ここにきて何故?アメリカ原油の輸出解禁

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12月18日、アメリカのオバマ大統領は、原油輸出を解禁する条項を盛り込んだ法案に署名しました。

これにより、アメリカは原油を輸出できるようになりました。
アメリカは第1次石油危機直後の1975年以来40年間も原油輸出を原則禁止してきました。

オバマ大統領は「温暖化対策に逆行する」として輸出解禁には慎重な姿勢を貫いていました。

しかし、ここにきて輸出解禁へと踏み切ったのです。

この背景には何があるのでしょうか?

また、アメリカが原油輸出する事によって世界はどう影響を受けるのでしょう?

1.何故原油を輸出できなかったのか?

最近、ニュースでよく聞く言葉の1つにシェールオイルシェール革命というものがあります。
シェールオイルとは、地下深くの頁岩(けつがん)シェールと呼ばれる泥岩の層に含まれている石油のことです。

シェールオイルは、これまでは採掘するのが非常に難しく、コストもかかっていたのですが、近年、強い水圧をかけて岩盤層に亀裂を入れて取り出すという新しい採掘技術が確立された事により、生産しやすくなったのです。
また、この新しい採掘技術により採掘コストを抑える事にも成功したのです。
結果、採算が合うようになり、アメリカやカナダで大量に生産されるようになりました。
大量に生産出来るようになった事を受け、シェール革命とも呼ばれています。

近年、シェール革命により多くの原油を採掘できるようになったアメリカの産出量はどの程度なのでしょうか?

発表されたデータによると2014年の産出量は日量、約1,400万バレルでした。
この数字は世界第一位になります。
意外に思われる人も多いと思いますが、アメリカは世界一の産油国なのです。

では、何故今まで輸出をしなかったのでしょうか?

普通に考えれば、増えていく過程で輸出量も同じように増えていくと考えられるのですが、それは出来ませんでした。
何故ならば、法律によって禁止されていたからです。

アメリカは1975年に制定されたエネルギー政策保存法で原油の輸出を原則禁止としたのです。
輸出にはかなり厳しい制限があって、例外的にカナダとごく一部の国にだけ輸出できていた状態なのです。
そして、輸出している量もごく少量でした。

何故、アメリカは原油の輸出を禁止していたのでしょうか?

2.第一次石油危機

1973年に第四次中東戦争が勃発しました。

その影響から石油輸出機構(OPEC)に加盟する国々が次々に原油価格を引き上げていったのです。

その結果、原油の価格は高騰して世界的な混乱を引き起こしました。
この出来事をさして「>第一次石油危機23%も上昇しました。

それによって、日本経済は大きなダメージを受けたのです。
そして、その結果1974年には、戦後では初となるマイナス成長を経験する事となったのです。

高度経済成長がここで終わったのです。

また、驚くことに石油輸出機構(OPEC)はアメリカ、オランダ、そして親イスラエル諸国に対して石油輸出の禁止を宣言しました。
これにより、それまで安い中東諸国の原油を輸入していたアメリカやその他の先進国は大きなダメージを受けました。

これらの出来事を受けて、アメリカは原油の輸出を禁止する事で対抗しようと考えたのです。

つまり、原油輸出の禁止は自国のエネルギー確保の為に制定されていたのです。

3.何故、今になって輸出解禁なのか?

上記でも記したように、オバマ大統領は原油の輸出解禁に対して慎重な姿勢を崩しませんでした。
それが、ここにきて何故、輸出解禁へと踏み切ったのでしょうか?

アメリカはシェール革命によって、2014年には世界一の産油国となりました。
その量は既に輸入量を超えているのです。
結果、既に余剰を生み出すようになったのです。
余剰を生み出した結果、価格の下落が起こっています。
供給過剰の状態が続いているのですから当然です。

供給過剰が続けばどのような事態が起こるのか?

シェールオイルを扱っている企業は、体力のない順に潰れていく事になったのです。
2013年の4月にはシェールオイルとシェールガスを扱っていたGMXリソーシズは破綻してしまいました。
このような状況に危機感を持った原油メーカーは、原油輸出の解禁こそが突破口だと政権に強く迫りました。
輸入量を超える量を産出しているのだから、輸出を解禁しても何の問題もないと強く訴えかけました。
輸出すれば、供給過剰な状態からも抜け出して、価格の下落も止まると考えたのです。

自由貿易が拡大している今だからこそ、アメリカ産の原油の輸出を解禁すべきだ

アメリカ石油大手コノコ・フィリップスのライアン・ランス経営最高責任者(CEO)は、そう言ってオバマ政権に強く迫りました。
このような、業界からの強い圧力を受けて、オバマ大統領の考えも少しずつ変化していったようです。

オバマ大統領が署名する最大の決定打となったのが、輸出解禁を認める条項が予算法案に盛り込まれたことです。
これによって、成立しなければ一部政府機関が閉鎖に追い込まれてしまうという事になってしまったのです。
また、その法案には政権が求めている風力や太陽光発電といった自然エネルギーの税制優遇制度の継続に、共和党が理解を示すという条項も盛り込まれていた為、オバマ大統領も容認せざるを得なかったようです。

4.アメリカの輸出解禁によって原油価格はどうなる?

アメリカが原油を輸出する事によって、原油の価格は一層下がると考えられています。

また、今後の展望としてはイランに対する経済制裁が解除され、原油の輸出が再開される事が予想されているので、価格の下落は長期化すると考えられています。

しかし、石油輸出機構(OPEC)の見解は、それとは少し違うようです。

シェールオイルの採掘コストがいくら安くなったとはいえ、OPECのそれとは比較にはなりません。
シェールオイルの1バレル当たりの生産原価は50ドル以上かかると言われていますが、OPECに加盟している中東諸国では1バレル10ドル以下とも言われているのです。

また、減価償却済みの油田に関しては1バレル数ドル程度とも言われているのです。
どれだけ、量産しても生産コストの開きがある以上、自分達に利があると考えているようです。

実際、OPECは、これだけの原油下落にも関わらず減産を見送っています。
原油が下落していけば採算が合わなくなったシェールオイルは減産して、原油価格は戻ると考えているからこそ、今は静観しているのでしょう。

まとめ

しばらくの間、原油価格は安いまま推移していく事が予想されます。
原油価格の低迷により、原油輸出によって収入を得ている新興国はかなりのダメージを受ける事が考えられます。

日本ではガソリン価格が下がり続けています。
この流れも当分は続く事が予想されています。
しかし、原油安がデフレ脱却の足かせになっている状況でもあるので素直に喜べる状況ではないようです。

原油安がどこまで進行するのか?
この問題は世界経済にも大きな影響を与えます。

アメリカの輸出解禁によって、どれほど下落が進行するのか世界中が注目しているのです。


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