中国債券バブル崩壊リスクの足音~相場暴落のトリガーは依然中国にあり

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る
※この記事は524で読むことが出来ます

2016050701

上海G20以降、主要国の密約合意があったのかどうかはわかりませんが、妙にドル安が進み、新興国株価が戻して原油価格も45ドル以上まで回復するという安定した相場が継続し、中国上海市場や人民元の動きなどもほとんど気にされなくなる時期が続きました。円高に大騒ぎしているのがもっぱら日本政府だけで、ドル安が世界経済を落ち着かせていることは間違いない状況です。

しかしながらすっかり注目されなくなった中国経済は水面下で確実に相場暴落のトリガーとなる事態が進んでいるのです。

それが中国債券バブル崩壊リスクです。
今回はここに注目してみたいと思います。

想像以上に危ない中国の債券バブル崩壊

5月4日、日銀の追加緩和観測報道でドル円と日経平均を大幅下落に陥れてしまったブルームバーグが中国債券市場について、

「今年中国企業が償還しなければならない社債規模が3兆7000億人民元(約65兆8363億円)に達する」

と報道し、またしても注目を浴びています。
こちらのほうは単なる憶測記事ではなく、事実に基づいた内容のようで、既に社債の償還のできない企業のデフォルトがはじまりつつあるのです。

エネルギー国営企業人(國投新集・Sdic Xinji Energy)は、3月11日に予定された債券発行をキャンセルしていますが、5月15日に満期到来の10億人民元(約177億円)の債券を償還しなければならない状況で、果たして償還が実現するかどうかに注目が集まっています。
また、エバーグリーングループも同日である5月15日に4億人民元(約70億円)の債権満期が到来するとされています。 ブルームバーグは、中国のある信用格付け会社の説明により、この造船会社が果たして負債を償還できるかどうか不透明だと指摘しています。

このようは債券償還リスクに直面している企業は中国伝統産業群に属する企業に非常に多いようで、金属、炭鉱業などで上場してはしまったものの実態は借金をして既存の借金を返済しなければ事業が立ち行かない企業が非常に増えていることを示唆する状況となってるのです。

中国個人投資家の大いなる勘違い

これまで中国の国有企業は債券を発行して償還に行き詰った場合には中央政府や地方政府から支援を受けることで新たな債券を発行し借金返済の自転車操業を乗り切ってきたのが実情でした。

これを見た個人投資家は株式市場よりも債券のほうが確実な利回りでリスクのない資産であると錯覚し、証券相場から大きく資をシフトしたため、社債と国債の利回り格差はここ1年で最低水準にまで下がることとなっていたのです。特に昨年6月の上海株式市場の暴落では中国金融当局の様々な規制などに嫌気した個人投資家が債券市場になだれ込む形となり、実態としては経済成長は著しく鈍化し、企業業績、収益も大幅に悪化しているにも関わらず、昨年1年で中国企業は3兆6000億ドルもの社債を新たに発行しています。

これは2014年の2倍の規模に当たっており、その加熱ぶりを示す数字になっているのです。

政府によ外人投資家への制限緩和も市場の拡大を加速

ところで、中国は2月24日、国内債券市場への海外投資家の関与制限を大幅に緩和し、機関投資家による中国債の購入を認めることとなりました。その一環として海外の機関投資家に対し設けていた上限800億ドル(約9兆円)の運用枠を撤廃しているのです。中国はこれを、国際通貨基金(IMF)の基準に適合させ、中国の金融システムを市場原理に委ねるための取り組みと自画自賛していますが、実態は国内からの資本流出を食い止める手法の一つとみられています。

しかし世界的にマイナス金利が横行しイールドハンティングが盛んに行われている金融市場では危ないとわかっていてもこうした中国債券市場に資金と投入する投資家が多く、経済の実態とは関係なく中国の債券市場は短期間に膨れ上がってしまったという経緯があります。

海外投資家による中国債保有はこの3月に2.4%増え6800億元(約11兆6500億円)に達しています。

これは過去8カ月で2度目の増加となりましたが、その後、中国の国債と社債の相場は急落し、国債利回りが月間ベースで大きく上昇しようとしているのが足もとの状況です。

※中国国債金利推移 (出典:ブルームバーグ)
2016050702

中国はゾンビ企業を退場させる方針を表明

中国政府は、返済資金の調達を銀行融資に依存するゾンビ企業を退場させると公言しはじめています。

実際、今年に入ってから少なくとも7社が債務不履行に陥っており、当然のことながら債券市場は価格が下落し利回りは大幅に上昇しはじめています。深刻な状態に陥った中国企業の多くは重工業セクターに入っているのが特徴です。政府は2008年以降景気刺激策を実施してきており、その恩恵を享受した業界が重工業セクターであるためこうした偏りがでているとも言われます。中国政府は不動産デベロッパーへの融資を銀行に促し、国有企業などに道路や空港を新設するよう後押ししたことから成長率と雇用を押し上げる結果にはなりましたが、製鉄会社や石炭会社やセメント会社は足もとでとうとう返済ができない状況となっているのです。

こうした企業の多くは上場企業となっていることから、債券の償還ができない企業のデフォルトは直接的に株式市場にも影響を与えることが考えられます。
中国上海市場は3000ポイントを行ったりきたりして一応の安定を保ってここ数ヶ月推移していますが、この先さらに安値を模索する可能性も高まりつつあり、こうした債券市場の異常事態が果たしてどのタイミングでピークを迎えることになるのかがきわめて注目される状況となっています。

米国はもはや今年利上げできない?

足もとの相場は米国が利上げを行わず、ドル安、原油高がもたらしている安定に過ぎませんが、これで米国FRBが万一6月利上げに走るようなことがあれば、一気に相場状況は一変することが予想されます。

これを引き金として中国債券バブルが一気に崩壊するようなことがあれば夏場以降、リーマンショック級の大暴落が引き起こされても不思議ではないところに相場は位置しているといえるのです。

当然FRBも中国の状況は注視しているものと思われますので、大統領選の今年、闇雲に株式相場を下落させてしまい混乱を引き起こしたくはないと考えているはずですから、敬虔な利上げの実施はありえないとは思いますが、全く利上げの可能性がないともいえない状況です。

現状の世界経済は非常に微妙なところで安定のバランスが保たれているだけですから、一旦崩れ始めると想像以上の大きなマイナス結果がでかねないところにあることは改めて肝に銘じるべきです。

テールリスクは存在が確認されたものがいきなり暴落材料化するのが常

リーマンショックに至るまでのプロセスを思い返して見ますと、サブプライムローンの問題から実に2年近くリスクを引きずり、いきなりリーマンの破綻で相場はパニックに陥っています。

つまり、もともとそこに存在するリスクを認識しながら結果大暴落へと突き進んでいることがよくわかります。

中国についてはだれしもが潜在的リスクを感じていますが、共産党政権下で実態がよくわからない中にあって、市場で中国リスクのセンチメントが高まらないと実態は変わらなくてもリスクとしては見過ごされやすい状況が続いてしまいます。特に為替の世界ではこうした傾向が強く、問題が起きればいきなり相場は下落に転じるといった非常に稚拙な動きを顕在化させることが多い点には十分注意をしていく必要がありそうです。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

当サイトオリジナル!本当に使えるMT4インジケーター、FX三種の神器を無料プレゼント

2016101801

14

pdf

FX三種の神器の詳細はこちら

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*