ギャンブル投機家はこれを学べ!ベンジャミン・グレアムの投資理論、「葉巻の吸いさし」株への分散投資とは!?

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2016042201

以前の記事(http://360fx.info/kengyo)で、ベンジャミン・グレアムが「投資」「投機」は違うということを、口を酸っぱくして強調していたことを解説した。

これもグレアムの投資理論には外せない部分である。投資はあくまでも徹底的な分析に基づくものであり、分析の結果として元金の安全が保障され、なおかつ満足のいく収益が約束されるものである。

これに対して、投機は徹底的な分析を行わないものであり、この違いは非常に大きい。

投資家の多くはろくな分析をせず、アナリストがそういっていたから、雑誌を読んで値上がりしそうだから、よくわからないからとりあえず、などといった理由で資金を投じているが、これは投資ではなく投機であり、単なるギャンブルに過ぎない。しかし、このようなギャンブラーがいるからこそ全く根拠のない株価で売られる株が出てくるわけで、正しく投資をできる人はそこに目を付けて本来の価値以下で売られているものに投資をすることで、元金の安全と満足のいく収益を得ることができるのである。

株ブームは周期的に訪れるものだが、これは正しくは投機ブームというべきものであり、ギャンブラーが市場に溢れかえるタイミングである。景気が良いと盛んに報道され、今こそ株を買うべきと証券会社やアナリストに吹き込まれ、多くの人が買うことによって実際に株価は上昇し、ブームが形成される。ブームに乗っかる人々は、株価が際限なく延びていくかのように思い込んでいる(頭の中ではそんなことはあり得ないと分かっている人も多いが、それを言えば自身の投機行為を自ら否定することになってしまうため、努めてそうだと信じ込む)。

このブームに乗っかり大金を手にするギャンブラーはごく一部であり、多くのギャンブラーはお金を失うだけである。
失われたお金は誰が頂戴するかと言えば、それは賢明な投資家である。賢明な投資家は投機ブームの際にも冷静さを保って正しく投資を行うことで、このマネーゲームに勝ち残ることができる。
もちろん、ギャンブラーの中にも財務の分析を行う人はいる。しかし、グレアムの手法などの徹底的な証券分析を学んだ投資家の分析技術に比べれば非常につたないものであり、ギャンブラーは分析したところで所詮は投機の域を出ない。

例えば、利益の推移を調べていると、巧みな操作(内部留保した剰余金の取り崩しによって利益を生み出す、子会社の売却を経常収益として計上する、過去の利益を下方調整する、etc)によってあたかも成長を続けているかのように見せている企業があるが、それを見抜けないギャンブラーは成長株を見つけたと喜びお金を投じる。それを投資であると思い込むからさらにタチが悪い。これではお金を失って当然である。

しっかりと分析を行えば、投機は避けられる。
グレアムは分析によって探すべき株を以下のように教えている。

「葉巻の吸いさし」株とは

グレアムは、企業の実質的な価値よりも安い株価で取引されている割安株に投資をすれば、少なくともその差額分の利益を得られるとしている。彼はそのような株を「葉巻の吸いさし」株と呼んだ。

葉巻の吸いさしは、まだ吸うことができる部分があるものの捨てられてしまうものである。

市場から見放されているものの、詳細な分析の結果、投資価値があると判断した株を葉巻の吸いさしに例えたのである。
この「葉巻の吸いさし」を探すにあたって、グレアムはスタンダード・アンド・プアーズの月刊誌『ストック・ガイド』を愛用した。

『ストック・ガイド』は全米の上場企業の全株式について、基本的なデータを収録したものである。とんでもない割高な価格で取引されている株もあれば葉巻の吸いさし株も掲載されており、それらの企業の様々なデータを得られる。グレアムは、冊子の中から葉巻の吸いさしを探すにあたって、多くの基準を設けている。純流動資産、長期負債資本比率、株価純資産倍率、収益の安定性、配当実績、利益の伸び率、株価有形固定資産比率、収益力などの様々な基準をもとに探していく。

日本では、東洋経済新報社から年4回出版される『会社四季報』がこれにあたるであろう。四季報にも様々なデータが載っており、それを紐解くことは楽しい。しかし、グレアムの基準を調べるためにはやや使いにくいともいえる。例えば、グレアムが最重視する純流動資産は四季報には掲載されておらず、それを調べるためには会社の財務諸表をその都度調べなければならない。それでも、多くの企業を総資産と時価総額を比較することで即弾くことも可能であり、全く見込みがない企業を切り捨てることができる。また、純流動資産でグレアムの基準に適合した企業をさらに詳しく調べる際に、参考になる情報がたくさん載っている。

グレアムは、葉巻の吸いさしへの投資について、以下のように語っている。

「あまりにも簡単で驚くほどだが、色々な業種の株を、純流動資産を下回る価格で購入していけば、かなり満足のいく結果が得られる。

過去30年以上にわたる経験でもそうだった。

もっとも、色々な業種に広く買っていくことと、その後すぐに値上がりをしなくても持ち続けるだけの忍耐強さが必要だという条件がある。時にはかなりの長期間にわたって辛抱することになるかもしれない」

ちなみに、グレアムが「あまりにも簡単で驚く」と言っているのは、純流動資産を下回る価格で購入すればほぼ間違いなく儲けられるという単純明快さを指したものである。実際には、葉巻の吸いさしを探すためには苦労が伴うし、値上がりが遅ければ待つことに苦痛も伴う。簡単ではないと感じる人も多い。

投資において待つことは苦痛である。待てど暮らせど中々上がらず、一時的な値下がりをすれば売ってしまいたいとも思う。実際、グレアムが投資したある企業では、一株当たりの純流動資産が30ドル、総資産は50ドルであるのに対し、株価は20ドルであった。グレアムはこれに投資をしたが、中々値上がりしなかった。3年半待って株価はようやく53.75ドルに上がり、十分な利益を得ることができた。

葉巻の吸いさしに投資をすれば、このようなことも多い。したがって、グレアムの手法をきちんと学ぶことによって、その株は必ず値上がりするという確信の元に買い、なかなか値上がりせずとも飄々としていられる精神を身に付けなければならない。

グレアムの基準を守れば騙されない

筆者は年4回、四季報に掲載されている3600社すべてに目を通す。うんざりする作業だと思うかもしれないが、実際には非常に楽しいことである。葉巻の吸いさしが見つかった時はワクワクするし、以前はグレアムの基準に適合しなかったものの気にかけていた企業が割安になっているとこれまたワクワクする。

しかし、そのようなワクワク感以上に、筆者が個人的に大変有益だったと思うことがある。

それは、投資雑誌などで割安とされている株式を実際に調べてみると、割安でも何でもないことが多いということである。

例えば、ある投資雑誌では「割安株を大公開」として100社以上の株を紹介していたのだが、その雑誌に書かれているデータを見た時点でグレアムの基準に適合しそうな企業は約30社しかなかった。

次に四季報を用いて割高な株を弾いていくと、5社ほどに減った。

最後にそれらの企業の財務諸表をもとに真の価値を調べると、グレアムの投資基準に適合するのはわずか1社だけであった。

紹介しているアナリストの頭がおかしいのか、100という数字が欲しいという編集部の意向のために全く割安ではない株式を無理矢理紹介しているかのどちらかであろう。そして、アナリストから見捨てられた約3500社の株式を対象として葉巻の吸いさしを探すと、本当に割安な株式が100以上見つかった。

つまり、グレアムの基準をきちんと守る姿勢があれば、アナリストが言っていることがいかにでたらめであるかがよくわかる。いや、アナリストがでたらめであるというよりは、現在世に出ている分析手法では質的な要素を重視する傾向が強く、アナリストもそれを利用することで、グレアムのような数字に徹した量的分析が見捨てられているのであろう。四季報を詳細に調べていけば、このことが分かる。そして、証券会社やアナリストの言い分を、必要に応じて「絶対に間違っている」と判断できる自信が身に付く。

株式投資では自分で考えて投資していかねばならないが、多くの人が周りに踊らされて投機に走り、お金を失う。そのような人々と同様の間違いを犯さずに生き残っていくためのマインドを身につけるためにも、グレアムの教えに従って葉巻の吸いさしを自らの手で丹念に探してみることは大変有益である。

まとめ、葉巻の吸いさし株の弱点

グレアムの弟子であるウォーレン・バフェットは、当初は葉巻の吸いさしへの投資に忠実であったが、後にこの手法の弱点を指摘して独自の観点を盛り込んで投資を行っている。
バフェットが指摘した弱点とは、まず爆発的な収益が見込めないことである。

葉巻の吸いさし株は、真の価値と実際の株価との差額を得ることを目的としており、大きく稼ぐことを目的としていない。
そのため、多くの収益を求めるためには多くの投資対象に分析すべきであり、実際にグレアムは常に100銘柄以上に分散投資を行った。

また、この戦略では吸いさしの葉巻を一服すれば、つまり株価がある程度上昇すれば売ってしまう。もしその株がその後も伸び続ける成長株であればもったいない選択となる。

グレアムの手法には超優良銘柄を永久保持するという観点がないのである。

弱点はもう一つある。それは相場全体が落ち込んでいる時にはたくさんの割安銘柄が見つかるのだが、相場が盛り上がっている時には割安銘柄が非常に見つかりにくく、投資対象が少なくなる可能性もあることである。
バフェットくらい多額の投資を行うようになれば、葉巻の吸いさし戦略は投資効率が悪くなるだろう。バフェットも、まだ投資額が小さかったころはこの戦略を採っており、よい結果を得ることができていた。しかし、投資規模が大きくなるにつれて次第に使いにくくなっていたのだ。

もっとも、一般的な個人投資家が投資を行うならば、葉巻の吸いさし戦略によって十分な投資パフォーマンスを上げることができるだろう。グレアムは個人投資家に対して10~30銘柄の分散投資を推奨している。あなたも四季報から葉巻の吸いさしを見つけ出し、投資してみてはいかがだろうか。


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