ヘリマネ目当ての円売り仕掛けは7~8月に短期集中か?

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2016072301

参議院選挙後の為替相場は一気にヘリマネが話題となり、株も含めて大きな資金が流れ込んで買いあがる動きが示現することとなりました。

本来選挙前に登場させてくると思われた大型予算の経済対策を、安倍政権はどうやら2018年の憲法改正を死守するために、国民への人気取り、政権支持率アップ政策のほうに利用することを決めたようで、早速こうした動きを見せ始めています。

このほかにも2018年までの長期プランとして国民の支持を得られる政策を積極的に取り込んでいこうとするのが今の政権の大きな戦略のようで、その一つ一つが果たして錦秋市場でどのように評価されるかが大きく注目されることになります。

もちろんプラスに評価されるものは大きく相場を買い上げるきっかけになりますが、必ずしも市場の期待にそぐわない内容となった場合には逆に売り浴びせの対象となることも考えられ、ここからの政権の動きはかなり注意が必要になってきそうです。

ヘリマネは人気取り第一弾として登場

とりあえず、政権人気取りの第一弾として登場してきたのがヘリマネ、ヘリコプターマネーの導入です。

選挙明け、いきなりバーナンキ元FRB議長が来日し、日銀黒田総裁、安倍首相と立て続けに会談をしたことにより、海外メディアが大きく報じたことから外資系のヘッジファンドなどが想像以上にヘリマネの実施に期待することとなったのは言うまでもありません。

バーナンキ氏は1969年にデフレの本の執筆でヘリコプターマネーの寓話を書いたノーベル経済学賞受賞のミルトンフリードマンの愛弟子にあたり、自身もデフレについてはこれまでにヘリコプターマネーについて語っていることから、ヘリコプターベンという異名ももつ存在として極めて市場では有名です。そのバーナンキにあえてアベノミクスはまだ終わっておらずデフレ対策でできることがあると言わしめたところが、今回の来日の大きな目的であったようです。

当然市場は安倍政権がかなり本気で経済対策に資金を投入することになり、2013年のアベノミクスの再来を期待できるのではないかという思惑が働き、今年前半まったく儲からなかった外資系ヘッジファンドなどが率先して日本株とドル円に資金を投入して買い上げる動きを見せています。

しかし、このヘリマネについては、かねてから日銀の黒田総裁が実施の否定をしており、21日も共同通信の記事で20兆円規模の総合経済対策を8月2日の閣議で決定するといった報道を受けて株も為替も大きく買い上げられ、久々にドル円は104.49円レベルまで上昇することなりましたが、夕刻にBBCラジオのインタビューで6月に収録したとされる黒田総裁のヘリマネ完全否定発言が報道されるや、いきなり売り込まれることとなり105.40円まで1円40銭近い下落を浴びせられるという手厳しい仕打ちを受けています。

21日に登場した新聞報道が正しいのであれば、対策では、国と地方の追加歳出を3兆円超に抑えた上で、財政投融資6兆円を加えた財政措置として9兆円超を計上するとしています。

さらに、国の補助を受けて民間企業が行う事業や、政府系金融機関が財政投融資とは別に手掛ける融資を盛り込み、対策の事業費としては20兆円規模とする方向で、少なくとも6兆円については財投債を発行して日銀が買取る形にしなければどこからも原資は出てこないことになります。

こうして見ますと、日銀がヘリマネを否定するのは簡単ですが、政権との間に何が握られていて、どこが不協和音になっているのかがわからないことにはとてもではないですが、まともに投資をできるような状況ではなく、黒田総裁の発言がメディアに載るたびに相場が下落したのではまともにトレードなどできないというのが正直な状況です。

なによりヘリマネについては法改正などを含めて日銀がどこまで本気で対応するのか、あるいはこれまでの国債購入の延長線上で買い入れるつもりなのかなどかなり疑問は残りますが、政権サイドは着々と準備をしているようで、温度差が気になるところとなってきています。

このようなバラマキ策は人気取りにはもってこいですから、厳密なヘリマネ要件を満たさなくても、事実上のヘリマネ的施策をあっさり実現してしまう可能性は高く、日本が財政規律を失うヘリコプターマネー施策の第一号になる可能性が十分に高まってきているといえます。

ヘリマネ施策ひとつとってみても市場にはプラスに働くのか失望売りの対象となってしまうのかはまだ判断がつかない状況で、こうしたネタで為替の売買をするのは想像以上に難しくなってきています。

北方領土のためにプーチンに近づく政権

安倍政権はヘリマネ以外にも相当な人気取り政策を画策しているようで、この年末に向けてロシアのプーチン大統領の来日も現在調整が進んでいるようです。

果たして簡単に北方四島を返還されることになるのかどうかは未知数ですが、これまでの自民党政権で手をつけられなかったことに次々と着手する意向のようで、オバマ大統領の広島訪問で支持率が上がったことなどを踏まえ、こうした政策を戦略的に指向していくことが予想されます。

ただし、米国政府は日露が接近することを非常に嫌っているようで、このまま北方四島の返還に絡んで何か条約なり相互の協約を締結した場合には、それなりの制裁措置をもって迎えられる可能性もあり、なかなか微妙な状況であるともいえそうです。

米国からの横槍が入った場合、遠まわしにプレッシャーをかけられる可能性もあり、為替に影響がでるといった可能性も否定はできない状況です。とくに米国は大統領が変われば対日政策も大きく変化することが予想され、こうした日露の接近がどれだけ金融市場に影響を与えることになるのかについても注視する必要があります。

中国けん制や拉致被害者奪還にも動くか?

また安倍政権は南シナ海の問題に絡んで中国をけん制する動きに出たり、あるいは北朝鮮と拉致被害者交渉に決着をつける可能性もでてきており、こうしたことが金融相場にどのような影響を与えることになるのかについても多少は事前に想定しておく必要がありそうです。

特に中国とのフリクションがでた場合、国民は毅然とした態度をとる報道を喜ぶのかもしれませんが、実際の貿易や金融取引などには大きな影響がでないとも限らないため、こちらも慎重に推移を見守る必要がありそうです。日中では、政治的な対立が経済にもぎくしゃくした関係を示現させた苦い経験があるだけに、やはり一定以上の注意が必要となります。

織込まれていないのは米国大統領選の意外な結果

今年後半の政治的イベントでもっとも市場が織込んでいないのが共和党のトランプ候補がまさかの大統領に選ばれた時です。

米国の株価はほとんど意識せずに上昇を続けていますが、英国のEU離脱も現実のものになったことですから、選挙は水ものでトランプ候補が大統領になることも全く否定することはできない状況です。

この場合具体的に影響がではじめるのは2017年からになりますが、トランプ政権誕生の結果を受けてドル円が大きく売られるという事態も当然想定されるものであり、安倍政権の人気取り政策が新大統領に刺激を与えた場合どのようなネガティブな内容が示現するかが気になるところです。

とくに日本の具体的な政策に対してNOをつきつけてくることが現実味を帯びた場合には金融市場に影響を及ぼすことは容易に想定されるものです。

海外投機筋のヘリマネ目当ての円売り仕掛けは7~8月に短期集中か

海外のヘッジファンド勢がどこまで日本のヘリマネの実施を真剣に考えているかはよくわかりませんが、実施の成否がはっきりするにしてもしないにしても7月、8月の二ヶ月に集中して利益を確保する動きにでることはどうやら間違いがなさそうです。

したがって結果がでなくてもなんらかの形で利益を確定させる動きに出る可能性は高く、7月末と8月末については株も為替も相場の下落にかなり注意が必要になりそうです。

とくに7月29日の日銀政策決定会合については黒田総裁がまたしても何も緩和を行わずにスルーする可能性は否定できず、ヘリマネの履行の如何に係らず利益を確保したいファンド勢が大きく売りを仕掛けてくる可能性は十分に考えられます。

また8月は例年秋口の前に米国の株価が大きく下落しはじめるタイミングにもあたっており、ほとんど調整なしに一気に上昇している米国のS&Pが大きく調整する可能性についても視野に入れておく必要がありそうです。

この9月になればリーマンショックから丸8年が経過することになりますから、いつ大きな暴落が起きてもまったく不思議ではない状況です。巷では海外投機筋からアベノミクス再来の期待が高まっていますが、投機筋が思い描いたような結果がでなければいきなり反対売買で売り浴びせられる可能性はきわめて高く、そのほかの憲法改正見合いでの人気とり政策も、相場に影響が与えかねないものになる可能性を十分に意識しておくべきでしょう。


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