防衛的投資の心得。「まだ成長株を狙って消耗しているの?」

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よく「攻撃は最大の防御」というが、これは株式投資にはあてはまらない。ガンガンと攻め込んでいるうちに元手がなくなってしまう可能性が高いからだ。株式投資においては攻撃よりも防御の方が重要であり、元手を絶対に失わない配慮がある事を前提として、その上でどれだけ稼ぐかが重要なのである。

前回の記事に書いた通り、元手を失わないために多くの投資家に推奨されるのが防衛的投資である。本記事では、防衛的投資家はどのように株式を選んでいけば、元手を失わずにそれなりのリターンを上げられるかを解説していく。

普通株への投資

ポートフォリオを組むにあたっては、普通株と債券での構成が基本となる。グレアム流バリュー投資では、普通株50%の組み入れを基本的な構成としているが、これは普通株の以下の性質によるものである。

・インフレが起こった際には債権は目減りするのに対し、株式はインフレによって価格が上昇する傾向(絶対ではない)があるため、インフレから守ってくれる

・債権その他の投資対象に比べて、適切な銘柄を選んだ際のリターンが大きい

特に現在においては、日本政府の発行する国債は非常に金利が低く、魅力的な投資対象とは言えない。外国債券は利回りが高いものもあるが、投資する際には知識が不十分となる場合も多くリスクが伴う。したがって、考えられる手法としては適切な外国債券投資ファンド社債にも投資している国内債券投資ファンド、場合によっては不動産投資ファンドなどを購入するという方法が考えられるが、これもそれほど高いリターンは期待できない。

したがって、債券投資の部分はこれらに任せるとしても、やはり普通株に投資することによって、配当と株価上昇による収益も得たいところである。

もっとも、ファンドというものを挙げてしまうならば、防衛的投資家はインデックスファンドに投資することで普通株への投資を行うのが最も堅実であるともいえる。インデックスファンドではプロの投資家たちが市場平均の利回りを得るために投資を行っているため、防衛的投資の本来の目的である「そこそこの利益」を得るのに役立つ。むしろ、素人の投資家が投資するよりは成功する確率も高いと言える。

しかし、自分のお金の運用を任せるに足るファンドの選択を誤るケースもあるし、できる範囲で自ら投資を行って経験を積み、自分なりにリターンを上げられるようになりたいと思っている人も多いだろう。そのような人は、普通株を選択するにあたって、以下のことに注目しながら銘柄選択をしてほしい。

銘柄の選択基準

防衛的投資か普通株に投資する際には、元金を防衛するために可能な限りリスクを下げなければならない。そのためには、以下の基準を守って投資するのが良い。

  1. 十分な分散投資を行う。過度に分散すると管理が困難になるため、10~30銘柄が推奨される。
  2. 財務内容のよい大企業を選択する。大企業は倒産する可能性が低く、値動きも安定的である。
  3. 最低でも過去10年間にわたって、継続的な配当実績があること。
  4. 過去7年間の平均企業収益を調べ、株価が企業収益の25倍以上の株は切り捨てる。

1〜3は解説せずともお分かりいただけると思う。リスクを下げるためには少数の銘柄に集中的に投資すべきでないし、二流企業などに投資することもできるだけ避けた方が良いし、「配当金を支払わずに再投資をすることでさらなる成長を期する」としている企業が、実際には思ったような結果を得られないケースは多い(また、株主に還元しない態度にも問題がある)。

一方で、に関しては余り聞き慣れないかもしれない。
しかし、防衛的投資に当たって4を外すことはできない。なぜならば、この基準を設けることによって、成長株を除外することができるからだ。成長株を狙うのは大きく儲けることを狙って日夜研究を怠らない積極的投資家の仕事であり、防衛的投資家の手を出すべき範疇のことではない。

成長株の株価の冒頭に魅力を感じて投資をしても、その後まもなく訪れる反落・暴落に巻き込まれる危険の方が大きいのである。

そもそも成長株の定義は、

「過去に一株当たりの利益が一般の株式よりも大幅に高い割合で増加しており、将来的にもその状況が続くと(多くの場合“安易に”)見込まれている株式」

のことである。成長株は株価が本来の価値より大幅に高くなっている。したがって、過去7年の平均企業収益と比較した際に、ほとんどの成長株は25倍以上となり投資不適格となる。つまり、4の基準を設けておくことによって、投機性の高い成長株への投資を避けることができるのである。

成長株は人気が高く、投資経験の浅い多くの初心者も買っている。それさえ買えば株で儲けるとことができると言わんばかりに。しかし、身の丈に合った堅実な投資を行って地道にお金を増やしていこうと思うならば、安定性の高い大企業に分散投資すべきなのである。
これらの大企業群は比較的人気が低いからこそ、合理的な株価収益率で買うこともできる。

一発屋を目指して成長株に投資するか、堅実な投資を行うか。後者の場合どれくらいのリターンが期待できるかを考えれば、どちらがよいかは明白である。仮に現在25歳の男性が定年退職までの40年間にわたり、毎月4万円を防衛的投資で複利運用した場合、元手1920万円が1億560万4992円になる。つまり8640万4992円の利益を得られることになる。

成長株に投資して一発当てただけでは到底及ばない金額であるし、一発あてた人が味をしめて二発目、三発目と挑戦していくうちに元手を失ってしまう可能性も高い。このことからも、成長株への投資は避けた方が賢明である。

ポートフォリオの組み換え

上記の基準をきちんと守り、債券:普通株=50:50の比率も守りながら普通株に投資していくわけであるが、投資したらそれで終わりではない。防衛的投資では長期投資が基本であるため短期投資に比べてゆったりと構えていられるが、自分のポートフォリオを定期的に点検することは必要となる。投資した株式の質がどう変化したかをチェックし、あまりにも質が低下したと思えばポートフォリオの変更も必要かもしれない。

点検の頻度は、少なくとも年に1回である。投資を始めたばかりのころは、おそらく上記の基準を満たすかどうかを念入りに調べ、投資対象の質を吟味していたことと思う。点検の際には、その時の態度に立ち返って点検すべきである。そして、上記の選択基準から外れた場合には、変更を検討してもいいだろう。つまり、その株は本当に売却するべきなのか、売却したならば乗り換えるに値する魅力的な企業が他にあるかなどを検討し、適宜変更していくのである。

ドルコスト平均法のすすめ

防衛的投資家の投資の際におすすめの手法が、ドルコスト平均法である。

ドルコスト平均法とは、あらかじめ毎月投資する額を一定に定めておき、その金額分だけの普通株を買い付けていくという方法である。この手法は、現在の株価が果たして割安なのか割高なのかという難しい判断を迫られたとき、あまり考えずに投資できるメリットがある。深く勉強していない投資家は、難しい事柄について深く検討しても結局は間違うことも多いため、あまり考えずにドルコスト平均法を採用したほうが良い結果となる場合もたくさんある。ドルコスト平均法を用いると、下げ相場でも上げ相場でも良い効果が期待できる。

例えば、

・毎月4万円を投資すると決めておき、1000円40株を買ったところ、翌月800円に下がった。800円50株買い付けると1株当たりの平均取得価格は900円となる。元々1000円以上に値上がりすることを期待して買っているのだから、平均取得価格が900円に下がれば、期待以上の収益を得られることになる。

・毎月4万円を投資すると決めておき、1000円40株買ったところ、強い上昇トレンドが生まれた。翌月、株価は2000円に上がっていたため、20株しか買わなかった。この場合、その後も上昇トレンドが続いた場合に大きな収益を得ることができ、また相場の熱狂に呑まれて多額の投資を行うことがないため、反落した場合の損失が少ない。反落したとしても、上昇の途中で複数回の買い付けを行っているため、それらを全て売り抜けばやはり大きな収益が得られる。

ドルコスト平均法に対する否定的な意見のひとつに、毎月一定額を何年も、何十年も忍耐強く投資し続けるなど不可能だという意見もあるだろうが、果たしてそうだろうか。この手法によって堅実な投資ができるならば、喜んで毎月一定額を投資すると筆者は思うのだが・・・。ドルコスト平均法は規則的な手法であり、心理的・財政的に大きな負担とならない。

これができないとなると、やはり株式投資で大きく儲けたい、運試しをしたいという投機的理由があるように思う。


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