措置でなければ失望売りで、まてしても相場下落の引き金を引きかねないほうにむしろ心配が集まります。

ここからは相場が本当に転換するのかどうかを見極める必要あり

さて、具体的な相場展開についてですが、BREXIT騒動後なぜか日本株だけ売り込まれた状況はなんとか1万6000円台を回復することでやっとそれ以前の水準に近いところまで戻ることができています。

しかしここから週足の26週MAである1万6444円程度の水準の明確に抜けていくことができないと転換点で下落を脱したとは言いがたく、また夏場に向けて再度下値を狙いに行く可能性が高まってしまいます。

財政出動が決まるのも秋の国会ですから織り込み済みで相場が上昇するとしてもタイムラグがあるところが気になります。逆にこの7~9月に政策発動までの間隙をぬって調整色が強まれば日経平均は1万4000円割れを再度試しにいってもテクニカル的にはおかしくはない状況です。

また為替のほうも100円割れから105円台まで戻しては来ていますがこちらも6月24日の高値であった106.84円を明確に抜けて上昇しない限りはトレンド相場を転換したとは言いがたく、せいぜいレンジに動くことはあると思われますが、ここから上値追いに変化する可能性は低くなりつつあります。仮に株価がなんらかの調整を受けた場合には一時的にドル円も100円を再度割り込んで94円レベルまで下押す可能性が高くなります。

またBOEは利下げを検討中ですから14日のMPCで利下げが行われるかどうかは不明としても、この夏どこかで利下げが実施されればもう一段下を目指すことは十分に考えられます。
その場合、ポンド円のターゲットは120円から116円とされており、ほぼその3分の1程度の下落がドル円に起こったとしてもやはり95円台を一旦つけに行くリスクを考えておく必要がありそうです。

こう考えていきますと、今回市場が期待している10兆円規模の経済対策のネタだけで秋口まで株も為替も相場が再度上昇するかどうかはかなり微妙であり、米国の大統領選挙などを考慮した場合、再度下値を狙うリスクのほうに注目すべきではないかと思われます。

だいたいのこうした政策期待は発表前に期待が膨らみ発表を見て買いが終了するのがこれまでのパターンであるため、ここから異常に期待を膨らませるのも逆にかなりのリスクになってしまいそうです。
石原担当大臣の記者会見では財源もまったく明確にはなっていないようですから、どこまで信用して相場が上げていくの判断が難しい状況です。
また久々に登場している海外のファンド勢もすべてが買い向かっているわけではないことから、高値で逆に売り浴びせがでることも想定しておく必要があります。

S&Pは市場最高値更新

ところで米国の株式市場は絶好調であり7月11日のNY市場はS&P500の終値が2137.16となり1年ぶりに高値を更新しています。

この日は取引時間中に2143.16まで上昇し、昨年5月20日のザラ場最高値の2134.72も上回る勢いとなっています。経済指標や労働指標を見て利上げを決めているといわれるFRBは、実はもっとも気にしているのが株価だとも言われており、市場最高を記録しているこの時期に利上げをしないで放置しておく可能性は低くなっているとも言え、市場の予測に反して米国が9月に利上げを行う可能性もまだ残されてきたといえます。

こうなると利上げ後米国の株価低迷→ドル円の円高へと回りまわってシフトが起きることも考えられ、今回の日本の財政出動一本で秋口まで株と為替が順調に回復するシナリオというものはそれほど強く描けない状況となってきているようです。むしろ相場が上昇した局面では売り場を探しておくのも利益確保の近道になる可能性さえ検討しておくことが求められます。

夏は毎年株価が低迷しますが、今年は参院選後にも相場が続伸しておりアノマリーとは異なる動きになってきていることからなかなか難しい売買を余儀なくされることになりそうです。


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