イギリスのEU離脱の思惑をめぐるポンドトレーダーへの影響

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1月末の日銀政策決定会合でのマイナス金利発表以降、為替相場は異常にボラティリティの大きな動きが連日示現するようになっており、最大の懸案と思われていた中国が春節で市場が休場であっても、ドル円は一気に115円台へと下落し、翌日には114円台にすんなり突入するといった典型的流動性パニック状態に陥ってしまっています。

相場の下落に多くの投げが入ることからストップを連発してつけてしまう下落相場はテクニカル的なサポートラインがはっきりせずに非常にやりにくく、迂闊に買い向かえないのが現状となっています。

当初はドル安と見られていた相場は足元では円高へとシフトしつつあり、2月相場も1月に引き続き非常に緊張感のある動きが継続中です。そんな中、2月後半にむけて大きな注目ポイントがやってこようとしていますので、今回はこれをご紹介しておきたいと思います。

ポンドトレーダーは2月18,19日のEU首脳会談結果に注意が必要

イギリスはEUの運営についていくつもの改革を求めていますが、イギリス側から出された要求について2月18,19の両日に開かれるEU首脳会議で加盟28カ国で議論が行われることとなっており、果たしてこの会合で改革案が合意できるかどうかが焦点となってきています。イギリスサイドではこの合意案をもとにしてEUから離脱するかを問う国民投票が実施されることとなっており、この2月のEU臨時首脳会談で合意されてば、ほぼ10週間程度の準備期間を置いて6月にイギリス国内での国民投票が実施される予定となっています。

もっとも早いタイミングでは6月9日ないし16日が有力視されていますが、今回の首脳会談で合意に至らなかった場合には3月17,18日のサミットにて再議論となることから、国民投票は夏や筋明けの9月15日以降にずれ込むことになります。
この国民投票が実施されることが正式決定されれば、イギリスのEU離脱の思惑をめぐってポンドが大きく売られることが想定され、スコットランドの独立住民投票が行われたときと同じように相場がかなり乱高下することが予想されています。

したがって今回の2月サミットで国民投票に向けた動きがGOとなれば今月中(2016年2月)からポンドの動きがあわただしくなることが予想されるのです。

イギリスのEU離脱はイギリス国内の分裂騒動の引き金にも

イギリスのEU離脱問題が複雑なのは、同時に再度スコットランドの独立問題が浮上してくることです。
前回の住民投票では独立反対で一旦は収まった動きですが、スコットランドはEUに残留を希望する住民が多く、この投票を巡って股裂き状態になることも考えられる状況です。

とくにイギリスの油田はスコットランドに帰属しており、こうした分裂が現実のものになると、さらにイギリスの力を弱めることとなるためポンドが売られやすい状況になります。

前回のスコットランドの独立騒ぎの場合、普通にしていても大きく動くポンド円が1日で平気で200PIPS以上上下を繰り返すといった事態に陥り、世論調査がアップデートされるたびにその結果次第で大きく上下するという非常にリスキーな相場を継続させることとなりました。恐らく今回のEU離脱関連ではそれをはるかに上回る事態となることが予想され、6月までかなり継続的にポンド周りで大きな動きがでることを覚悟しておかなくてはなりません。

また、金融機関などもロンドンから撤退を考える企業がでることになりそうで、こうした具体的な動きもポンドにマイナスの影響を与えることが予想されます。18日からのEU首脳会談は非常に注目される会議となりそうです。

2月のもうひとつの注目ポイント~中国の人民元再切下げ

さて、イギリスとは別に2月後半に気をつけなくてはならないのは中国人民銀行の動きです。

1月29日、日銀がマイナス金利導入したにも関わらず、その効果が3日と持たなかった原因のひとつとして市場で囁かれているのが外資系の短期投機筋の動きです。短期の投機筋は日銀のマイナス金利による円や日経平均の動きにはまったく連動せず、むしろ中国人民元の動きにかなり神経質になっているのが足元の状況なのです。

外為オプション市場では、日銀のマイナス金利を受けて今月26─27日に上海で開かれるG20財務相・中央銀行総会会議に絡んで人民元が切り下げられるのではないかという思惑から、人民元安を見込むポジションの構築が盛んになってしまっているのです。

結果として日銀の政策決定によってオプション市場主導で人民元のボラティリティが上昇し、下落バイアスがピークに達しながら春節を迎えることとなってしまったというわけです。

※USDCNY時系列チャート
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外貨準備高はまたしても大幅に減少で人民元切り下げは秒読みか

金融市場では、中国の外貨準備が1月にどの程度減ったかに注目が集まりましたが、 中国人民銀行が春節前の7日に発表した1月末時点の外貨準備高は3兆2300億ドルと、前月から995億ドル減少し、2012年5月以来の低水準となり、市場の事前予想ほどではなかったものの、十分に悪化した数字となったことがわかりました。今回開示された減少幅は、過去最大だった昨年12月の1079億ドルに次ぐものであり、中国人民銀行の状況がよろしくないことを示唆しています。

国内市場からのキャピタルフライトの防止と証券市場の下落を抑えるために1月中国人民銀行は比較的高く人民元レートを誘導してきましたが、日本のさらなる緩和措置などに直面して切り下げを行わざるをえなくなるのではないかというのが市場の大方の見方となっており、G20前後の中国の動きが危惧されるところです。

8月の切り下げでもわかったとおり、中国人民銀行のこうした動きは株と為替の相場に大きな影響を与えることは間違いなく、とくに直近の円高状況では、さらにドル円が円高方向に加速することも視野に入れておかなくてはなりません。

米系の投機筋はさらなる円高を画策か

CFTCが5日発表した2日時点、つまり日銀の緩和措置が発表されたあとの相場における建玉報告によりますと、CMEの通貨先物市場における投機筋の円の対米ドル持ち高(円のロング)は売りと買いの差し引きで3万7245枚の買い越しとなっています。前回の5万26枚の買い越しから1万2781枚減少する結果とはなりましがが、政策決定発表直後に121.400円レベルまで急伸したことで円ロングを切らされた投機筋が多かったものの、それでも3万7000枚以上がドル円のショートで残っているということはドル円が下落することを想定している投機筋が多いことを示唆しています。

結果として足元の相場は114円台に突入することとなっており、完全に投機筋の読みどおりにドル円相場が動いているところがなんとも気になります。

まとめ

このように相場の波乱要因は依然として多く存在しており、2月の相場も決して気を抜くことができない状況が継続しそうです。

しかし中国の旧正月による休みであってもこれだけ相場が大きく下落するということは、リスク要因を中国だけに押し付けてはいられないことを示唆しているともいえます。やはりもっともリスクが大きくなっているのはFRBの利上げであり、FRBの動きがかなりの金融市場に少なからぬ影響を与えてしまっていることを改めて感じさせられます。実はもう既に大幅下落のプロセスの中に入っている可能性もありますので、相場状況を決め付けずに柔軟に対応することが求められそうです。

いずれにしても為替相場はどうも様子が変わってきていることだけは間違いなく、油断は禁物となってきています。
気をつけなくてはならないのは不意の大幅下落で、ドル円の直近の状況はそれを端的に表した動きとなってしまっています。


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