米国、2015年9月に利上げは本当に行われるのか

1.雇用統計の堅調で9月利上げの確実性が高まったが

ロックハート連銀総裁
(ロックハート連銀総裁)
Photo:Reuters
http://jp.reuters.com/article/2015/08/04/fed-atlanta-us-economy-idJPKCN0Q924V20150804

8月第一週に発表された米国雇用統計(7月分)は市場予測を下回りNFPが21.5万人となりましたが、前月数字が改善したことや20万人以上をキープしたことなどから9月の利上げ説が急浮上することとなり、ドル高が全般に続いたのとは裏腹に株式市場は世界的に利上げを織り込み下落する動きを強めています。

FOMCメンバーである各地区連銀総裁の発言もこれを加速させる動きとなっており、特に中立とされてきたアトランタ連銀のロックハート総裁が9月こそが利上げの適切な時期、FRBは短期金利引き上げ準備間近と言及したことが9月利上げ説を益々説得力のあるものにすることとなりました。

2.中国のいきなりの元切り下げで先行きは見通せなくなっている

PBOC
(PBOC)
Photo Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-MOVRJH6JIJV601.html

ところが8月11日、中国人民銀行(PBOC)がいきなり中国元の対ドルレートを切下げたことから市場ではかなりの混乱が広がりました
特に都合連続3日切下げは4.6%となったことから、為替市場は投げと踏みの欧州で表面的に見えている以上に相場の疲弊が進む結果となりました。

一節にはIMFのSDR入りのために始めたアクティビティであるという見方もありますが、逆に株買い支えのために外貨準備率を大幅に減らした中国がこのままではなっていけないことから、意識的に進めてきた元高を改めて、切り下げに動いているとの見方もあり、そもそもこうした動きは習金平が9月に訪米する際に行われる可能性があると見ていた向きには、その前倒しの実施は驚きをもって迎えられることとなりました。

本邦サイドからはPBOCは何を考えているかわからないといった声もありますが、実際PBOCはかなり日銀のやり方を研究しており、米系の投機筋からはPBOCのやり口はBOJそっくりで単に真似ているだけだとの指摘もあります。

翻って考えて見ますと日本円はアベノミクスと呼ばれる金融抑圧政策がスタートしてからすでに対ドルで50%以上もの切下げを行っているわけですから、PBOCの切り下げが4.6%足らずは済むと思うのはかなり楽観的で今後10%近くまで切り下げてくることも十分考えられる状況となっています。

また、PBOCは既に金融機関に対して地方債の購入を通じて資金を供給しはじめており、その資金で政府系のファンドが株価PKOに動いて前回の大幅株価下落を支えるのに使っているとの報道も出始めています。

これは明らかに日本のBOJを模倣したQEとPKOの動きであり、まだまだ株価と景気のために為替をいじる可能性があることを強く示唆しているといえるのです。

3.9月は例年もっとも米国ダウが下押しする月

ダウ月次平均騰落率
(ダウ月次平均騰落率)

ブルームバーグ、FRBデータをもとにしてニッセイアセットマネジメントがまとめた1971年1月から2014年9月までのNYダウ月次平均当落率は過去43年近くを通して9月がもっとも下落することが分ってきています。

普通にしていても株式相場が下落する9月という時期で、さらに中国の動きが不安定となっている中、果たしてFRBは本当に利上げに踏み切ることができるのかが大きく注目されています。

現在FRBを中心とした中央銀行はスタンレーフィッシャーFRB副議長を頂点とするMIT人脈で構成されており、その戦略的支柱を形成しているのがローレンス・サマーズ元・財務長官の長期停滞論であるとされています。

サマーズ氏は今年1月のダボス会議で、

「今年利上げをしようとする米当局は、困難に直面するだろう。海外の経済の弱さと米国内のインフレの鈍さが理由だ。脅威がはっきりするまではインフレとの闘いを始めるべきではないし、それはまだまだ先のことだ。圧力が差し引きでデフレの方にかかっている限り、行動を考えるべきではない」

と発言し、2月9日の英フィナンシャル・タイムズに「インフレの兆候がハッキリするまで米利上げは急がずに」という論文まで投稿しています。

サマーズのMITの恩師でもあるスタンレーフィッシャーもこの考え方をとっていることから、果たしてひとりだけイェール大学出身のイエレン議長がこうしたMIT人脈の流れとは別に9月にとりあえずアリバイ的な利上げに踏み切れるのかどうかも大きなポイントとなってきます。

4.金融業界で大きな利益を収めている著名投資家が挙って利上げに危惧する市場

またFRBによる利上げの動きについては、金融市場で大きな利益を上げてきた有名投資家が挙ってそのリスクを口にするようになっていることも見逃せません。

レイダリオ
Photo Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NLDP1E6JTSE801.html

米国で最大級の利益を上げ続けているブリッジウォーター・アソシエイツのレイ・ダリオ↑は米連邦準備制度の利上げペースが速過ぎる場合、1937年と同じような相場の大幅下落を引き起こすリスクがあると、自らの投資家顧客に対してレターの中で警告しており、FOMCメンバーからも注目される存在となっています。

レイ・ダリオは2008年のリーマンショックのときにもわざわざ財務省まで訪問してそのリスクを説いたものの誰からも聞き入れられずに大きな暴落となってしまった経緯もあり、地区連銀の総裁の一部はレイ・ダリオの忠告に非常に影響を受けているとも言われています。

ガンドラック
Photo Bloomberg
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NNK2866K50XU01.html

またビル・グロースに代わって新債券王と呼ばれるようになったダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラック↑は、「FRBの年内利上げはない」と述べており、こちらも市場に大きな影響を与えています。

これまで大きな利益を金融市場で上げてきた重鎮であればあるほどこの利上げに反対しているところが実に気になるところといえます。

5.単に利上げではなく大幅な政策変更だけに何が起きるか分らないのが実情

金融関係者の中には年内1回の利上げで2.5%ないし1.25%といった金利上昇が示現してもたいした影響はないと見ている筋も多く存在するようですが、これは単なる一回だけの利上げではなく10年ぶりの金融政策の変更であり、特に2004年のグリーンスパン議長時代の利上げと違って、市中にはQEで驚くほどの資金が投入された後の利上げだけに、どのような動きが起きるのかは、やってみないと分かりません。

そのあたりをレイ・ダリオなどは非常に危惧していると言われています。
実際金利上昇を目前に控えて、米国ではハイイールド債、つまりジャンク債の流動性が極めて落ち込むこととなっており、ハイリスクなのにローリターンという状況が示現しはじめていますし、適格債と呼ばれる安全性とレベルの高い債券も大幅に売られるようになってきており、既に変化の兆しがではじめている状況です。

20150903_08
(ハイイールド債)

さらに、CRB指数というアメリカの商品先物取引所等で売買されている価格から算出される国際商品先物指数が最近になってリーマンショック後の最安値レベルにまで下落したことにも関心があつまっています。

世界的な物価や景気の先行指標、特にインフレ動向の先行指標として注目度が高いこのCRB指数が大幅下落になるということで市場が何を示唆しているのか危機感を募らせる関係者も多くなっているのです。

既にリスク資産からの資金の撤退が進んでいると見る向きも多く、仮に9月に米国の利上げが実施されれば、新興国の株式と通貨は想像以上の打撃を受ける可能性もでてきています。

実際高金利通貨として有名なトルコリラも何アランドも大幅な下落を継続させており、9月の利上げ時には一段安も考えられる状況です。

そこに中国の元切下げがのしかかってきているのが現状で、すでにアジア圏では新興国が挙って為替介入をはじめており、さながら世界通貨安戦争の新局面ともいえる展開が始まりつつあります。

IMFも既に米国に対して利上げを遅らせるように勧告を出していますが、果たして米国がこうした周辺国経済の状況をどこまで加味して利上げを検討するのかも大きなポイントになりつつあります。

たしかに今後の米国の政治日程などを考えれば9月を逃すと、今年は利上げのタイミングを逸する可能性もあるため、引き続き9月実施説の確率は高いです。
この時期に小額といえども利上げを実施した場合には想定外の動きがでることも考えられ、とくに為替市場ではドルが買われるのではなく、売られる展開すらも想定しておく必要が出てきていると言えます。

9月にむけてはこれを材料としてまた市場が活発に動いていくことが予想され、市場からは目が話せない状況が続きそうです。

\ついに完成/
FX三種の神器

「なぜこれが無料?」という声多数。
一撃100pipsは当たり前、初心者が迷わない唯一のツール&トレードマニュアル(PDF 32P)

さらにコアな情報をゲット
ブログ公式LINE@

ブログでは言えない稼げる投資情報を複数持っています。ご興味のある方はLINEで♪

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

佐藤 まさむね

ブログ管理人。FX歴2007年~、トレード手法で使うのは水平線、ダイバージェンス、ヒドゥンダイバージェンス、プライスアクション、フィボナッチ。FXの月間最高実績2500pips、最近は暗号(仮想)通貨にハマり主にアルトコインに分散投資中。FX&暗号通貨好きな方との情報交換を欲している。