日銀の金融緩和は罪なのか?考えられる負の連鎖

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る
※この記事は530で読むことが出来ます

20151201_01

最近何かと話題になる金融緩和という言葉。

アメリカや日本でも、金融緩和の話題は投資家の中で話題になっているのです。

そんな中、金融緩和を良い様には思わない人たちも次第に増え、様々な意見が出て賛否両論になっています。

果たして金融緩和は吉と出るのか?凶と出るのか?

1.初めての300兆円超え

マネタリーベース(資金供給量)の残高が初めて300兆円の大台を超えたと日本銀行が発表しました。
バブルが弾けた当事のマネタリーベースが、40兆円から60兆円だという事を考えれば、その量がいかに多いかが分かると思います。

これは、日本銀行が2013年4月に「量的・質的金融緩和」を導入した結果だといえます。
政府は、日本経済を長年苦しめてきたデフレからの脱却と、日本経済の回復を目的として、インフレターゲットを設定しました。

実際、マネタリーベースの増加速度は目を見張るものがあります。
2013年の3月は134兆円だったものが、2015年の5月には305兆8,771億円となったのです。

わずか2年程度で2倍以上になったのです。

しかも、これだけ増えた今も金融緩和が終わる気配はまだありません。

マネタリーベースの増加に伴って為替相場は円安に動き、日本を苦しめていた円高問題は落ち着きました。
株式市場も2013年の3月の始めには11,652円だったものが、2015年の5月の始まりには19,531円となっています。
株価は67%の上昇となっています。

指標で見ると、確実に経済は回復しています。

しかし、ここで問題となってくるのが、実体経済の景気は本当に回復しているのか?ということです。

2.デフレ脱却は可能なのか?

緩和の量に比べると、物価の上昇率は小さいと言われても仕方ありません。

その原因の一つとしてあげられるのが原油安です。

金融緩和によって為替相場は円安に動いているので、輸入物価は確実に高くなっていると考えられます。
その為、物価は上昇していると考えられるのですが、原油の価格下落が続いている結果、円安による物価上昇分を消してしまっているのです。

現状、デフレから脱却しているとは言い切れない状態が続いています。

3.白川前日銀総裁は何を思うのか?

安倍総裁は、白川前日銀総裁に対して、

「デフレと経済状況に対しての取り組みが慎重すぎる」

と、厳しい意見を投げかけました。

それに対しての白川前日銀総裁の意見は、金融緩和が問題の解決にはつながらないというものでした。

「日本経済の問題はデフレではなく、人口動態だ」

と述べたのです。

少子高齢化が進んだ結果、労働人口が減少し、それによって経済活動も縮小しているのだと自身の見解を述べ、日本経済における金融政策の無力さを説きました。

つまり、金融緩和をして市場にお金をばら撒き、インフレに導いても問題は解決されないというのです。

白川前日銀総裁と、現在の黒田日銀総裁、両者の見解は交わることがないようです。

黒田日銀総裁によって、日銀はそれまでのやり方を大きく変更して、量的緩和を開始しました。

結果、円は大きく円安に動き株価も驚くほどの速度で上昇していきました。
短期的に見れば、正解に見えなくもないのですが政策が正しかったと証明されるには、もう少し時間が必要です。

白川前日銀総裁は、講演で「インフレ誘導政策を採用すれば、様々な問題が起こる」と自身の考えを語っています。

金融緩和が日本経済の回復にはつながらないと考える白川前日銀総裁は、現在のマネタリーベースの数字に対して何を思っているのでしょう。

4.景気は回復しているのか?

日経平均は20,000円の大台も超えました。
株式市場は、リーマンショックによるダメージを受けた日々に比べれば、連日の大商いです。
一時は、1兆円をきっていた取引額も2兆円を超える日々が当たり前となっています。

しかし、本当に景気は回復しているのでしょうか?

確かに、一部の大手企業などではボーナスの額が増えているようですが、圧倒的に数が多いのは中小企業なのです。

そして、大多数の中小企業は大手企業のように利益を増やすことができていません。

一部の順調に利益が増えている中、小企業も景気回復に確信が持てない為、なかなか賃上げに踏み切ることがでないようです。
仮に、この状態で物価だけが上昇していったとなると、中小企業に勤めている人々の多くは給料が増えていないのに、物価が上昇する事になるので、物価上昇が大きな重荷となってしまいます。

5.雇用は増えているのか

非正規の労働者が増えた事により、所得格差の広がりが目立つようになってきました。

非正規雇用の増加は、経済にとって大きなリスクの一つといえます。
リーマンショックが起こり、経済状況が悪化した結果、多くの企業が派遣切りを行いました。
多くの人が派遣切りによって、仕事を失ってしまったのです。

その結果、多くの人が生活苦に悩まされる事になりました。
行き過ぎた金融市場の暴走が、全く関係ない人たちをも巻き込んだのです。

仕事を失ってしまえば、当然収入がなくなってしまうので、消費に回せるお金は減ることとなります。
その結果、流通するお金が減ることとなります。
無駄な消費ができなくなった人々が増え、その他の人も消費を控えます。
そうするとお金が正しく循環しない状態が続くこととなります。

お金は経済の血液なのです。

血液は留まったり、流れが悪いと病気になってしまいます。
経済も同じで、あまりにも血液(お金)の流れが悪いと様々な問題を引き起こす事になります。

6.未だに見えないゴール

世界各国が金融緩和をした結果、100年に1度といわれた金融危機を乗り切ったという風潮があります。
確かに、一時の状態からは抜け出しました。

しかし、経済は連続しています。

アクションを起こせば、必ず次のアクションが起こります。
アクションを起こした結果、必ず、それに対する反応が返ってきます。
その反応はすぐに返ってくる場合もあれば、少し遅れて新たな問題を引き連れてくる事もあります。
今回の世界各国が出した量的緩和というアクションに対しての答えはまだありません。

いつまでも増やし続ける事はできません。

必ず、どこかで締めなければいけないのです。

その「締める時」に最初の答えは出される事になるかもしれません。

そして、その答えが新たな問題になる恐れもあるのです。

まとめ

これだけ大規模な金融緩和をしてしまった今、もしも新たな金融危機が起こった場合、世界各国はどのようにして危機を切り抜ければいいのでしょう?

マネーがだぶついている状態で、新たな金融危機が起これば経済に悪影響を与えるほどのインフレが引き起こされるかもしれません。

行き過ぎたインフレが起これば、買えるものがどんどん減ってしまいます。

給料が上がらないのに、物価がどんどん上がっていく。

スタグフレーションが起こる事が予想されます。

これは、考えられる中でも最悪の事態といえます。

その時になって過去の政策に対して後悔しても遅すぎます。
もう少し緩和のスピードが遅ければと考えても意味がありません。
日本銀行は当然、その事を知っているはずです。

しかし、未だに出口は見えていません。

それでも、必ずどこかで緩和政策を終わらせなければいけません。
いつまでもマネーを増やし続ける事は不可能なのです。

今は、日銀が思い描く出口を信じるしかありません。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*