中央銀行の政策決定では思い通りに動かなくなってきた市場

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2016年3月は昨年12月に引き続き先進国の中央銀行の金融政策会合に大きな注目が集まりつつあります。

既に先陣を切るように10日に発表されたECBの政策決定内容は、その発表直後こそ市場にサプライズを与えることとなりましたが、1時間後に開催されたドラギ総裁の記者経験における何気ないひとことの発言でまたしても大きくショートカバーを示現することとなり、ユーロドルでは400PIPS以上のユーロの上昇となってしまいました。
つまり、完全に昨年12月3日の追加緩和発表後の失望売りから350PIP以上のショートカバーを引き起こした状況の再来をさせてしまったことになります。

考えてみますと、既にECBは2回追加緩和による市場コントロールに失敗していますし、日銀も昨年12月19日の補完措置というわかりにくい発表でその後の相場を年末まで大きく下落させ、さらに1月29日のマイナス金利発表では相場の上げが継続したのは3日というきわめて短期間の上昇に留まっており、2つの主要中央銀行において金融緩和政策で市場をコントロールできていないことが明確になりつつあります。

しかも、もっとも大きく相場が動くのは金融緩和政策の内容ではなく、議長や総裁発言であることも明確になってきており、これを受けてたつ個人投資家の売買も政策決定直後の乱高下の時間帯に参入して投げと踏みの応酬相場に巻き込まれるよりも、前後の市場で落ち着いて稼いだほうがリスクが少ないことが判ってきています。

ドラギ総裁、日銀黒田総裁ともに市場にサプライズを与えることをこの上ない喜びとされてきたように見受けられますが、既にこうした中央銀行の政策決定ではトレンドを転換させることはできておらず、一時的に相場のレベルが変わったにすぎないことをよく理解しておく必要がありそうです。

よくよく見てみればユーロドルは一環した長期のレンジ相場

メディアやFX業者などからの情報を見ていますと、こうした主要国の政策決定会合は相場が大きく動く一大イベントとして捉えられ、大きな売買チャンスが巡ってきていると印象付けられますが、よくよくチャートで見直してみますと、過去1年程度の動きではまったく相場を転換させるには至っていないことがよくわかります。

ユーロドルのチャートをご覧いただければ判りますが、たしかに政策決定会合に絡んで上昇や下落はしているものの、結局レンジを飛び出すことはなく、市場の期待が大きい割にはトレーダーにとっては多大なリスクを冒してまでこのタイミングに市場に参入する意味があるのか、かなり疑わしいものがあることがわかります。

※ユーロドル日足過去1年の相場
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政策内容そのものよりも総裁・議長発言に過剰反応する相場

とくに直近の中央銀行政策決定会合で気になるのは各国中銀の総裁、議長発言で頻繁に大きくセンチメントが変わることで、実際の緩和措置自体が相場を動かしていないということです。

12月のECB理事会の結果についても一定の追加緩和は実現したにも関わらず、事前のドラギ総裁のサプライズをあおる発言と結果のギャップで市場は失望売りを果たしました。また、今回もかなりの材料をそろえた追加緩和で内容自体は十分にサプライズを織り込んだものに見えましたが、今後利下げがないことをぽろっと口にしたドラギ発言から材料出つくしのほうが大きく捉えられ一瞬にして相場は逆走し、対ドルではユーロは400PIPSも戻りをためすことになってしまっています。

これは発表直後の下げのほぼ3倍返し状態であり、一旦流れに乗ってユーロドルを売ることに成功しても、総裁記者会見がはじまってものの10分しないところで相場は逆走を始めていることがわかります。

発表イベント直後の売買に参入するより前後で売買しても十分利益がでる相場

※ユーロドル1時間足相場
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今回のECBの政策家体に至る前とその後の相場の動きを改めてみて見ますと、3月10日日本時間午後9時45分に内容が発表されてからは確かに160PIPS程度は下落していますのでユーロドルを売ったトレーダーはドラギ会見前に利益確定しておけば何の問題もなかったといえます。しかし10時半から多少遅れてはじまったドラギ会見で10時40分にはすでに相場はショートカバーを始め翌日LONDON FIXを越えて日本時間2時過ぎにはなんと1.12176まで戻す展開となってしまったわけです。

この戻り始めも驚くほど早かったですから、ECB会見をご覧になっていた方は何が起きたのかすぐに理解できて利益確定をして難を逃れたことと思われますが、映像を見ていても英語が理解できなければ結局何に相場が反応したかわからず大きく踏み上げられてストップロスも設定していなければ目も充てられないほどやられることとなってしまったわけです。

しかし前日の9日あたりからのユーロドルの動きをあらためて確認しますと、日本時間の0時に1.10575をつけたところからECB理事会を意識しはじめて下落しており、同日の午後11時に一旦1.09457まで下落していますから、ここで相場の事前予想通り売っておけば100PIPS前後の利益を確保できているわけです。

その後、LONDON FIXを経て再度1.10346まで上昇していますが、さらにここでも売っておけばECB理事会直前に1.09800レベルでリカクして50PIPS程度を稼ぐことができています。

実際のイベントは通過するまで待っておき、もっとも上昇した1.12176付近で逆に売っておけば翌日1.1を割るあたりで利益確定すれば200PISを取ることができたわけです。この1.12レベルは3月11日の深夜3回試してそれ以上は上抜けできませんでしたから、ここで売ることができればかなりうまくとれたことがわかります。

さらにたらればの話にはなりますが、11日のロンドンタイムの底値となった1.10801つまり1.1を割ったところで拾って買いもちしていれば12日午前1時43分の1.11930あたりまで保有してリカクすることで110PIPS程度の利益を確保できているのです。もちろん後になってチャートを見ながら振り返っているわけですから、こんなにベストのディールができるわけではありませんが、こうした動きを振り返ってみてひとつだけ間違いなく言えることは、もっとも激しい動きをする政策決定会合直後にポジションをもって売買するよりも、事前と一旦落ち着いた事後だけで十分にそれに匹敵するPIPSを稼げる機会が存在するということです。

しかも事前はうわさにあわせて売買していますから動きがとまったところで利益を確保するようにし、事後は最高値や再底値からの翌日のゆり戻しに参戦することで大きな緊張感もリスクもとらずに一定の利益を確保できるわけです。政策決定会合に参戦することは最大の利益機会のように思われがちですが、実はもっと楽に相場に関わって利益を上げるチャンスがそこにはあることが冷静に分析すればわかります。

特にこうしたイベント後にはトレンドが出なくなっていることだけは間違いなくなっていますので、少なくとも翌日の揺れ返しは前日の上下の中に納まる形で起こることも上値や下値を想定するうえではかなりリスクを低減して売買できる魅力があります。

日銀政策決定会合やFOMCでも同様の動きが起こる可能性

同様の動きは15日の発表予定の日銀政策決定会合や16日(日本時間17日朝3時)のFOMCでも起こりそうな状況といえます。

年度末にどうしても株価をあげたい政権に、消費税上げを確保したい財務省と日銀が年度末底上げに加担するのかどうかが見所となりますが、量的金融緩和をこのタイミングで実施すればECB同様材料出つくしで売られる可能性は高いことから、黒田総裁は今回温存するのではないかとの見方が広がっています。

一方で株価対策だけはなにかせざるを得なく、ETFの買い付けまわりで上限を上げたり撤廃したりしてサプライズを演出する可能性も指摘されています。
1月29日のマイナス金利もたった3日しかその効力は持ちませんでしたから、今回こうした小手先の措置が出ても逆に絶好の売り場を作ってしまう可能性は否定できない状況です。

発表直後よりもその後の動きに注目しておくことが大きな利益機会をもたらしてくれそうです。

FOMCについては、既に3月利上げを想定している市場参加者はごくわずかであり、コンセンサスを重視するイエレン議長がここで大きく何かに打って出ることは考えにくい状況ですが、むしろ問題はその後の会見内容で、この議長はこうした会議でも毎回再放送を見ているようなことしか言いませんが、6月利上げや今後の動きにタカ派的印象を持たれる発言が飛びさせばいきなり株価の下落を引き起こすことになり、また新興国株価にも大きな影響を与えることになるため、こちらもイエレン会見発言次第の状況となってきています。株が売られればあからさまに債券が買われることから金利は下落しドル円は株と債券の両方で下落を余儀無くされることになります。

年度末にドル円が円安に振れてほしいと思っているのは日本の政権、財務省と日銀だけですから市場がまったく異なる円高方向に振れることも想定しておきたいところです。

まとめとして

このように先進各国の中央銀行による緩和措置というのは何をしても財政出動を伴わない金融政策だけですし、既にもう何回も実施していることから市場の新鮮味は大きく薄れ、その発表自体に大きな効果をもたらさなくなってきています。

むしろその発表に伴って総裁や議長が発言する迂闊で何気ない内容に市場は大きく影響を受けるようになっており、それを見定めることが重要となります。

とくに最近ではあらゆる動きにアルゴリズムが関与し必要以上にオーバーシュート気味の動きを加速させることから、翌日以降にその修正とも思われる買戻しが起きる可能性も高く、翌日以降の落ち着いた時間帯にも十分利益機会が残されていることを改めて認識しておくことが重要です。闇雲に乱高下に巻き込まれて損失を被らない姿勢が大切です。


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