マイナス金利の継続見直しか!?黒田緩和検証で注目される9月の日銀政策決定会合

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7月の日銀政策決定会合後の会見でとうとうこれまでの緩和を検証するといい始めた黒田日銀総裁ですが、市場はさらなる緩和期待ともはやこれまでという終焉説が入り混じり、ここからの相場は微妙な動きを見せることになりそうです。

ただ、外部要因は株にも為替にも決して支援材料になってはいないため、上昇したところは売り場になることを強く意識した売買が肝心になります。

6兆円ETF買い付けで既に偏重をきたす株式市場

日銀は年間6兆円規模のETF買い付けを決定してからすでに8月二回に渡って707億円ごとのETF買い付けを行っています。
これは一週間に一度1000億円規模の投資信託が発行されて完売する規模の投資になっていますので、当然のことながら人為的に株価が支えられる大きな要素になってきています。

株式市場ではこれを背景にして外人投資家が今年後半に向け6兆円規模で国内から逃げた資金を戻してくることを期待しており、株価は確実に上昇するといった見方も強まっています。

ただ、日銀のETFの買い方は日経225の単純平均のものとなっているため、日経225に含まれる値嵩株だけが異常に上昇する状況となっており、いち早く市場でもこれを見ぬいた投機筋と一部の個人投資家がファーストリテーリングファナック、ソフトバンクといった値嵩株だけを買い上げる動きにでており、すでに業績とはなんの関係もない偏重相場がスタートしてしまっている状況です。

この無闇に下値を支えて下落させない相場は相場自体がもつ自律的な価格調整と反発を著しく阻害するものとなりつつあり、株式相場全体にとってみればダイナミズムを欠いた非常にいびつな状況を作り出す結果となっています。

NT倍率は既に12.73倍にまで乖離しており、日銀のETFが買い付ける対象となる銘柄とそれ以外の銘柄との格差も猛烈なものになりつつあることがわかります。たしかに日経平均の指数は上昇していますが、このやり方でいけば何かのきっかけで上述のような値嵩株が大きく下落すれば簡単に暴落が起きることになり、果たしてこうした不可解な相場状況に本当に外人投資家が乗ってくるのかどうかかなり懐疑的な状況になってきているのです。

※日銀のETF買い入れ
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債券市場も金利上昇

一方債券市場は日銀の政策決定を受けて外人投機筋が大きく売り浴びせをかけたことから金利が異常に上昇し価格が下落するといった動きが続きました。

※国債保有者割合
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ただ、現状での長期国債の保有者は圧倒的に国内勢であり、すでに日銀が3割を超えるレベルを取得している上に金融機関と生保などの機関投資家の保有がほとんどで、外人投資家は全体の5%にしか満たないことから、大きな動きにはなっていない状況です。

しかし市場が嫌気すれば債券が大きく売られる状況は明確に示現していますから、この先市場金利が上昇して国内勢が債券を売り浴びせるような事態が起きれば確実に価格は下落し金利が上昇してしまう可能性があることを示唆するものになっています。

日銀の国債買取ですでに市場は崩壊した感がありますが、だからこそほんの一部の外人投機筋の売りでもその価格が大きく反応する危ない相場になっていることを改めて痛感させられます。日銀の緩和政策もやがては終焉を迎えることになりますが、ETF市場にしても債券市場にしてもめちゃくちゃに壊したあとにどのように修復するつもりなのかが非常に気になるところです。

大義名分の目標の取り下げはしない?

黒田総裁が口に出したこれまでの緩和の検証に当たっては、何年やってもまったくめどがつかない名目物価上昇率2%の達成を結果として引っ込めることになるのではないかといった憶測がではじめています。

この目標を縮減させるということはとりも直さず日銀が金融緩和の限界を暗に認めることになるという見方が強くなっていますが、黒田総裁や日銀幹部は目標の取り下げや緩和の終了を強く否定し続けており、ターゲットは変えないものの、その実現時期を区切らないといった修正案が飛び出すことになるのではとの観測も強まっています。

表向きにはデフレ脱却が日銀緩和政策の大義名分となっていますが、その実は金利をきわめて低い状況にとどめて維持させ、国家財政の金利負担を著しく減少させることが大きな裏命題になっているだけに、簡単に緩和措置をやめるわけにはいかないのが日銀が直面する現状課題であり、おそらく緩和検証でもこの部分はいじらないものと思われます。

注目はマイナス金利の取り下げ

市場が日銀の緩和検証で大きく注目しているのは、とりもなおさずマイナス金利継続の可否に関する問題です。

1月末のマイナス金利実行は金融機関からの評判もすこぶる悪く、株式市場では金融株が大きく売られる元凶となりました。

また、実際の金融機関の利益圧迫も顕在化しており、これをこのまま続けるのか一旦検証結果として引っ込めることになるのかに大きな関心が寄せられるようになっています。日銀内にもマイナス金利に異論を唱える向きが存在するようですが、黒田総裁が自身の体面を考えた場合には継続を維持することも想定され、どのような判断が下るのかが問題となります。

欧州ECBでもマイナス金利はほとんど金融機関に影響しないとドラギ総裁が豪語しましたが、結果的には4回のマイナス金利深堀のたびに金融株が大きく売られることとなり、金融機関に関する不安材料を高めていることは確実で、日銀がこれに一旦終止符を打つのか継続するのかが最大の注目点となってきているのです。

7月の日銀政策決定会合における追加緩和措置でも日銀はマイナス金利の深堀をあえて除外していますから、その功罪については日銀自体がもっとも理解しているのは間違いなく、修正を実現できれば市場の評価も大きく変化するものと思われます。

購入債券の枠拡大でなし崩しのヘリマネシフトか?

日銀の緩和措置の深堀をめぐって大きな問題となっているのが国債の買い付けの限界です。

上述の国債保有者内訳を見てもわかるとおり、既に日銀が市場から買い付けられる国債の額は限界を迎えており、国債以外の地方債や社債、国の発行する財投債などへと買い付けの枠組みを広げることになるのではないかとの観測がではじめています。特に国が発行する財投債など買い付け幅を大きく広げることができれば、事実上さらにヘリマネ的な効果を発揮させることになることから、この買い付け対象を広げることで事実上のヘリマネ実行へとシフトするのではないかとの見方も強まっているわけです。

また、国債の買い付け額を年間80兆円と金額で明示しているものから、日銀保有国債の残高シェアへとターゲットを変更するのではないかとの憶測も高まっています。さらに金利目標だけにターゲットを絞ることも考えられます。おそらくこの領域には何か新しい枠組みを導入してくることが予想されますが、それがどれだけ有機的にワークするかが大きな問題になりそうです。

株式市場は楽観視だが・・

なんでもプラスオンで取り込めると楽観視する株式業界では秋口にこの枠組み見直しも含めて相場が大きく上昇するのではないかとの見方が急速に強まりつつあります。しかし外人投機筋を中心として、もはや日銀の金融緩和政策は限界に達しつつあり、明確にヘリマネの実行にでもシフトしない限り多少の枠組みを変えても効果なしとの厳しい見方も広がっています。

ただ、ひとつはっきりしていることは、人為的に相場を維持しようとする政策は必ず相場自体に手痛いしっぺ返しを食らうということで、現存するETF市場の残額規模が5兆円なのに対して日銀が6兆円買い付けるということは殆ど市場をぶち壊して日銀が制覇することを意味しており、果たしてこれが自由主義経済における中央銀行のやるべきことかという批判も高まりつつあります。

また結果的にはどれだけのPKOを行っても外部環境の影響を受ける株式市場は大きく下落することが容易に予想され、日銀の損失を拡大するだけとのかなり厳しい見方も登場しつつあります。次回の日銀政策決定会合でなんらかの指針と具体的な緩和措置が開示されることになると思われますが、その内容次第ではまたしても市場からの大きな売り浴びせとなることも憂慮され、かなりの正念場を迎えることになるのだけは間違いない状況となってきており、為替にも少なからぬ影響が考えられます。


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