2015年12月、米国利上げ後の相場は上か下か

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る
※この記事は530で読むことが出来ます

20151207_01

いよいよ年末相場のスタートですが、続々と開催される先進主要国の中央銀行の政策決定会合を受けて、為替相場も株式相場のかなり激しい動きを見せることとなり、いきなり市場はかなり想定外の動きを加速させることとなり多くのトレーダーが大きく痛んでしまう相場展開となってしまいました。

この12月相場はドルが大きく買いあがる相場展開を予想していた向きにとっては完全に裏切られる形となり、痛んだままの相場状況で米国雇用統計を迎えたものの、大きくドルが買いあがることなく週末を終了する結果となっています。

すでに相場はFOMC以降を見始めている状況であり、今後の動きが実に気になるところとなってきています。

1.ECBの政策決定から番狂わせが始まった年末相場

12月3日に開催されたECB理事会は大方の予想通りの追加緩和が発表されたものの、事前にさらなる期待を持たせるドラギ総裁の発言があったことから、その発表内容は完全に相場の期待を裏切る形となり、大きな買戻しが入ったことから想像をはるかに超えるウルトラショートカバーを示現してしまうこととなりました。

ECBの政策発表直前にUKのフィナンシャルタイムズが利下げなしの誤報をツイッターで誤って流したことから一瞬買いあがったユーロドルはその後の発表で再度売り込まれましたが、詳細が伝わると一気にユーロの失望売りがではじめ1.08台中盤までいきなり踏み上げられる結果となりました。当然その間300PIPS近くにあったストップロスはすべて巻き込むこととなりましたが、一旦戻りが終了したかに見えた相場はさらにもう一段まき戻しを起こすことになり、1.09800レベルまで上昇するというかなり乱暴な相場展開となりました。

都合450PIPSの踏み上げは、当然ユーロドルをショートで売り持ちしていた多くの市場参加者に莫大な損害を与えることとなり、翌日米国の雇用統計を控えた相場は閑散として、市場の痛み具合を象徴するような状況を示現することなってしまいました。

多くのトレーダーはECB理事会でドル買い円売りがかなり進むこととなり、さらに雇用統計で予想を超える数字がでたところでドルは買い上がり、ドル円でいえばFOMC直前までに125円をつけるところまで期待していたはずですが、結果は散々なものとなり、年内にドル円が125円に近づくことはほぼなくなったといっていい状況ですし、なによりユーロドルがパリティを目指すということは既にユーロの要因ではまったく可能性がなくなった状態に陥ってしまいました。

20151207_02

2.米国NFPは予想上回ってもドル買い反応は限定的で市場は織込み済み

翌日12月4日は月初定番となる米国の雇用統計の発表がありましたが、市場の痛み具合は想像市場に深刻であったようで、事前のロンドン市場の朝の段階で1.09500レベルであったユーロドルは相場の薄さを反映して1.08600レベルまであっという間に戻す展開となりました。

非農業部門の雇用者数は、21万1000人増と市場予想の平均値である20万人程度の増加を上回りました。これにより12月の米利上げ開始が確定的との見方が広がりましたが、発表直後は123.38円レベルまで買いあがったドル円はオペック総会での増産のニュースなどもあってその後一旦は完全に上昇分を吐き出す形になり、さらに米国の株式相場の上昇からなんとか123円台に値をもどして週末を迎えることとなっています。

米国株式市場が369ドル大幅上昇したのに比べますと、かなり反応が鈍かったところが非常に気になるところです。

もちろん前日の損失が大きすぎて市場参加者の投資意欲が減退したせいもあるのかもしれませんが、とにかくFOMCでの利上げは為替ではほとんど織込まれた状態であり、今後12月16日のFOMCに向けてドル円が大きく買われたり、ユーロドルが逆に大きく売り込まれる可能性はかなり小さくなってきている状況にあります。

為替市場の動きというものは絶対的なものではなく、相場自体がフォーカスしているポイントに対して結果がどうであるかで動くことも多い上に、噂で買って事実で売るといった動きが非常に現実のものになりやすいことから、この年末相場も大方の予想とは異なる動きに終始する可能性も視野に入れておく必要がでてきているようです。

3.問題はFOMC利上げ決定以降の相場の方向性

すでに市場では米国の利上げは都合3回程度まで織込み始めているといわれていますが、ファンド勢を含めて12月の利上げ以降、市場が引き続き何事もなく上昇するのか即座にゼロ金利解除の影響がでるのかを完全に読み込めない状況になっている状況にあるようです。

大手ヘッジファンドのCEOレイダリオ、新債券王のジェフリーガンドラック、元財務長官のローレンスサマーズなどが、ゼロ金利からの利上げが金融市場に大きな変化を及ぼすと警告していますが、一方で1回目の利上げから次の利上げまで様子をみながら対応する分には大きな影響はないという楽観的な見方が広がっていることもまた事実です。

利上げというと2004年のグリーンスパンが議長を務めていた時の事例が引き合いに出されることが多くなりますが、今回の利上げはまずゼロ金利がゼロでなくなるという点で単なる利上げとかなり異なることがあげられますし、なにより市中にこれだけ余剰資金がでまわってきた中での引き締めで、資金の流れに大きな変化が訪れることだけは間違いない模様で、何も影響がでないと考えるのはかなり楽観的すぎるようです。

現実に利上げになりますと、米国の企業収益は確実に低下することが過去の経緯で確認されており、来年は米国の大統領選挙であるにもかかわらず株価の低迷が予想されはじめています。
加えて、リーマンショックからすでに7年を超えた相場は株式市場を中心として暴落する可能性が高まっていますが、暴落時の底値は比較的予測できても、暴落自体のタイミングを予測することはきわめて難しいといわれており、ビジネスとして金融投資に絡むファンドマネージャーはこの下落局面の恐怖と常に戦いながら売買をせざるを得ないというかなり厳しい局面が2016年にやってくると見ているようです。

4.決め込みすぎずに柔軟に相場状況に対応することが必要

12月3日のECBの政策決定後のウルトラショートカバーがまさに典型的な事例ですが、ほとんどの市場参加者が一定の方向に為替が動くことを予想してしまいますと、株と違ってあくまでゼロサムゲームである為替相場はそれ以上下落しないという状況に陥ることが極めて多く、反対方向に思い切りもっていかれることが必ず起こることになります。

とくに日常的に1日100PIPS以上平気で動くユーロドルなどはショートカバーが起きると驚くほど買いあがることになるものです。

自分のもっているポジションと反対の動きがでたらどうなるかについてはしっかりシュミレーションをしていませんと、こつこつ積み上げた利益を一瞬にして吐き出してしまう厳しい状況に追い込まれてしまうのです。

したがって自分の考えているロジックとまったく逆のことが起きるとどうなるのかについても、一応は想定しておく必要があるのが、今回の米国の利上げ以降の状況といえそうです。

職業的に相場で売買をするプロのファンドマネージャーが利上げ後上昇か下降か判断ができないとしている点が非常に重要なポイントです。

つまりほとんどの市場参加者が経験したことのない領域に入ろうとしているわけで、年末から年明けにかけての相場は決め打ち厳禁で対応することが重要です。

日々慎重に対応し、どうしても判断がつかないときには、あえて相場にエントリーすることを見合わせるという勇気も必要になってきそうです。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*