中国経済問題の再燃

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今年の2月後半上海G20以来ぱったり話題にならなくなったのが中国の経済問題でしたが、10月13日、貿易統計の結果が悪かったことが材料視されることとなり、為替も株もこれを嫌気して大きく調整することとなりました。

米国の大統領選挙、利上げ、ECBのテーパリング、ドイツ銀行問題に加え、英国のハードBREXIT懸念など様々な材料が満載の相場ですが、ポンドが大きく下げて為替市場をかき回している以外は、なにがメインテーマなのか正直なところよくわからないままに10月中盤まで推移してきており、懸念された米国の株式相場の下落調整もさっぱり登場しないまま11月の大統領選挙を向かえそうな気配になっています。

そこで今回は忘れたころにまた登場してきた中国の状況は一体全体どうなっているのか?本当にテールリスクとしてここから急激に顕在化することになるのかについてみていきたいと思います。

話題にならなくなったのは上海G20以降

そもそも振り返ってみますと今年2月後半の上海G20以降、為替相場では中国が本当にまったく話題にならなくなりました。このG20のときに米中で密約があったのではないかといわれたわけですが、確かにそのあとなぜかドルは売られ円が買われる展開が3ヶ月以上継続し、夏のお盆のころには再度100円割れを試すような展開となったのはご存知のとおりです。

一方やるやる詐欺とさえ米国内では噂されているFRBイエレン議長も年初4回などと言っていた利上げのリスケを繰り返し、とうとう今年は年末に1回やれるかどうかが焦点になるほど後ずれを示現させてしまっています。

また、人民元も昨年8月に大騒ぎとなった時期よりもはるかに人民元安になったにもかかわらず誰も何も言わないというかなり奇妙な展開を見せてきているわけです。

穿った見方をすれば、米中の密約があったからこそこうした動きが継続してきたともいえるわけです。

中国は今年政治の年

一方中国自身は今年は経済よりも政治の年といわれており、指導者として再任されるかどうかの共産党大会まで残り1年となった習金平はもっぱらライバル派閥を抑えこんで自分の派閥メンバーを国内の最高指導部に送り込めるかどうかの戦いを行っている最中であるだけに、経済的に悪い話というのは悉く握りつぶして外には出てこないといわれているのです。

実際、昨年これまた大騒ぎした上海の株式市場は3000ポイントあたりをいったりきたりして大きく下げる気配もありませんし、そもそも取引額が昨年の取り付け騒ぎのような状況の10分の1のレベルにまでシュリンクしてしまい話題以前の状態にまで押さえ込まれてしまっています。

為替相場というのはご都合主義ですから、みながテーマと認識しなければ見て見ぬ振りをしてやり過ごす動きになることは往々にしてあるわけですが、今年の中国経済ネタは、かれこれ2月から8ヶ月近くこうした状態に置かれてきたことがわかります。

突然悪い数字がではじめた貿易統計

ところが13日に発表された貿易統計の結果を受けてまず欧州市場が騒ぎだし、ついでNY市場でも株価が大きく下がるという反応が見られることになりました。中国税関総署が10月13日に発表した9月のドルベースの貿易統計によりますと、輸出は前年同月比10%減少と今年2月以来の大幅な下げ幅となり、これまでほとんど中国の経済指標に関心を示さなかったはずの市場はこれを受けて大きく下落することとなってしまいます。

輸入は1.9%減。元建てでは輸出が5.6%減、輸入は2.2%増となっており、貿易黒字は人民元建てで2783.5億元を示現しました。ともかく中国製品だけは世界中にはびこっているわけですから、輸出が10%も減りましたということになれば、かなり状況が悪いということで騒ぎになるのもわからなくはありませんが、これだけの数字ひとつでここまでセンシティブになるのはいまひとつ理解できない状況です。米国の政権交代といよいよ利上げを控えて密約も一旦おしまいなのかと疑いたくなるような状況です。

気がつけば人民元も引き下げ継続

中国の景気は大丈夫なのかと思って最近の経済状況をチェックしてみますと、中国人民元のレートが6年ぶりの安値を示現する形となっており、中国人民銀行が引き続き元安政策にまい進していることも見えてきます。

ブルームバーグの報道によれば中国人民銀行は10月12日、人民元の中心レートを6営業日連続で引き下げており、ドルが上昇する中で、政策当局が一段の元安を容認するとの観測が広がりはじめているとされています。6営業日連続での中心レート引き下げは、ここ9カ月で最長ということで、どうも国慶節以降動きが変わってきている気配も感じさせられます。

※中国人民元対ドル推移
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もちろん米国が一定の理解を示して黙認してきたからこそ今年の人民元の下げは市場でもほとんど問題にはならなかったのかも知れませんが、このあたりの動きも不可解といえるものになっているわけです。

資本流出は見かけ以上というゴールドマンサックスの指摘

人民元の下落が国による故意の世界なのか市場の動きによるものなのかは議論の余地のあるところですが、同じくブルームバーグの報道によれば、8月の公式統計では、人民元決済を通じ277億ドル(約2兆8700億円)が中国から流出したことになっており、2014年までの5年間の月平均44億ドル(約4560億円)よりもかなり急ピッチで資本が中国から流出していることがわかります。

ゴールドマンサックスのエコノミストは人民元が米ドルなどへの換金を制限されているため、人民元のまま越境する資本が増えているのではないかという指摘をしています。

IMFも中国の債務水準については警告を出し始めていますし、BIS/国際決済銀行も中国で危機が3年以内に起きるのではないかという警告を発しはじめており、その予兆として資本流出や人民元売りがでているのだとすれば、結構大変な話になっているといえるわけです。

案の定外貨準備も低水準へと減少

また、中国人民銀行が10月7日に発表した同年9月末の外貨準備高は3兆1663億8200万ドル(約328兆円)で、月末に比べ187億8500万ドルも減少しており2011年5月以来5年4カ月ぶりの低水準となっていることが判明しています。

前月比マイナスは3カ月連続ということで減少ペースは前の月の158億9000万ドルからさらに加速しているとのこと。こうなると一体何に使っているのかが気になりますが、この10月からIMFのSDRに正式採用されるのを前に人民元相場を安定させるために外貨を取り崩して中国人民銀行自身が元買いドル売り介入をしたのではないかという疑惑も高まっています。

となると人民元安は国が自らやっているというよりも市場に押されてそういう形が示現している可能性も高まることになります。

IMFは中国の成長見通しを6%台に据え置き

IMFは10月4日に世界成長率の見直しを発表していますが、これによると、中国はこの先微減にはなるものの6%台の成長を維持するとの見通しが発表されており、BRICSと騒がれたころに比べると驚異的な成長は既に影を潜めていますが、これまで中国起因で成長が図られないとされてきた世界経済は先進国自らの理由で成長が進まなくなってきている状況で、中国経済だけを不安視している場合ではなくなってきているところも気になります。

ということで、調べてみるとほとんど調子のいい話が出てこない中国ですが、もともと経済指標も鉛筆をなめながら作ってきた感も否めないわけですから、急に心配すべき状況なのかどうかの判断は簡単につかないのが正直なところです。

しかし相場リスク満載のはずのマーケットで急に中国のことが気にされ始めている点だけは事実であり、なにか変化が起ころうとしている可能性については当然注意が必要になりそうです。

10月19日は奇しくも1987年に起きた史上最大の大暴落ブラックマンデーから29年となり、月曜日でないことだけが救いになっていますが、下落の特異月が10月であるだけになんとも気になる材料が中国といえそうで、米国の利上げや大統領選挙だけに気をとられずに、ここからはそれなりに注意をしながら取引をすることが重要になりそうです。


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