2016年、新春第一週目の相場の動きを再検証する

2016年は日付の並びの問題から日本も世界の市場も一斉に1月4日から相場をスタートさせることとなりました。

徐々に動きを見せていくものだと思っていたところ、いきなり市場にショックを浴びせかけることとなったのが上海証券市場の大幅下落サーキットブレーカー導入当日の発動による取り引き中止措置でした。

またサウジアラビアとイランの国交断絶のニュースも混乱する相場の動きに拍車をかける結果となってしまいました。

初日の大幅下落というのはこれまでも無い話ではなかったわけですが、今年の場合まったく留まるところを知らず、その後も人民元の対ドルでの切り下げ、北朝鮮による自称水爆実験、さらにまさかの上海市場のサーキットブレーカー再発動、その日の夜のこの制度の撤廃など、およそマイナスにしか働かない事象が波状攻撃をかけることとなり、

ドル円はいきなり300PIPS近い下落を余儀なくされ、日経平均は前代未聞の5日続落で週を終えることとなりました。

さらに週末最大の追い討ちをかけたのが米国の雇用統計の結果で、強い結果が出たにもかかわらず、ドルが買い戻されることはなく円高が進行し、米国株は週末金曜日もダウで167.65ドルの下落となり、週間ではなんと6.2%の下落で取り引きを終えています。

年明けから悪いことが重なってしまったと言ってしまえばそれまでですが、後追いの相場解説だけではまったく納得ができなかったのがこの5日間ということできます。

とくにドル円は日に何回も1円近く上下動を繰り返しましたので、売っても買ってもストップロスに刈られてしまったデイトレーダーの方も実に多かったと思います。

恐らくこの週をプラスでなんとか乗り越えられたデイトレーダーがいるとすればかなり奇跡的な存在であるといえそうな相場状況です。

週明けの市場にどう向き合うかを考える上でもこの4日の週の5日間、相場で何が起きていたのかを再度検証していきたいと思います。

1.中国市場のリスクは前々から想定されたこと

中国上海市場の動きがおかしいことは昨年の8月の結果を見ても容易に想定できたことですし、米国の利上げを受けて中国人民銀行が対ドルでの人民元の切り下げを行うことも年末から多くの市場参加者の間で噂されてきたことですから、一時的なショックが走るとしてもここまで大きくネガティブな結果を相場に引き起こすとはほとんど誰も想定していなかったのではないでしょうか?

オシレーター系の指標を使ってある程度の値ごろ感から買い向かったトレーダーは悉く串刺しにあい撤退を余儀なくされることとなりました。

しかし、中国の状況がこれだけ株や為替に壊滅的な打撃を与える原因なのかどうかという点については今ひとつ納得が行かない部分も多く残されています。

1-1.中国上海市場の特徴

昨年からたびたび暴落騒ぎを引き起こしている中国上海市場ですが、今回も年初から7%の下落をあっけなく示現し、いきなり導入したばかりのサーキットブレーカーの発動となってしまいました。

先進国の株式市場から考えれば確かに1日7%、翌々日に再度7%を示現して相場クローズドというのはおよそ大恐慌に近い状態といえますが、実は上海証券市場には他国のメインマーケットとは大きく異なる特徴があるのです。

それは機関投資家というものが一切存在せず、市場価格形成のほとんどが個人投資家によって実現されている市場であるということです。

またそのメインプレーヤーの個人投資家はファンダメンタルズやテクニカルツールの利用などお構いなしに市場のセンチメントだけに従い、銀行や証券会社の端末に陣取っては個人間の情報のやりとりで一方向に気分で買い上げたり売り浴びせをしたりする、世界でももっとも稚拙な市場になってしまっているのです。

したがって、確かに暴落に匹敵するような下げを演じても個人投資家に大きな損害が出ているだけで、これが経済実態を反映しているのかと言われれば首をかしげざるを得ない状況であるといえるのです。

この市場の運営方法で行けば、センチメント次第で株式市場の時価総額が半分になることさえ容易に想定できてしまうのです。

一説にはマークイットにPMIの数字が悪くて株価暴落につながったといった稚拙な解説も登場しましたが、実は個人投資家には異なる発想が働いているのではないかとも思えるのがこの市場の一週間の動きとなりました。

図1上海相場推移

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1-2.サーキットブレーカー発動の影で目だたなかった人民元の大幅下落

初日の4日は、サーキットブレーカーの発動だけが大々的に報道されることとなりましたが、実は人民元も対ドルで一気に500ポイント、ドル円で言えば5円程度瞬間に下落する動きが示現しています。

こちらはオンショアで多くの個人投資家が年間の対ドル外貨両替上限の5万ドルを行使したためだとも言われています。

これは多くの投資家が人民元が今後さらに切り下げられることを知っているからこのような動きに出ているわけですが、おかしいのは取り付け騒ぎのように当日に外貨交換ができるものではなく12月末までに申し込んだ人間だけがこうした交換を実施することができる仕組みとなっているわけで、中国政府は国民の外貨両替をたくみに利用して人民元を実質的に切り下げたのではないかとも見られているわけです。

図2人民元下落

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その後も人民元は対ドルで切り下げられることとなりましたが、こうした中国国内での動きがあれば当たり前の話で、現象的に起こった事象というよりは政府がわざと仕組んでいるのではないかとさえ勘ぐりたくなるような動きになってしまっているのです。

その後8日の日本時間朝10時15分の対ドル基準額の発表ではたった10PIPS高く設定されたたけで、ドル円も日経平均も大幅に買い上げられるという異常なレスポンスとなってしまい、当然一息つけば下落して日経平均は5日続落の相場展開となってしまいました。

3-3.中国金融当局の対応もド素人並み

サーキットブレーカーに関する中国金融当局の動きもまったくのド素人並み対応が露見してしまいました。

そもそもサーキットブレーカーのようなものは法制化で実施されるものですから、一旦スタートしたら3日や4日で中止できるような仕組みではないはずなのに、あっさり中止にしてしまいましたし、大口の売りが解禁になるとされた8日も先送りで、すべての制度は朝令暮改の世界を示現することとなってしまいました。

また今回のサーキットブレーカー中止に伴ってかなりの資金を投入して株を買い支えたとも指摘されており、そのためにすでに外貨準備がかなり底をつき、とうとう米国債を売却にまわるのではないかとの憶測も飛び交い始めている始末です。

傍から見ていても中国の金融当局はいったいどうしていいのかよくわからずに場当たり対応に終始しており、今後も驚くべき失策が露見する可能性は十分にあるといえます。

1-4.人民元の切下げは年間で10%から15%を想定という声も

米国が利上げをしたことから中国政府はとにかく貿易額回復のためにも人民元の切り下げを早急に行いたかったのは間違いないようですが、この大幅切り下げ策は近隣窮乏化政策以外の何者でもなく、結局世界的なデフレの引き金を引きかねない状況といえ、輸出額は増えても原料の購入は高くつくわけですから、最終的な輸出競争力が高まるとは思えない状況で、先進国にとってはなんらうれしい話ではないことがわかります。

このように中国関連の動きはどこまでが想定内なのかどこからが想定外なのかもよくわからず、しかも世界中の相場が異常に過敏にその動きに反応してしまうため、雇用統計の結果などは完全に吹っ飛んだ状態になってしまっています。

週明けからも恐らく2月の旧正月で相場が閉場になるまでは当分こうしたイタチごっこのような相場展開を覚悟しておかなくてはならないと考えられます。

ただし、今足元の中国で起きていることは、ここへ来て経済が急激に悪化したために起こっていることではなく、累積状況の上にいきなり示現してきている状況に過ぎませんから、日々の動きに一喜一憂しすぎる相場の妙なボラティリティの高さにはかなりの違和感を覚えざるを得ません。

2.サウジアラビアとイランの国交断絶で起きるのは原油暴騰ではなく、さらなる下落

一方、欧米系の投機筋などを震撼させているのは、サウジアラビアとイランの国交断絶による地政学リスクの高まりです。

国内のメディアでは原油暴騰といった間違った予測が飛び交いましたが、サウジアラビアは明らかに大増産により原油価格を徹底的に下落させ、イランもロシアも採算割れで市場から撤退を余儀なくさせられる破滅的事態を画策していることはほぼ間違いなく、今後も一切減産の見込みはないことから、投機筋のトリッキーな動きでWTI先物価格が20ドル台に突っ込むのも時間の問題ではないかと見られています。

本来は現状のラインでも十分に底値ですが、さらに下落を画策している連中がいる以上、今の状況で収まると思わないほうがいい状況です。

2-1.オイルマネーの世界市場からの換金の動きはかなり深刻なものに

中国の相場が売れないからヘッジで日本の株式市場が売られているという解説も多く聴かれますが、それとは別にオイルマネーが国内の安定的大型株主から続々と撤退して換金売りにでていることも見逃すことのできない事態です。

今回の騒動の主導国であるサウジアラビアは本格的に財政資金が枯渇し始めており、あともう少しで赤字国に転落する可能性すらでてきている状況です。

今年は国債を発行するようですが、その前にあらゆる換金可能資産を売り飛ばす動きに出ることは間違いなく、そこまでしても原油価格を下落させてイランを根絶やしにしようという執念を感じさせる動きになっています。

それだけに原油価格が下落すればあきらかにオイルマネーはあらゆる金融市場から資金を引き上げることになりますので、日本株が大幅下落することはほぼ間違いない状況なのではないでしょうか。

2-2.年末のエネルギー系のファンドの解散や破綻の売りが粛々と進む市場

年明け日経平均のみならずNYダウも5日続落で下落が止まりませんが、年末に破綻や解約の相次いだファンドの持ち株や債券が年明けから粛々と売られていることも株価を下げる大きな原因となっているようです。

エネルギー系のジャンク債ETFは利回りのよさから当座は買いが入っていますが、下落余地はまだまだあるのが実情で、炭鉱のカナリアと呼ばれる
iシェアーズ iBoxx 米ドル建てハイイールド社債 ETFもさらなる下落リスクにさらされることが心配されます。

20160110_04

欧米系の投資ファンド勢は年明け以降、特別な売り仕掛けなどを行ってはおらず静観しているのが実情といわれます。

今の売りはあきらかに年末の敗戦処理の一部にオイルマネーの撤退が増幅している可能性が高いといえそうです。

2-3.エネルギー系企業の破綻もぼちぼち現実のものに

昨年はスイスのグレンコアの破綻が危惧されましたが、今年はそれだけではなくエネルギー系の企業の破綻がいよいよ現実のものになりそうな気配で、こちらもこの先サウジの動きに連動して具体的に顕在化する動きが心配されます。

1月4日までの一週間ではここまでの動きにはなっていませんが、破綻予備軍は非常に多いのが現実で、特に米国の証券市場でのインパクトが大きくなりそうです。

このように、原油問題は中国の問題のようにこれまであからさまにならなかったものがいきなり示現したのとは異なり、本当にオンゴーイングで事態が悪化していますので、引き金の引き方次第では大変な暴落がやってくる可能性がある状況です。

実際には中国以上に深刻なのがこちらの問題なのではないでしょうか。

3.FRBは1937年の再来のボタンを押してしまった可能性も

中国の問題も原油の問題も書き出したら胃が痛くなるほどのリスク満載で身震いがする状況ですが、それにもまして、こうした世界的な不安定な状況を作り出している大きな背景にあるのが年末のFRBにる米国の利上げなのではないかという説も急激に浮上しています。

たしかに0.25%だけの利上げで大きな影響がでるとはいえないものですが、1937年の利上げ時は2015年よりもはるかに経済状況がよかったにもかかわらずその後株価は5割下落し、なんともとのレベルに回復するまでに8年も時間がかかり、この間に世界大戦にまで突入するという最悪の事態を経験しています。

世界最大のヘッジファンドのCEOであるレイダリオや前米国財務長官であったローレンスサマーズは0.5ベイシスポイントまでは株価は下がらないと予想していましたが、新債券王として市場を当てまくってきたダブルラインキャピタルのジェフリーガンドラックは、今回の利上げで株価は大きく下落すると予想しており、実際に年明けの相場は大幅に下落しています。

今回の利上げがこれまでの米国の利上げと大きくことなるのは都合3回の量的金融緩和でこれまでにはありえなかったほどの資金がマクロ的には流入されたままで、いきなり元栓を締める動きにでていることで、多くの市場で資金を引き上げる動きが出始めている可能性は高いといえます。

その意味ではすでにFRBは相場の暴落ボタンをまんまと押してしまったのかもしれない状況なのです。

4.相場の高止まり状態から多くの投資家が危機感を覚えるセンチメントに

米国の株式相場はリーマンショック以降、一度も調整らしい調整なく1万8000ドル台まで上り詰め、直近では調整しているものの、まだまだ高値圏での推移を継続しています。

こうした天井感の継続が、もしかすると暴落するかもしれないという市場参加者への潜在的な脅威になっている可能性も否定できない状況です。

こうした心理が市場全体に働いているので、中国の問題にしてもサウジの問題にしても異常なほど神経質に相場が反応してしまっているとも言えそうで、こうしたセンチメントが続く以上、高値に戻ったら当分戻り売りで対応するのが正しい相場観なのかもしれません。

1月相場は例年前半と後半とではころりとセンチメントが変わることもあるのがアノマリーとなっていますが、どうも今年の相場は例年とは異なる気配が濃厚になってきています。

ひょっとすると梅が咲く前にさらなる暴落が起きる可能性も視野に入れてトレードをしていきたいところです。

5.直近では市場参加者が少なく既に流動性パニック気味の相場状況

この立ち上がり一週間ではどうみても市場参加者が少ないことも気になります。

投機筋はとにかく静観しているようですし、そもそも流動性が枯渇している中で下落リスクがでると必要以上に相場が下落する動きになっているように見えて仕方ありません。

ドル円は20ヶ月移動平均の116.96円レベルを割れば一気に走るかどうかは別としても110円以下にまで下落する可能性が高く、その分ユーロドルは1.2方向に駆け上がる可能性が高くなってきています。

この1月相場はこうした、まさかが現実のものになりそうな嫌な予感がし始めている状況です。

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ABOUTこの記事をかいた人

PN 今市 太郎

外資系コンサルティングファーム、外資系生命保険会社を経て独立ビジネスコンサルタントとしてビジネスプロセスコンサルティング、クラウドコンピューティングのリプレイスメントや海外のファンドのM&A投資コンサルティングなどに従事。 そのため、株の売買はインサイダーにならないようにFXだけに特化し2007年から本格的に売買をスタートし、9年の実績。 現在は月間5000PIPSから8000PIPS程度をコンスタントに獲得できるように日々精進している。