2016年後半市場の最大関心事~米国は利上げするの?できないの?

昨年からほぼ2年越しで金融市場が常に注目し続けているのが米国の利上げですが、かなりの条件が揃いつつある中でもなかなか実施を決められないイエレン議長の優柔不断さに市場はかなり利上げの後ずれを意識しはじめていますが、実際のところはまだまだどうなるかよくわからない状態が続いており、この見方をめぐって思惑から相場が上下することが引き続き予想されます。

1回限りの利上げは異例中の異例政策

米国の利上げについてはあまり古い状況を引き合いに出しても意味はない状態ですが、少なくとも2000年からの二回の利上げについては一度利上げがはじまれば一定回数を継続して連続利上げされてきただけに2015年12月に一回だけ上げてほぼ9ヶ月近くなにもしないままになっているというのはFRBの政策上かなり異例といえる状況です。

ひとつはイエレン議長が就任から今日に至るまで相場の暴落といった厳しい洗礼を受けないままに今日に至っていることが上げられます。

他国の中央銀行と比べてもとりたてて市場との対話を重視するイエレン議長ですから、いきなり利上げをするといったことは一切行わない安心感が醸成されていることは間違いありませんが、その一方であまりにもその決定が優柔不断であることも嫌気されはじめているといえます。

株価の状況だけ考えれば利上げは今しかない

米国の株式市場はBREXIT騒動の直後から上昇しはじめS$Pは至上最大のレベルにまで引きあがっており、大きく走らないものの、高値を継続させる状況にあります。

8月に入ってもさらに高値更新が続いていますから、本来株価を見ながら政策を決定しているのではないかとさえ揶揄されるFRBがこのタイミングに利上げを決定しなければもはや利上げを実施するタイミングはないのではないかとさえ言われていますが、残念ながら9月利上げなどの噂が高まることはなく、せいぜい12月に一回の追加利上げがあるかないかが市場の折込具合になってしまっています。

※1S&P株価推移
20160814_01

利上げできない理由を挙げはじめたら切りなし

8月5日に発表された7月の雇用統計結果は5月までの下振れを一気に解消し、雇用が引き続き強いものであることを印象づけました。

平均賃金も少しではありますが、改善しており完全雇用が実現している状況下では、これ以上の数字を望むのは難しいほど、利上げの条件は揃っているといえます。

その一方で9日に発表された労働生産性指標は3四半期連続で低下しており、製造業の労働生産性の悪化からこの先雇用が鈍るのではないかとの見方が広がり、ドル円は大きく売り込まれ、さらに利上げ時期が後退しつつあります。

ただ、足元の状況は2004年の利上げ決定時期と比較してもほとんど遜色のない状況で、これ以上の経済の好転を待っても、ほとんどそうしたタイミングが訪れることはないのではないかとさえ思えるほど条件は揃いつつあります。

また、世界経済についても待てば待つほど利上げが実現できない材料が飛び出してくることは間違いなく、英国のEU離脱問題もいよいよリスクが表面化するのは今年後半ですから、米国が世界経済に配慮しはじめたらもはや利上げなどできない状態に陥ることは間違いありません。

4~6月期のGDP速報値も市場期待から大きく下落し、米国は製造業中心にまだら模様の経済状態が続いているのはどうやら間違いないようです。ただ、もともと米国内の製造業はかなりそのウエイトが低くなってきており、サービス業が中心の社会になってきていることは間違いありませんから、こうした数値のぶれもどこまで気にするのかが気になるところです。

新興国は米国の利上げ後ずれで安堵の日々

イエレン議長の利上げに対するモラトリアム思考にもっとも助けられているのが新興国経済ということになります。

米国の利上げは確実に投資資金が米国に還流することを示唆していますから、ドル建てで債券を発行している新興国にとっては驚異的な状況です。実際昨年末の利上げで世界的に株価が低迷し、その後の米国の利上げ後、ずれ観測がかなり新興国の助け舟となっているのは間違いない状況です。

世界経済の動向を注視するのであれば、本来は2015年12月の利上げもするべきではなかったのかもしれませんが、これまで米国は自国の利益だけを優先して金融政策を進めてきており、ここまで他国に配慮せざるを得なくなったのは実はかなり珍しいことでもあるのです。新興国でのオリンピックはここのところ8年毎に行われていますが、なぜかその年には大きな相場下落が起きるようになっており、このアノマリーが間違いなければ今年のリオ五輪のあとにも大きな相場下落が待っているかもしれません。

当然そうなれば利上げどころではなくなりますが、順番が来るって先に米国が利上げをすればそれが引き金になることも考えておく必要があります。

トランプ政権が誕生すれば利上げは棚上げか?

演説のたびに余分なことを口にして支持率がぐらつく共和党のトランプ候補ですが、クリントン候補のほうもコンスタントに支持されておらず、まだまだ大統領選の行方ははっきりしていないといえます。

トランプ氏は大きな税制改革を打ち出しており、法人税率の引き下げのほか、育児費用の全額税控除所得税率を現在の7段階から3段階に簡素化相続税の廃止-などを主張するとともにTPP加盟についても正式に撤退を主張しはじめています。

この先、財政政策についても大型の出動を示唆するものと思われ、さらに緩和措置を行っていくということで言えば利上げを当分棚上げにする可能性もではじめてきています。

トランプ政権の現実味がどこまで高まるのかは実際選挙が近づいてみないとなんともいえませんが、トランプ政権が誕生することはイエレンFRB体制に変化がでることも考えられ、果たして12月などに利上げになるかどうかはこの大統領選次第ということになりそうで、ここからの利上げ予測はかなり不安定なものになりそうです。

強くはびこる長期停滞論

こうして見てきますと、米国の利上げをめぐる内外の変動要因は確かに多く、イエレン議長でなくてもどう判断するかかなり悩む状況におかれていることは間違いありません。

これを分析するのが仕事のエコノミストならいざ知らず、個人投資家が米国の利上げに対する見通しをもつのはかなり難しいものとなっていますが、米国FRBではクリントン政権時の財務長官であったローレンス・サマーズ氏が強く主張している長期停滞論にFRBの多くの関係者が影響を受けているとも言われています。

もともと長期停滞(secular stagnation)と呼ばれるものは、1930年代後半にハーバード大学のアルヴィン・ハンセン教授が長期停滞論を唱えたことをきっかけに広く用いられるようになり、サマーズが改めて使い始めたことで再び注目されるようになっているのです。サマーズが問いかけているのは、日本のみならず、欧州、さらには世界全体で長期停滞が起きているのではないかということで、この長期停滞論は二つの要素が指摘されています。

1つは経済の「供給サイド」の問題で、労働力人口の伸び率低下による負の影響を打ち消して余りある労働生産性の向上が得られないと、潜在的経済成長力が損なわれることを指摘しています。

もう1つの要因は、その結果として、生産性の向上につながる投資が限界に達し、製品や生産プロセスにおける目に見える技術的進歩にも限界があることによって、起こりうるものとされています。この状況は人口減少と高齢化が進む日本はまさにその対象という印象を持ちますが、既に米国や欧州でも同様の状況が展開されているという指摘をサマーズはしています。

こうなると米国が無理して利上げ政策を行おうとすること自体に無理があるともいえますが、株式市場や商業不動産のバブルを抑制するためには利上げは必須のものであり、FRBが今後どこまで利上げで市場に対応するつもりがあるのかが大きく問われるところにさしかかってきている状況です。

個人投資家にとっては米国の利上げ問題が常に相場にプラスにもマイナスにも影響を与えることとなり、コロコロ変わる市場予測と各地区連銀総裁の発言に引き続き振り回させる相場展開が続きそうです。

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ABOUTこの記事をかいた人

PN 今市 太郎

外資系コンサルティングファーム、外資系生命保険会社を経て独立ビジネスコンサルタントとしてビジネスプロセスコンサルティング、クラウドコンピューティングのリプレイスメントや海外のファンドのM&A投資コンサルティングなどに従事。 そのため、株の売買はインサイダーにならないようにFXだけに特化し2007年から本格的に売買をスタートし、9年の実績。 現在は月間5000PIPSから8000PIPS程度をコンスタントに獲得できるように日々精進している。