日銀に果たして明確な出口戦略はあるのか?

先日、5月21日早朝、

『日銀は将来の金融緩和の「出口」で保有国債に損失が生じる事態に備え、2015年度に初めて4500億円程度の引当金を積む。これに伴い日銀の利益が目減りし、15年度に政府に納付する金額は大幅に減少する。単年度でみれば量的・質的金融緩和のコストが国民に転嫁されることになる。』

という報道が、英語電子版の日経に掲載され、一時110.500円超水準まで続伸したドル円は40銭近く下落してNYタイムを終えることとなりました。

この報道に反応したのはNYタイムに売買をする投機筋やインターバンクということになったわけですが、出口戦略のための引当金積上げという内容に、多くの市場参加者は日銀の出口戦略が早めに始まるのかと思ったことは間違いありません。

4月後半のブルームバーグのほとんど根拠のない観測報道に踊らされて大きく買い上がった相場はその後日銀の発表を受けて、さらに大きく売られることとなり、観測報道の怖さを思い知ったばかりですが、こちらの日経報道は日銀の決算に基づく事実報道のようで、特段内容に嘘はないものとなりました。

※日経英語電子版
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日経新聞の報道で俄然注目されはじめた日銀の出口戦略

この報道内容は事実だとしても俄然注目されはじめたのが日銀の出口戦略です。

これまでも国会で民主党の議員から質問があるたびに日銀関係者はまだ出口のことを語るのは時期尚早として返答をしてきていませんが、決算上はいよいよ損失対策で引当金を積上げることになったことは厳然たる事実であり、いよいよ出口について考え始めていることを示唆する内容となっています。

しかし、具体的に今回の金融緩和後出口に向かうというのはどういうことを行うことになるのでしょうか。
米国のQE3の終焉を手本にして見ますと、まずは国債の買い入れをやめることが真っ先に頭に浮かぶことになります。また、ETFやREITの買い入れも止まることになるのでしょう。出口というからには、緩和を縮小していき、引き締めに向かうのは間違いなく、米国FRBが行なったことに擬えて考えれば、まず国債買い入れ額を減らすことなり、その後買入を全面的に止め、そして、さらに最後には保有国債を売り出していく、いわゆる売りオペを行うことが想像されます。

しかし、既に国内のJGBのマーケットは日銀による国債買い入れでほとんど崩壊しており、しかも直近では10年もののマイナス金利国債でさえ、日銀の買取を痛いして購入する不思議な金融機関さえ存在するわけですから、国債買い入れ終了と言った途端にとんでもない混乱が起きることは間違いありません。

したがって、日銀がどうやって国債の買い入れを市場の混乱が起こらないように変化させていくかが最大の問題となってくるわけです。

利上げも大きな問題に

これまで日銀が未曾有の量的金融緩和としてやってきたことは、とにかく金利を上げることなく名目インフレ率だけ2%を達成させようという方法であり、1100兆円近く国債の発行してもまともに金利を払わない仕組みを確立したからこそ、ここまで破綻せずにやってこれたのが実情です。

財務省の公式な発表によると、仮に2016年度以降に長期金利が想定よりも2%上昇した場合、国債費は同年度に2兆円、17年度に4.8兆円、18年度に8兆円も増加する見込みとされており、消費増税を予定通り実施したとしても3%分が簡単に吹き飛ぶ計算となります。

つまり、日銀は出口だからといって簡単に政策金利などを上げられる状態には全くないことがよくわかります。

日銀の金融緩和に出口などないと言われる所以はまさにここにあるわけで、名目物価上昇の2%が達成してしまうとそもそも金融緩和など継続する大義名分はなくなりますが、それでもやめられないのが現実の状況なのです。

悪いインフレがやってくれば国の財政破綻は確実

ただし、すべてのインフレを中央銀行がコントロールできるわけではありません。
悪いインフレが進行することになれば、当然日銀としては金利を上げざるを得なくなり、ここで国債金利を一体どうするのかが大きな問題になるわけです。幸いなことに現状では発行済み国債のほとんどが国内で流通していますから、ギリシャのように海外勢が売り浴びせをして金利が上昇し国債価格が暴落するといったリスクに直面することはありませんが、このまま低利の国債を維持すれば国内の機関投資家が我慢できなくなって売り浴びせを行い国債の市場は国内主導で暴落する可能性もあることになります。

財務省も日銀も今もっとも恐れているのはこうしたコントロール不能の悪いインフレが起こることです。これを放置しておけばデフォルトは免れなくなってしまいます。

付利をたっぷりつけて国債金利を上げない方法をとるしかない

出口戦略としてはいくつもの案が存在しているようですが、その中でもこうした厳しい現状を乗り切るためにもっとも可能性が高いと見られているのが付利の引き上げです。

このやり方の場合には、日銀のバランスシートの規模やマネタリーベースの残高に直接的には影響しないことから、長期金利、為替、株式など期待に左右されやすい市場への影響が比較的抑えられる可能性があるとされています。
国内の金融機関や機関投資家を相手にしたオペレーションなら確かにこうした方法に実効力があるといえます。

しかし、この話にもとんでもない落とし穴が存在します。今のまま年間80兆円規模で膨らむ超過準備残高は2017年には400兆円に達することになりますから、この部分に付利が1%ついたとすれば日銀の負担は4兆円に達することになります。これが2%の付利ともなればその利払い金額は年間で8兆円ということになり、この費用を誰が負担するのかが大きな問題になってくるわけで、それを超える金利ともなれば利払い額はさらに大きなものになってしまいます。

ちなみに現状での日銀の経常利益は年間で多くても2兆円弱ですから、それを超える金額は赤字決算ということになり、これまで日銀から政府に行われてきたキャッシュフローも存在しなくなりますから、これは大きな問題になることが予想されます。

そのままこの状態を放置すれば日銀自身の自己資本を毀損し続けることになるのです。こうした日銀の赤字決算の常態化と自己資本の毀損が進むことになればだれがこの状況を救うことになるのかが大きな問題になりそうです。

政府が日銀に公的資金を注入してその損失を補填するのでしょうか?
日銀が今頃から引き当て金を積上げ始めているというのは、実際にこうした損失補填を現実のものとして直視し始めているからなのではないでしょうか?

足りない金は刷ればいいと単純な錬金術を口にするヒトも多いですが、どうも日銀が立ち向かわざるをえないこの量的緩和の終焉は非常に心配な状況が待ち構えているというわけです。

こう考えると、不利をつけるのが簡単だなどといいますが、日銀の機能はかなり不思議な存在へと変貌することになってしまいます。この話が顕在化するころには安倍首相も黒田総裁もその役職にはいない可能性が高いですが、日銀の出口戦略というものが本格的に語られることになると、いよいよ中央銀行主体のこのバブル相場の終焉がどのようになってしまうのかにも議論が及ぶことになりそうで、ちょっと考えただけでもかなり恐ろしい状況が確実にやってくることがわかります。

もちろん財政と金融のエキスパートが寄り集まってベストプラクティスを投入することになるのだとは思いますが、日経の報道が出ただけで売りたくなる市場参加者が多かったのは実によくわかる内容であるということだけは覚えておく必要がありそうです。

いまのところどう考えても魔法の錬金術は用意されていないのが現状です。

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ABOUTこの記事をかいた人

PN 今市 太郎

外資系コンサルティングファーム、外資系生命保険会社を経て独立ビジネスコンサルタントとしてビジネスプロセスコンサルティング、クラウドコンピューティングのリプレイスメントや海外のファンドのM&A投資コンサルティングなどに従事。 そのため、株の売買はインサイダーにならないようにFXだけに特化し2007年から本格的に売買をスタートし、9年の実績。 現在は月間5000PIPSから8000PIPS程度をコンスタントに獲得できるように日々精進している。