ポリティカルエコノミーとは!?2016年3月は政治が相場を左右する

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2月中盤にセリングクライマックスを迎えた日本株とドル円ですが、応分の利益を確保することのできた海外の短期投機筋は一旦買い戻しに転じ、日経平均は弱いながらも1万6000円台を維持して2月の最終週を終えようとしています。

またドル円もG20 を前に114円に迫るレベルまで戻しています。ただしドル円はダブルボトムのようなチャートに見えても2月16日の114.89円レベルを明確に超えない限りは上値切り下げ、下値切り下げの動きが継続しており、これで下落が終わったとはいえない状況です。
そしていよいよ3月に突入ですが、この月は実に政治的な内容が相場を左右する、いわゆるポリティカルエコノミー月間に入ってきます。様々な要素が相関、逆相関で動いていくことになりそうですが、一つ一つの事象に相場がどう動いていくのかをしっかり想定しながらディールを進めていくことが重要になります。

G20結果はほとんど為替にプラスの影響を与えない可能性大

G20は波乱が続く金融市場の安定に向けてあらゆる手段を講じていくとの認識で一致し、金融政策だけでなく機動的に財政出動に踏み切るほか、通貨の切り下げ競争の回避に努めていくことを確認して声明を発表し終えていますが、財政出動については先進国のほとんどが緊縮財政に傾いている状況であり、一体どの国が率先して財政出動に動くのかに関心が集まります。

中国にしても米国にしても財政支出に二の足を踏んでいるのはほぼ同様の状況ですが、言うわ易しのこの文言がどう現実のものとなるのかが非常に注目されます。

また通貨の切り下げ競争回避が声明に盛り込まれたことで結果的に日本政府は簡単に為替介入に踏み切れなくなったことから、投機筋におけるドル円の下値追いリスクが減ることもドル円にとっては決してプラスにならない要素となりそうで、注意が必要です。

3月1日は米国大統領選スーパーチューズデー

3月1日、米国ではスーパーチューズデーと呼ばれる米国大統領選挙における共和、民主両党の党員集会や予備選挙が集中するタイミングがやってこようとしていますが、民主、共和党ともに当初からは想定外な候補が善戦しはじめており、為替にも影響が出始める可能性がでてきています。政治経験のまったくないドナルド・トランプはニューハンプシャー、サウスカロライナ、そして今度は主要地域であるネバダ州でもまさかの勝利を収めており、一段と米大統領選の共和党候補指名を獲得する可能性が高まっている状況です。

また民主党でもヒラリー・クリントンが一人勝ちと思われていたものの、社会主義者を自認するバーニー・サンダース氏がリードをする結果となっており、CNNのみならずいくつもの世論調査で優勢が伝えられるようになっています。

こうした番狂わせの大統領選挙では普通にしていてもドル安円高になりやすいのがこれまでのアノマリーですが、今回はあらゆる候補が米国内企業の収益を圧迫するドル高を批判することが予想され、もっとも批判の矛先を向けやすい円をターゲットとして円安攻撃が共和党、民主党両党から巻き上がる可能性がでてきています。こうした政治的状況やG20での通貨安回避といった声明を考えれば日銀が介入できる可能性がさらに低くなっており、状況次第では円高が加速する可能性も高くなります。

米国のISM非製造業景況指数と雇用統計の平均賃金にも注目

2月26日(金)のNYタイムは、米国の2015年第4・四半期の国内総生産(GDP)改定値が年率換算で前期比1.0%増と、速報値(0.7%増)から上方修正されたため、大きくドル円が買われる形とあなり、114円に迫る勢いとなりました。

しかしながらマークイット・エコノミクスが発表した2月の米サービス業購買担当者指数(PMI、速報値)は49.8と、政府機関が一部閉鎖された2013年10月以来の低水準となり、米国の産業の実に9割を占めるサービス業にかげりが出始めているのではないかと心配されています。

前月は53.2。2月の数値は09年10月以降で2番目に低い水準で、同指数は50が活動拡大・縮小の境目を示しているだけに3月第一週3日に発表となるISM非製造業景況感指数の行方と、4日に発表となる2月の雇用統計の動きが注目されます。この2つの指標結果が大幅に悪化するようであれば、米国経済と消費に関する先行き不安が拡大し、ドル円は再び下落する可能性が高まります。

※マーク一イットPMI
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中国全人代で新たな動きがでないかどうかも不安要素

3月5日からは中国全人代が開催されます。ここまでは少なくとも株価も維持されることになると思われますが、懸案の人民元の切り下げ問題がこのタイミングにあわせて本当に登場しないのかどうかが注目されます。G20で議長国を勤める中国はしきりに人民元の切り下げを否定していますが、たとえば恣意的に人民元を切り下げるのではなく、市場に任せる形で変動相場制に近い仕組みを導入した場合、作為的な人民元安ではなくなるため相場の水準は市場任せとなるため、先進国が批判できない状況になることも十分に考えられます。

昨年末以降の中国の外貨準備の大幅減少や人民元高による輸出減少などを考えれば、資金流失だけを危惧していられないのが実情で、この全人代前後での政策変更には注意が必要です。

米国のルー財務長官は主要国各国に対して金融政策ではなく財政出動を考えることを口にしていますし、同種の内容はG20 の声明にも織り込まれましたが、あしもとの中国の状況で、政府が大掛かりな財政出動を本当に行えるのかどうかはかなり懐疑的な状況であり、先進国側の思惑通りに中国が動くとは考えにくいのが現実です。

3月10日ECB理事会では追加緩和できるのかが焦点

3月の先進主要国中央銀行会議の先陣を切る10日のECB理事会ではドラギ総裁が1月に示唆したように本当に追加緩和が行われるかが大きな焦点となります。

世界的に自国通貨安を先導しないことが基本合意となっている中でECBがさらなる追加に踏み切れるのかどうかが大きな問題です。しかも12月には追加緩和をしたにも関わらず市場の期待を下回ったことからユーロは350PIPS以上ショートカバーを見ており、背景はどうであれQEが効かなくなってきていることは事実であるため、結果を受けた相場の動きにも注目が集まります。

この間、イタリアでは銀行の取り付け騒ぎがおきていますし、ドイツ銀行のCoCo債に絡む信用問題もかなり大きくなってきているだけに、ECBが行うべきものは単なるマイナス金利緩和の加速で銀行の収益を圧迫することではないという指摘も出始めています。ドイツのショイブレ財務大臣はG20を前に「金融政策があらゆる問題を解決できるわけではない」と述べており、ドラギ総裁のやり方に否定的な見解を出していることもあり、ECBがすんなり追加緩和できるのかどうかはかなり懐疑的になりつつあります。

日銀の連続追加緩和にも注目

1月末の政策決定会合で満を持して導入したはずのマイナス金利は市場の混乱を招き、結果としてドル円の円安効果は3日持たずに大幅下落を引き起こすこととなっています。

それに引きづられるように海外の投機筋からオプションSQに向けて大きく売り込まれた日経平均株価は2月11日の日本の祝日を逆手にとられて大幅下落となり、投機筋の意のままに下値を探る結果となってしまいました。

3月末の企業決算、並びに財務省とその尖兵として日銀に送り込まれてきている黒田日銀総裁が株価、円安対策のために3月も連続して追加緩和を出してくるかどうかがひとつのポイントとなってきているのは事実です。今回の場合、マネタリーベースの追加緩和を80兆円から100兆円、さらにマイナス金利を加速させるというあわせ技を出してくる可能性がありますが、市場ではこれを出せば事実上参議院選挙に向けての追加緩和策の手立てはすべて出し尽くすことになり、逆に高値で戻り売りを浴びせかけられる可能性も指摘されはじめています。

さらに日銀にとってはもうひとつの心配ごととして、2017年消費税追加増税完全実施を公約にしていた安倍政権がまさかの再度延期、衆参同時選挙もしくは衆議院選挙6月実施を検討している気配が濃厚になっていることで、2014年10月末に次いで2回目の梯子はずしに合うわけには行かない黒田総裁が、このタイミングに本当に連続追加緩和を繰り出してくるのかどうかが注目点となります。しかもマイナス金利はさらに加速させても本当に円安になるかどうかは判らず、翌日に控えるFOMCの結果で利上げが延期になれば、日銀の追加緩和と相反する方でドル安が円高にシフトすることも考えられることから、本当に日銀がFRBに先んじて追加緩和ができるのかが最大のポイントとなりそうです。

FRBの3月利上げ可能性は依然として低い状況

そして3月さらに注目されるのがFOMCでの追加利上げの可否の問題です。12月の米国の利上げ以来ドル安が加速していますし、各国の金融市場は変調をきたしており、1937年の利上げによる株価大幅下落の大失敗の二の舞ではないかという指摘がある中で、FRBがこの3月段階の利上げにどのような舵をきることになるのかに関心が集まっています。

CMEのFed Watchでは2月初旬に90%台後半まで高まった3月利上げ可能性なしの確率が足元では87.6%まで下落しており、プラス0.25%利上げの可能性が12.4%にまで高まっています。元米国財務長官のローレンスサマーズによればこの確率が少なくとも8割以上にならないかぎり市場のコンセンサスは得らていないので利上げはできないといった指摘をしていますが、こちらも果たしてどうなるかが大きな注目点となります。

万が一ここで利上げが行われた場合株価の下落は免れず、それに引きずられる形でドル円も下落する可能性があり、延期でも実施でもドル円の上昇支援材料にはなりにくい可能性が高まっています。

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まとめとして

このように3月は明らかにポリティカルエコノミー月間となっており、政治主導で金融相場にも思わぬ影響がでてくることが予想されます。

また、スケジュール的にも一旦動き出した相場が後から発表になる金融政策でその動きが相殺されることも十分に考えられ、一方向に動くことだけを前提にして相場に向きあうのはきわめて危険な時間帯にさしかかっていることを肝に銘じるべきです。全般的にみてドル円に対しての円安支援材料はかなり限られていることだけはどうやら間違いありません。ややもすればドル円は上昇したところが絶好の売り場になることも考えられることから、ひとつひとつのイベントを慎重に見極めながら売買を行いたいところです。


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