【保存版】財務諸表の見方、分析方法まとめ

先日アップした記事(http://360fx.info/bgs)において、グレアム銘柄の基準とその探し方を書いた。

しかし、これはあくまでも膨大な銘柄の中から割安な銘柄を探す手段であって、そこで見つかったもの全てが投資適格とは限らない。

たしかに、そこで見つかったものに対して幅広く分散投資を行えばある程度は満足のいく結果が得られるだろうが、投資不適格となるものも含まれている。

グレアム銘柄の基準は、

  • 時価総額が純流動資産(流動資産から流動負債を差し引いたもの)の2/3(できれば1/2)以下であること
  • 流動資産が流動負債の1.5倍以上あること
  • PERが15倍以下であること(大企業の場合には6~10倍が望ましい)
  • PBRが1.2倍以下であること
  • 過去10年間、赤字を出していないこと
  • 過去20年間、配当が支払われていること

といったポイントを挙げているが、これは最低限満たすべき条件であり、これらだけを満たせばすなわち投資適格とは限らない。

つまり、上記の条件さえ満たさない銘柄は投資不適格と判断し、残った銘柄においてはより詳細な分析を行うことによって精選していかなければならない。
より詳細な分析のためには、過去10年間にわたる財務諸表を詳しく見ていく必要がある。

上記の条件は、当期の財務諸表の中から流動資産、流動負債、純利益を探し、さらに最新の四季報などからPERとPBRを探して参照すれば調べることができる。しかし、より詳細に分析しようと思えば、過去10年間にわたる決算短信もしくは有価証券報告書を調べることによって、様々な数字の変動を詳しく見ていかなければならない。

それをせずに、グレアムのいう最低限満たすべき条件・基本的な知識のみによって投資しようとすれば、思ったほどうまくいかないということにもなりかねない。

生兵法は大怪我の元なのである。
実際、株式評価についての基本的な知識をいくらか持っているだけの投資家は、まったく知識がない投資家よりも失敗する可能性が高いという事実がある。グレアムの理論のごく基本的なものだけに従って選んだ銘柄と、グレアムの理論に従って詳細に分析して選んだ銘柄とでは信用度が全く違う。

信用度は、長期保有する際のメンタルに大きな影響を与える。だからこそ、グレアム銘柄の最低限の条件に適合した銘柄を、さらに詳細に分析していく必要がある。

グレアムのこの姿勢は、グレアムがわざわざ財務諸表の読み方だけを解説した『The Interpretation of Financial Statements』という本を著していることからもよくわかる。この本は、日本ではパン・ローリング社から賢明なる投資家 財務諸表編として刊行されている。

1937年にアメリカで出版された本であることから、現代の財務諸表とは異なる部分も多く、レビューなどでは「役に立たない」とする声も多い。しかし、グレアムの他の著作を深く読んだうえで勉強してみると、グレアムの理論の根底に流れる考えを汲み取ることができる良著である。

財務諸表の項目を分析してみる

では、財務諸表の中において見るべき項目とその意義を解説していく。

総資産

総資産は、企業の規模を大まかに示すものである。企業によっては固定資産や無形資産を過大評価している場合があるため、総資産は水増しされていることもある。したがって、企業の実際の価値がバランスシート上の総資産と異なるということは珍しいことではない。企業の規模を図るためには、純資産や売上高を見た方がよい。

しかし、バランスシート上の総資産と総負債は常に一致するため、10年にわたる推移を見ることによって、企業が大まかに見てどのように変化しているかのあたりをつけることができる。また、エクセルでまとめる際に、記入した総資産の数値を関数に用いるためにも見ておくとよい。

純資産

純資産とは、資産総額から負債総額を差し引いたものである。

これを株式数で割ると1株当たりの純資産を算出することができ、株の価値を見る一つの指標になる。10年連続で見たときに、1株当たり純資産がどのように推移しているかを見ることは重要である。
また、1株当たり純資産を株価で割るとPBRが算出できるが、PBRはグレアムの最低限の基準にも含まれる要素であることからも重要であることがわかるし、エクセルシートに記入して関数に用いると便利である。

純流動資産/総資産

これは、総資産に占める流動資産の割合を示すものである。相対的に、流動資産が総資産の多くの部分を占め、負債が一般の企業よりも少ない企業の財務は良好である場合が多い。

流動資産と流動負債

これは言わずもがなの重要事項である。
流動資産とは即座に現金に換えることができるか、もしくは1年以内に現金に換えることができる資産のことである。現金及び現金同等物、売掛金、棚卸資産などが内訳となっており、流動性の高いものから記載されていく。

流動負債は、企業が1年以内に支払うべき負債である。短期借入金や買掛金、未払利息や前受金など、企業によって記載される事項は異なる。

純流動資産

純流動資産は流動資産から流動負債を差し引いたものであり、企業の財務力を見るときに非常に重要となる数値である。特に、製造業においては重要性が増す。

純流動資産を見ることによって、企業の事業の健全性が分かる。もし純流動資産が不足していれば、各種支払いが滞って銘柄の格付けが下がったり、事業の縮小を余儀なくされたり、有望な新規事業への進出が不可能となったり、業績の回復が遅れたりする。最悪の場合には支払い不能となり倒産することもある。
しかし、純流動資産が充実していれば、資金不足に陥る可能性は小さい。新たに資金調達をせずとも事業を拡大することができるし、何らかのきっかけで一時的な赤字に陥った時にも難なく乗り越えることができる。工場設備や研究費などへの投資もラクに行える。

清算価値(企業が解散することになった際、現金化される企業の資産の価値)は企業の価値を知る一つの指標になるが、その観点からも純流動資産は重要である。清算時においては、固定資産はかなりの評価減を受けることになるが、流動資産は評価減を受けることが少ないからである。

グレアムの理論において、純流動資産よりも大幅に低い価格で売られている株式を割安株として目を付ける理由もここにある。

流動比率

流動比率も証券分析では多用される。流動資産を流動負債で割ったものであり、流動負債に対する流動資産の比率を指す。企業の財務が健全であれば、流動資産が流動負債を大きく上回っているものである。もっとも、流動資産の流動性が高い事業であれば、流動比率は小さくても良いということになるなど、事業の種類によって望ましい流動比率は異なる。

現金

流動資産の中で、現金を個別に見ることも有益である。これは単純に、現金が潤沢であればあるほど財務が健全だからである。現金が不足すると企業は借入に頼ることになるため、不景気の時期には特に見ておくべきである。現金不足の時期、企業は売掛債権や棚卸資産の処分などによって現金を確保する場合もあるため、その推移には目を光らせたい。

売掛債権

売掛債権とは、商品やサービスの販売によって受け取る代金を請求する権利のことである。つまり、掛売の請求権のことである。
もし売掛債権が売上高などと比較して過大になっている場合には、業績悪化から深刻な赤字に陥る可能性もあるため、注意が必要である。

長期の支払い契約に基づく商品を取り扱っている場合には、特に注意すべきである。

棚卸資産

棚卸資産も個別に見ておきたい。棚卸資産とは販売用の完成品・製品、製造過程にある仕掛品、生産過程で使用される原材料、出荷向けの貯蔵品などの在庫額を示すものである。棚卸資産が過大であることは売れ残りを示し、それを売るためには大幅な値引きが行われることがある。

したがって、棚卸資産の推移を見るとともに、年間売上高を棚卸資産で割った回転率も同時に算出することによって、回転率の変動を見ることができる。

当座資産・純(正味)当座資産

当座資産とは、流動資産から棚卸資産を差し引いたものであり、これによって流動資産を用いる以上に厳密な測定が可能となる。

当座資産から流動負債を差し引いたものが純当座資産である。当座資産が流動負債が上回っているほど、企業の健全性は高まる。しかし、業種によっては棚卸資産が大きくならざるを得ないこともある。例えば、不動産業者などがそうである。そのような業種では純当座資産がマイナスになることも多い。

短期借入金

流動負債の項目に、短期借入金が記載されていることがある。短期借入金がゼロの場合には記載されていないが、もし記載されている場合には無視できない。
短期借入金があるからと言って、必ずしも経営基盤が脆弱とは言えない。繁忙期に短期借入金によって生産や仕入れを行い、繁忙期が終われば全額返済するという季節的な短期借入もあり、それは好ましいと言える。
しかし、慢性的に短期借入をしているのであれば、それが流動資産でカバーできる額であったとしても、好ましいとは言えない。本来は債券や株式などで長期資金を調達する必要があるにもかかわらず、短期借入金によってまかなっていると考えられるからである。

バランスシートに短期借入金が記載されていた場合には、十分な注意をして見ていく必要がある。もし、短期借入金を大幅に上回る現金があるのであれば、それほど問題にはならない。しかし、短期借入金が売掛債権と現金の合計を上回れば、その企業は銀行からの借り入れにかなり依存していることが分かる。

このような場合には、短期借入金が売上高や利益を上回るペースで増えているかどうかをチェックする。もしそうならば、企業が年々弱体化していることは明らかである。

売上と純利益

損益計算書によって売上の推移を見ていくことによって、企業規模の推移を知ることができる。また、純利益を見ていくことによって、赤字の年を炙りだすことができる。さらに、売上に対する純利益の割合を見れば、事業の内容にもよるが、効率よく利益を出せているかどうかを見ることができる。

過去10年間を調べる中で赤字の年が見つかれば、グレアム銘柄の基準を満たさないことになる。これがバフェットの基準になると5年間とも言われるのであるが、やはりリスクの低減を第一に考えるならば、過去10年間を見る方が好ましいであろう。

支払利息と収益率

支払利息についてはあまり深く触れられていないのだが、支払利息と、支払利息に対する収益の倍率は社債発行の検討の際に重要とされている。本稿では普通株の分析がメインテーマなのであまり関係ないと言える。普通株の収益率は、1株当たり利益で見ることができる。

PBR・PER・ROE

PBRが1.2以下であること、PERが15以下(大企業では10以下)であることはグレアム銘柄の基準である。

PBRは株価を1株当たりの純資産で割ることで求められ、PERは株価を1株当たりの純利益で割ることで求められる。

ROEはグレアムの基準にはないが、見て置いて損はない。1株当たりの純利益を1株当たりの株主資本で割ることで求められる。

まとめ:エクセルシートにまとめよう

ほかにも詳しく見ていくに越したことはないが、財務諸表を見る際には上記の項目は必ず見ておきたい。過去10年間の決算短信あるいは有価証券報告書をみながら、各項目をエクセルシートに入力していくとよい。財務諸表には直接記載されない計算が必要な項目を知るためには、エクセルの関数を利用することで簡単に算出することができる。

正直に言って、財務諸表はごちゃごちゃとしていて見にくいものである。それが10年分ともなれば、比較することは非常に困難になる。そこで、エクセルに簡潔にまとめることによって、比較が容易になるのである。

以下は、上記の項目をまとめたひとつの例である。

2016051402

各項目の並べ方は、自分が見やすいように並べればよい。企業によっては調べるべき項目が増えることもあり、その場合には項目を追加して記入していく。
上記はサンケイ化学の財務諸表をまとめた例である。

2016年春号の四季報の全企業を、第一段階として純流動資産によってのみ選別した際、サンケイ化学は時価総額9.3億円に対して純流動資産が25億円であった。
割安である可能性があるので、詳細に分析を行うと、過去10年のうち2年間は赤字であること、10年間でほとんど成長が見られないこと、その割にPERが高いことなどから、投資不適格と判断した。

この例が正解ではないかもしれない。

もしかすると、サンケイ化学の株価が、今後大幅に上昇するかもしれない。気まぐれなミスター・マーケットが高い株価を提示することがあるかもしれない。株式市場の正確な未来は誰にも分らない。

しかし、財務諸表を見れば今後の値上がりの可能性が低いことが分かる。それが分かれば、そのような銘柄への投資を避けられる。そこに意義がある。 

また、このように一旦まとめてしまえば、毎年の決算の際に新たな情報を記入することによって、企業の動向を容易に把握することができる。その意味からも、気になる企業を日常的に分析し、情報をまとめて保存しておくことは大変有益である。

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ABOUTこの記事をかいた人

個人株式投資家、兼フリーライター ゴーストライターとして株式投資の短期売買の書籍を執筆したことから株式投資に興味を持ち、独学で勉強を始める。ベンジャミン・グレアムの投資理論に傾倒するようになり、グレアムの理論を習得すべく『賢明なる投資家』を全文手書きで筆写した。その後株式投資を再開、成績は良好。真のグレアム学派になるべく、日々研鑽を積み重ねている。