米国利上げでもドル円が下落する可能性について考える

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る
※この記事は553で読むことが出来ます

20150915_01

1.利上げ時期は依然不明の状況が継続

いよいよ9月16日17日の米国FOMCを控えて、思惑から株も為替も動きが激しくなってきています。
8月のジャクソンホールにも参加せず、先般のトルコのG20の参加も見送ったFRBイエレン議長は、ほとんどメディアの前でコメントを発しなくなっており、9月利上げに関する思惑と中国市場のリスクオフが相場を上下に乱高下させる猛烈なボラティリティ相場が展開するようになっています。

9月FOMCまではある程度相場が荒れるとは想定していましたが、実態は想像以上といえます。
9月の可能性が低下している一方でアリバイ的な0.125%の利上げもあるのえはないかとの観測が残り、相場はぶれまくりながら中国の状況にも日々影響をうける、信じられないボラティリティを示現しています。

一部の投資ファンドはこうした状況を見越して既に金融市場から資金を引き上げ様子見のスタンスに切り替えているとも言われます。
債券相場にもFLY to QUALITYの動きが見られず、市場自体から資金が現金化されて逃げているという状況が続いています。
利上げ時期については個人投資家がいくら詮索してみてももはやあまり意味はありませんが、それよりも気になるのは米国の利上げ後相場がどういう状況に陥るかという具体的な動きの問題になってきています。

2.ドルは上昇してもドル円が連動するかどうかが問題

米国の利上げを既に織り込む形で新興国から多くのドルが引き上げられ始めています。
2004年のグリーンスパン議長当時の利上げ後の状況を鑑みればドルストレートが上昇していくことはほとんど間違いないことと思われますが、新興国からのドル流出は利上げ前でありながら想像以上に加速しており、クロス円でも円が上昇する局面が続いています。

トルコリラや南アランドといった新興国通貨はいくら金利が高くてもドルが最高値を更新している状況下ではとてもではないですが、スワップ狙いで買える状況にはなく、ドルはあらゆる新興国通貨と資源国通貨に対して上昇しています。

しかし、ドルの上昇が目立つ中にあって、リスク回避では円も同時に上昇するようになっているのです。

このことを考えるとドル円に関してはほかのドルストレートとまったく同じように一方的にドル高円安として上昇するかどうかはかなり微妙になってきているといえます。
また、2004年の利上げ時と大きく異なるのは過去3回に及ぶ量的金融緩和で市場に出回った資金が最大限に流通したままの状態であることで、これが2004年と異なる動きになるのではないかともみられはじめているのです。

3.一旦は債券金利連動に戻ったドル円は直近では株連動に逆戻り

9月第一週にトルコのアンカラのG20に出席した中国人民銀行の周小川総裁が、株式市場の動向に関する説明の中で、バブルがはじけるような動きがあったという趣旨の発言をして市場を驚かせることとなりましたが、米系金融機関の算定では中国経済を評する際の重要指標は電力消費と鉄道貨物量に銀行融資の3つとされ、これを基に試算すると既に成長率は3-4%水準にとどまっているという説も登場しはじめており、中国経済の減速は想像以上に世界経済に影響を与えることとなっています。

今後さらに米国債が売られたり、外貨準備が大幅に減少するようなことがあればリスクオフ相場になることは間違いなく、リスク回避で株価がさらに下落すればドル円は米国の債券金利よりも日経平均の下落についていく可能性も高まることが予想されるのです。

4.エリオット波動理論でみるとすでに2回つけた125円台がピークという見方も

市場が混沌とするといつも話題になってくるのが、フィボナッチ数列を使ったエリオット波動分析ですが、エリオット波動の専門家である三菱UFJモルガンスタンレー証券宮田氏によれば、すでに今年の天井をつけて下落波動に入っており、2016年5月にむけて100円台前半の円高に進行することも考えられるという説も飛び出しています。

2011年10月の1ドル75.35円を基点とする円安トレンドA波は、6月5日の125.86円の高値をつけて、市場は夏場に更なる上昇も視野に入れていましたが、エリオット分析ではこの高値をもってすべて完了し、円高方向へ下落するB波が始まった可能性があるとしています。

さらに見方は日足ベースで120日MA(120.40円)、週足ベースで26週MA(120.35円)が破られ8月24日に116円台まで下落したことからこの見方を市場が追認する形となりました。

エリオット波動はまったくファンダメンタルズを考慮していない分析法ですが、これまでも意外に市場を的中させる力をもっており、多少こうした動きを視野に入れておく必要がありそうな気配になってきているのです。

ドル円は1995年4月に示現した79.75円からの40ヶ月安の後99年11月に101.25円まで15ヶ月間の円安が起きています。
この円安と円高の期間は55ヶ月に及んでおり、これに倣えば2011年10月から55ヵ月後の2016年5月ごろまではB波による円高が続くことが想定され、この2016年5月にかけてのB波は1ドル=100.82円を見に行く可能性を宮田氏は指摘しています。
短期的には為替相場はこのエリオット波動の示唆にあわせた動きを示現しているところがなんとも不気味な状況といえます。

5.NYダウも日経平均も株の下げはまだ甘い

NYダウも日経平均も9月17日をにらんでは一旦底をつけたように見えますが、本来の値幅調整からいけばより下押ししないかぎり反転相場にはなりいくい状況で、当然為替もその影響を受ける形となっています。
ドル円は200日移動平均線をまたいだ動きになっており、一時的にはこの線がレジスタンスラインとなる局面も見えてきており、この状況だけみてもドル円が125円を回復していく軌道に乗るためには果たしてFOMCの利上げだけで可能となるのかどうかがかなり微妙になってきているようです。

6.ドル円の下値めどは113円台か?

ここのところテクニカルチャートもハイボラティリティの影響をうけてしっかりワークしなくなっていますが、過去のポイントをいろいろと集めてチェックしてみますと113円台というのが一旦の底値になりそうな気配がでてきています。
その後さらに落ちるかどうかはわかりませんが、このラインが守れるかどうかで反転の可能性が変わってくることが予想されます。
113円を割れてしまいますと、昨年10月末の黒田追加緩和のときの106円台程度まで主だったサポートラインがなくなりますから、ますます相場の先行きがわからなくなる可能性も出てきているのです。

7.日銀の追加緩和頼みの声も

日経新聞ですでに報道されていることでもありますが、日銀が金融緩和の一環で日本株に連動するETFについては、日銀の公表資料によりますと、9月1日までに既に2兆2,686億円分を購入済みで今年の残額は7,314億円しかないとされています。
これまでの3日に一度337億を購入するローテーションを続けた場合、あと残りは22回分弱しか残されておらず66日後の11月中、ほぼ七五三の前に日銀のETF買いは終了を余儀なくされることになってしまうのです。

11月4日の郵政グループ三社の上場前に闇雲に株価を下げたくない財務省の思惑を考えれば、そのOBである黒田総裁は10月にETFを中心とした追加緩和に踏み切る可能性もあり、下値で買い持ちしておきたくなるタイミングが10月にはやってきそうな気配でもあります。

8.ドル円だけみてもこれだけの思惑が渦巻く市場

こうしてみてきますとドル円だけ考えてもかなり様々な思惑が働くことになるわけで、少なくとも一気に100円台まで落ち込むことはないにせよ、戻りにくい相場が続きそうな状況であることはなんとなく察しがつきます。
ただこれまでの2年間でも結局日銀の緩和があれば少なくとも3ヶ月は株も為替も上昇する局面が続きましたので、底値とみられるところにタイトなストップロスを入れて買い向かうタイミングをどこかでつくることが必要になってきているともいえます。
ただし、迂闊なレベル感ではない、深い押しを探ることが最重要課題となりそうです。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*