ギャンブラーが好む「投機」と賢明な投資家が行う「証券分析」はなぜ相性が悪いのか

先日の記事(http://360fx.info/si-analysis)において、証券分析の役割に触れた。

本稿では、証券分析の役割をさらに見ていきたい。
特に、証券分析は決して完全無欠のものではないこと、そのような部分に障害があり、どのような状況に弱いのかということを見ていきたい。それを知ることによって、証券分析と投機の相性の悪さが明らかになり、証券分析があくまでも賢明な投資のためのものであることも、よくわかると思う。

証券分析の障害

証券分析を行い、投資適格の証券のみに投資していくことによって、確実に利益を得ることができるというのは理論的には正しいのだが、実際に適用するとなるとうまくいかないことも多い。

証券分析にはいくつかの障害があるからだ。
その障害とは、

  • 不十分または不確実なデータ
  • 将来の不確実さ
  • 市場の不合理な動き

である。

不十分または不確実なデータ

企業によっては、決算データの修正が行われることがある。
これは、初め発表した決算データが不確実であったということに他ならない。ほとんどは会計処理に伴うものであるが、このような不確実なデータがしばしば公表されているということだ。
例えば、財務諸表をもとに証券分析を行う時、それが不確実なデータならば誤った分析結果が導き出されることとなる。

このような単なるデータ上の誤りは気づきやすいものでもあるが、もっとタチの悪いのが隠ぺい工作である。隠ぺい工作が露見して大騒ぎになる企業というのは、いつの時代もいるものだ。そのような不十分または不確実なデータには常に遭遇する可能性があり、情報の不備や隠ぺいの事実を見逃してしまうこともある。

将来の不確実さ

不十分または不確実なデータよりも見抜くことが難しいのが、将来の不確実さである。

多くの事実によって過去と現在を分析し、将来に確かな見通しを付け、この証券ならば間違いないと思って投資したとしても、たったひとつの出来事によってそれが崩れ去ってしまうことがある。

グレアムは証券分析を確立するにあたって、この問題を以下のように結論している。

「将来の変化は予測不能であるから、証券分析をする者は『過去の記録は少なくとも将来に起こる可能性のおおざっぱな手掛かりにはなる』という前提で証券分析を進めるしかない。そうであればこの前提が揺らげば揺らぐほど、その分析結果も不確実なものになるのも、これまた仕方のないことである」

つまり、将来は予測不可能であるものの、過去の分析によって予測の正確性を高めることはできるということだ。
不確実さが少ない上位証券、本質的に安定した業種の企業など、将来の不確実さが比較的少ないものを対象とすれば、証券分析が大いに生きることとなる。

また、様々な事件から市場が荒れている時、つまり次々と新たな事態が起きてくるような激変する状況では、証券分析の効果がかなり小さくなってしまうこともある。これは証券分析のデメリットである。しかし逆に考えれば、通常の状況下で適用すれば大きな効果を得られるものでもある。

市場の不合理な動き

市場そのものが証券分析の障害になることもある。将来が予測できないのと同じく、市場の動きも誰にも予測できないものである。しかし、将来的な市場の動きに投資の成否がかかっていることも事実である。

投資をするにあたって、証券の市場性が重要なものであることは言うまでもない。買った証券が売りたいときに容易に売れることは重要であるし、その時に満足できる値段を付けていることも重要である。だからこそ、投資家が相場の動きに無関心でいることはできない。

証券分析の目的は、その証券の本質的価値を知ることによって、過大評価されている証券や過小評価されている証券を探し出すことである。つまり、相場における価格と密接に関係している。それが分析結果の通りであるかどうかは、価格によって証明されるのだ。
 

価格の修正にともなうリスクへの対策

証券分析と市場の関係は、次のことを前提としている。

それは、証券の時価は本質的価値から常に乖離している、そして時価と本質的価値の乖離は自律的に修正される傾向があるということである。

割安株への投資が利益を生み出す理由もここにある。つまり、本質的価値よりも安い証券を買えば、その乖離が埋まることによって利益が出るということだ。
しかし、自律修正作用がうまく働かないこともある。実際に、市場から見捨てられたり偏見を受けた小さな企業の株式が、本質的価値よりも安い価格で長期間にわたって過小評価され続けることがある。
逆に、過度の熱狂や人為的な好材料によって、本質的価値よりも高い価格が維持されることもある。そのようなことはしばしば見られることである。これは、自律修正によって乖離が埋まる前に新たな材料が出現することによって、自律修正の妨げとなっているからである。これも証券分析の障害といえる。

このようなリスクへの対策としては、以下のようなものが考えられる。

  • 新たな材料が出現しない(出現しにくい)状況で証券分析を行う
  • 投資家の関心が高く、時価と本質的価値の乖離が早期に修正される証券に対して証券分析を行う
  • 一般的な経済状況(企業と発行証券の市場価格にバランスが取れており、不確実な状況下でも割安な証券を発見できるような状況)で証券分析を行う

市場価格は、実に多くの要因を織り込んだ結果としてつけられるものである。政治の状況、経済の状況、投資家の心理など多岐にわたる要因を含んでおり、なかにはそれらを無視した投機的な要因や、投機的要因と対立する分析的な要因も織り込んでいる。このことに関して、グレアムは印象的な表現をしている。

「マーケットは各証券の特質に応じて、非人格的で正確なメカニズムに基づいてその価値を反映する計量器ではない。マーケットとはむしろ、無数の個人が理性と感情に基づいて選択した結果を集計する『票数計算機』のようなものである」

だからこそ、時価と本質的価値は常に乖離するものなのだ。もしマーケットが単なる計量器であれば、時価=本質的価値になるはずだ。

証券分析と投機の関係

上記の対策は、投機を避けるという事でもある。投資と投機は明らかに違うものであり、賢明な投資のために証券分析があるということは、これまで折に触れて述べてきたことである。しかし、証券分析の表面を見てみると、証券分析を正しく行えば投機にも生かせるのではないか、と考える人もいるだろう。例えば、投機的な企業の財務内容を分析すれば、投機の勝率が上がるのでは?、という考え方である。

しかし、これは誤りである。

まず、投機のリスクは証券分析によって得られる利益よりも大きいということである。投機のために必要なのは証券分析ではなく、投機のための特殊なテクニックが必要となる。そのようなテクニックや勘がなければ、いくら証券分析に頼ったところで、損失が利益を上回ることは目に見えている。

また、相場が大荒れしているような投機的な状況では、丹念に分析したとしても分析結果を速やかに修正していくことが求められる。つまり、投機的な状況では証券分析の効果は小さくなる。これも証券分析と投機の相性の悪さである。

このほか、投機的な銘柄や投機的な状況下では、証券分析では対処することができない未知の要因の出現によって、分析結果が役に立たなくなることもある。証券分析の結果、非常に魅力的であると判断した証券であっても、時には会社の内部の者しか知らない大きな悪材料を抱えていることもある。そのような時、インサイダーによって相場が不合理な動きをすることもある。これらの投機的な状況下では、証券分析をする者の多くは知りえない情報によって、分析結果が崩壊することもあり得るのである。

証券分析が投機家にも利益をもたらすことが皆無と言うわけではない。しかし、利益になることは保証されないし、リスクの大きさから考えて損失が利益を上回る可能性が高い。それに、投機的な状況で売買を行った結果として利益を得たとしても、それが果たして証券分析で利益があがったのか、または偶然によるものであったのかを判断するのは難しい。中には、証券分析が投機にも使えると過信し、大きな間違いへと進んでいく人もいるかもしれない。

証券分析の批判的な役割

証券分析では、様々な事実を一定の基準に当てはめて分析的な判断を下す。

証券分析の役割は、記述的な役割、選択的な役割、批判的な役割であるが、順序的に考えれば、証券分析を行い証券を批判的に分析することによって、選択的・記述的な役割が可能となるともいえる。

証券分析にあたっては色々なことを検討する。財務諸表の数字の検討はもちろんのこと、債券や優先株の場合には保護条項も検討する。証券分析をする者は、企業提供する様々な事実を分析することによって、企業の問題点を批判的に見ることができるようになる。批判的に見る目が養われると、経営陣の行為(資本構成、配当政策、将来の発展の可能性、経営指針、不採算部門の再建または整理など)なども批判的に見ることができるようになり、賢明な投資に役立てていくことができる。

証券分析は賢明なる投資のためには必要不可欠なものなのである。

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ABOUTこの記事をかいた人

個人株式投資家、兼フリーライター ゴーストライターとして株式投資の短期売買の書籍を執筆したことから株式投資に興味を持ち、独学で勉強を始める。ベンジャミン・グレアムの投資理論に傾倒するようになり、グレアムの理論を習得すべく『賢明なる投資家』を全文手書きで筆写した。その後株式投資を再開、成績は良好。真のグレアム学派になるべく、日々研鑽を積み重ねている。