各国中央銀行のQE政策が引き起こす深刻な歪み~2016年はまさかの中央銀行バブル崩壊?

市場との対話失敗から追加金融緩和を実施してもユーロ安誘導ができなかったECBによる不発弾金融政策のおかげで、市場は想像をはるかに超えるほど痛んでしまい、年末に起死回生を試みようとしていたヘッジファンド勢も大方がユーロのウルトラショートカバーにより大打撃を受けていることが徐々に明らかになりつあります。

FOMCによる米国の利上げが年末最大のイベントとして残ってはいますが、事実上為替の年末相場は終了したとの声も聞かれ始めていている状況です。

相場の関心は既にクリスマス休暇以降の2016年へと完全に移りつつありますが、今回のECBの政策決定による市場誘導の失敗を含めて、中央銀行が無理やり実施している量的金融緩和による人工的な相場誘導というものが徐々に効かなくなりつつあり、むしろその効果よりも副作用がではじめていることが随所に露見しつつあり、2016年はこうした歪みを市場が自律的に解消する動きが生じるのではないかとの危機感が漂い始めています。

1.QEにもかかわらず金融市場の流動性は大幅に低下する矛盾が露呈

図1世界の流動性年次比較 出典 Yardeni Research
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12月4日に発表されている経済調査機関のYardeni Researchのリポートによりますと、米国はQEを終了しても市場から資金を引き上げないままの状態、かつ日本は2013年から継続してQE実施、さらに2015年にはECBもユーロ圏での積極的なQEを実施していて、引き続き市中には過剰流動性と思えるほどの資金がだぶついているはずであるにも係わらず、金融市場のリクイディティは明らかに低下傾向にあるという数字が示されています。

冷静に考えてみれば過去にはないほど未曾有の金融緩和で市場に資金が出回っているはずなのに、金融市場では逆に流動性が大きく低下しつつあるということはまったく説明がつかない状況といえます。

こうした状況の背景には既存の金融市場における各相場間の相関、逆相関という関係が完全にQEによって崩壊してしまったことが大きく影響を与えていることが推測される状況です。

2.株、債券、為替の市場相関は完全に崩壊状態

とくに深刻なのは債券市場の事実上の崩壊状態です。

たとえば国内市場を考えますと既に1050兆円も出回っているJGBの乱発市場はその3割をBOJが買い取り保有する形となっており、すでに金利は短期債から長期債まで悉く低下し、市場はまともに機能しなくなっています。

また欧州市場でもマイナス金利の導入という過去にない事態が繰り広げられた結果、債券市場はこれまでと異なる動きを見せることになり、特に今年4月の欧州債券市場の大幅な売り込まれは債券金利を暴騰させる結果となり、多くの債券ディーラーやヘッジファンドが莫大な損失をかかえることなってのは記憶に新しいところです。

これまで金融市場は、政策金利が上がれば債券が買われ、株価が下落し、為替は金利に追随する関係が維持されてきましたが、足元ではこの株と債券の逆相関は完全に崩壊し、債券市場はレベル感を失いつつあるのが現状です。

したがって債券が売られると株も売られるという不思議な相関が示現するようになり、結果として為替は株にも債券にも反応するため、どう動くのはは実際に動きはじめてみないと判らないという、かなり不思議な状況に陥ってきています。

こうした状況はこの年末に想定される米国の利上げ実施以降の相場見通しにも色濃く現れ始めており、市場はFOMC以降ドル円が上昇すると見る向きと、反対に下落すると見る向きの綱に引き合い状態で実際にどうなるかは利上げしてみないとわからないという非常に不透明な状況に陥りつつあるのです。

3.これまでの米国利上げ後の動きがベンチマークにならない状況に

FRBの利上げは金利正常化の一端に過ぎず大きな市場の混乱を招くことはないといった楽観論が聴かれますが、ゼロ金利に加え、過去3回に及ぶQEを実施した経験はFRBの歴史上にはなかったことであり、過去事例はまったく通用しないと見るべき状況にあります。

したがって2004年の利上げ後は株も為替もどう動いたという話はまったく今回乗り上げ後の動きには適用できないと見るべきであり、その後のFRBの利上げスピードとリーマンショック前のほぼ5倍に膨れ上がったバランスシートの縮小次第では、かつて経験したことのない世界的な市場の揺り戻しに直面する可能性も出てきているのです。

4.米国では金利が上がると間違いなく下がるのが企業業績

過去の事例をロジックにして語ることができない相場とはいうものの、間違いなく過去の事例が活かせる部分もあります。それは企業業績です。

米国では利上げの翌年は確実に企業業績が低下することがこれまでの実績として現れており、リーマンショック以降の金利の大幅な低下、つまりゼロ金利政策は企業業績の向上に寄与してきたことがわかります。

図2金利と企業業績の推移 出典 Barry Bannister
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ゼロ金利は企業にとっては、社債を発行し、その資金を元手にして自社株買いをすることにより株価を引き上げるというメソドロジーの展開にも大きく寄与してきたといえます。

過去3年間では米国企業では1年を通じて70億ドルから100億ドル近く自社株買いが行われてきましたが、金利の上昇が示現すればこうした動きも完全に止まることが危惧されるところです。

特に今年に関してはそれだけの自社株買いがあってもNYダウは殆ど上昇することができませんでしたから、株価を維持する仕組みを失うことになりかねないとも見えるわけです。

5.金利上昇で為替も上昇とは限らない相場展開

ゴールドマンサックスグループは、12月3日のECB理事会直前までユーロドルがパリティに向かうというきわめてベアリッシュな見通しを市場に提示していましたが、今回の政策決定会合を受けて、3カ月後と6カ月後、1年後のユーロ相場をそれぞれ1.07ドル、1.05ドル、1ドルと予想。従来の1.02ドル、1ドル、0.95ドルから引き上げています。

さらに2017年末の予想は0.9ドルと、従来の0.8ドルから上方修正しています。

とんだ見当違いと言ってしまえばそれまでですが、米国が利上げしようとしているこのタイミング、もっとも中央銀行の政策コントラストが明確な米ドルとユーロの相場だけみても金利差がすべてでその価格が形成されていないという事実があることは見逃すことができません。

6.エコノミストの相場予想が際立ってあてにならない2016年

既に2016年の為替相場の展望について各証券会社のエコノミスト、アナリストから様々な見通しが出始めていますが、平時でもろくに当たらないこうした証券会社のポジショントークがらみの予想は、2016年はますます信用できないものになりつつあることだけは認識しておく必要があります。

今年のドル円はほぼ10円という実に狭い幅での上下に終始しましたが、巷のエコノミストのドル円予想では来年は上限135円を口にする輩から100円方向まで実に35円程度の幅で出ており、どれを信じるか真剣に考えても意味はなくなりつつあります。

ただ、ひとつだけ判っているのは、長年の先進国中央銀行のQE政策で水面下において市場が既にかなり壊れていること、ならびに何かをきっかけにして猛烈な揺り戻しが発生しそうな状況が至近に迫っているということです。

為替という投資の性格上、いつ起こるかわからない相場の大幅下落に備えて常にショートでポジションを持っているなどということはできませんが、少なくとも2016年はこれまでの官製相場のようにドル円は下がれば買い、ユーロドルは上げたら戻り売りというほど簡単にはいかないことだけは間違いないようです。

一般的に、金融市場では下落した相場の底値を当てるのはそれほど難しくないといわれますが、逆に暴落を見抜くのはかなり難しいのが実情です。

リーマンショックもサブプライムでおかしくなってからかなりの時間が経過しており、常にショートではいられない時期が長く続きました。

唯一個人投資家にできるのはタイトなストップロスを置くことで過分な損失を招かないこと以外にはない状態ですが、歴代の相場の大富豪は必ず下落局面に投資できる資金をしっかり確保しているのが共通する特徴となっています。

個人もまさかのときに出動できる余剰資金をどのように確保しておくかは来年の相場では結構重要なポイントになるかもしれません。

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2 件のコメント

  • 今年の3月から株を始めた初心者です。数字には弱いですが、経済ニュースなどが好きです。郵政があるので、呑気にトピックスブル2倍、メガバンクを保有してました。8月の急落にあい、色々調べてこのブログに出会いました。いつも拝読させて頂き、今回は水曜日にリートの利確と三トラの損切りをしました。後は現金とダブルインバース、低位小型株、ヘルスケアリートだけです。先生のおかげで余裕を持って楽しんでます。ジリ貧ですが、JPX400の投信も始め、自分のレベルにあった亀のコツコツさんになろうと思います。
    本当にこんな良い指針はありません。特に底値で資金を入れるという言葉は見に染みました。グレンコアとハイイードル債は指標を示して頂きありがとうございます。まずはお礼を申し上げます。
    このブログをずっと続けて頂けるようお願い申し上げます。

    • ご覧頂きまして誠にありがとうございます。
      また、記事がお役にたてたようで何よりです。
      今後も有益な情報を発信できるように頑張ります。

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    ABOUTこの記事をかいた人

    PN 今市 太郎

    外資系コンサルティングファーム、外資系生命保険会社を経て独立ビジネスコンサルタントとしてビジネスプロセスコンサルティング、クラウドコンピューティングのリプレイスメントや海外のファンドのM&A投資コンサルティングなどに従事。 そのため、株の売買はインサイダーにならないようにFXだけに特化し2007年から本格的に売買をスタートし、9年の実績。 現在は月間5000PIPSから8000PIPS程度をコンスタントに獲得できるように日々精進している。