米大統領選挙、ドイツ銀行、サウジアラビア問題、10月は相場の大幅下落も

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2016100201

いよいよ今年もあと3ヶ月ということで10月相場がスタートしますが、例年シーズナルサイクルだけでみてもなかなか取引の難しい10月であるのに、今年は米国大統領選挙年であり、しかもここへ来て足元では次々とこれまで市場がまったく織り込んでこなかったような新たなリスクが浮上してきており、かなり難しい取引を強いれられる時期にさしかかってきている状況です。

年末に向けて相場は上昇するのではないかぐらいの軽い気持ちでポジションをもっていると相当痛めつけられる可能性もでてきていますので、とにかくしっかりとした現状認識をした上で売買を進めて行くことが重要になります。

大統領選挙年の10月米国の株価は大きく下落するアノマリー

一般的に秋の米国の株式市場は9月に一定の下落を見た後10月には多少戻るのが通常のパターンなのですが、大統領選挙の年の10月相場はこれまで、ほぼすべてといって良いほど下落して終わるのが特徴となっています。

その下落幅は月間でいいますとダウ平均が-0.8%、S&P500で-0.7%、ナスダックで-2.1%となっていますが、これは月初と月末の比較での下落幅で、実は10月初旬にかなり大きく下押しすることが非常に多くなっているのです。

これはすでにアノマリー化していますが、明確な理由はよくわかっていません。しかもこのタイミングに大幅下落した年の大統領選挙は政権政党が変わるというおまけつきで、現状で言えば大幅下落となると民主党から共和党トランプ政権が誕生する可能性も高まるということになってしまいます。

急浮上したドイツ銀行問題

9月21日の米国FOMCを通過して相場は比較的落ち着いた動きを見せるかと思いましたが、それと入れ替わりに米国司法省が過去のモーゲージ担保証券の不適切販売をめぐってドイツ銀行の140億ドル、日本円にして1兆4千億の和解金を提示したことから、ドイツ銀行が資本不足に陥り破綻するのではないかといった報道が大きくクローズアップされ、株式市場はどこの国も金融株を中心として大きく売られる展開が続いています。

すでに米国内の銀行はこの件では和解金を支払って一件落着となっているもので、今回はドイツ銀行のほかに英国、スイスの銀行にも同様の和解金支払いが突きつけられています。

市場ではドイツに対する米国政府の包囲網の一環でフォルクスワーゲンへの攻撃につぐアタックなのではないかといった見方もされていますが、大統領選挙を控えたこの時期に、ややもすれば自国の株式市場にも影響を及ぼしかねないドイツへの攻撃をなぜ進めているのかという点は市場内でもある種の陰謀説を含めてかなり憶測を深めている状況です。

直近のメディア報道では140億ドルといわれた和解金が54億ドルで決着しそうだといった内容もでてきており、なぜ最初にこれだけ巨額の数字が飛び出したのかについてもさまざまな憶測が飛び交いはじめています。
ドイツ銀行は米国司法省への和解金支払いのほかにも多額の運用となっているデリバティブ取引に大きな含み損を抱えているのではないかといった疑惑が高まっています。

市場ではさまざまな憶測数字が飛び交いましたが、直近のドイツ銀行のIR資料によれば同行のデリバティブへの総エクスポージャーは想定元本で46兆ユーロ(約5215兆円)相当で、相殺決済と担保を含めるとデリバティブ取引の資産は410億ユーロとなっており、果たしてこれにどのぐらいの含み損を抱えているのかが大きな焦点となりつつあります。

さらに足元ではドイツ銀行の顧客であるヘッジファンドの一部、10社あまりが同行へのエクスポージャーの縮小に動き出しているといったネガティブな報道が飛び出し、一段と株価を下げる動きも示現しており、実態のリスクのレベルとは別に風評的なリスクから本当に危機的な状況になりかねない大きな試練を迎えていることは事実となっています。それだけにここからのドイツ銀行の去就がきわめて注目されます。

OPEC減産合意も束の間、サウジ米国の対立懸念が浮上

直近の相場では8年ぶりにOPECとOPEC非加盟国の会合で、原油減産合意の報道が出たことから市場はリスクオンの動きを強めることとなりましたが、それと時を同じくして米国の上下両院議会がテロ支援者制裁法を成立させてしまったことから、今後サウジアラビアと米国の対立が強まることが懸念されはじめており、特に金融市場の大きな影響を与えることが危惧されています。

今回成立した法律は2001年の米国同時多発テロの被害者救済のために外国政府に損害賠償を求めることを可能にするテロ支援者制裁法と呼ばれるもので、これまでオバマ大統領が同盟国であるサウジアラビアとの関係を著しく悪化させるものになるということから大統領拒否権を行使し続けてきたものであったにもかかわらず、今回それをすり抜けて法制化が実現してしまうという極めてサウジアラビアにとっては不快なものとなっているのです。

そのため制定後は、さっそく同時多発テロの遺族らがサウジアラビアを相手取って訴訟を起こすことが予想され、少なくとも日本円にして1兆円を超える損害賠償額が請求されることになると見られています。

サウジアラビアがこうした支払いに応じないことになれば米国内に多数ある資産の凍結や差し押さえといった動きにもなりかねないため、ここからはサウジによる米国内資産の換金が大きく進むことも予想されます。これまでサウジアラビアは莫大な利益となってきたオイルマネーを米ドルにより米国内市場で運用をしてきており、米国債の保有残高ひとつとってみても日本円でほぼ75兆円を保持していると見られることから、今回の法律実施の報復として米国債の売り浴びせに転じれば、金利が短期間で大幅に上昇し、米国債の価格が一気に下落することも考えられます。

また米国企業の株式保有量も半端な数字ではないことから、株式市場にも大きな影響が出る可能性が高まっているのです。

サウジアラビアリアルの変動相場移行が行われればさらに深刻な事態に

サウジアラビアの対米国報復措置は資産売却だけに限らないとも見られています。
そのひとつとなるのが長年ドルペッグ制をとってきた為替の変動相場制への移行です。今回サウジが自国通貨の変動相場制に切り替えた場合、おそらく最低でも20%以上のリアル安が示現することになると見られることから、原油価格にも大きく影響がでることが予想され、せっかく高値安定にこぎつけようとした原油減産措置は水の泡になりかねない状況に直面することになりそうです。

米国債の売却と変動相場制の二つを同時実施すれば、再び原油先物価格は30ドル台以下へと下落しますし、FRBも今年の利上げを完全に見送ることなり、しかも株価が大きく下落するといった危険性もはらみ始めているのです。

市場ではこのサウジと米国の思わぬ対立はまったく織り込んでこなかったものだけに本格的に金融市場でサウジが報復措置を実行した場合、予想をはるかに超える形で深刻な事態が示現する可能性が急激に高まりつつあります。

大統領選挙年の10月はそうでなくても株式相場に波乱が起き易いわけですが、このドイツ銀行サウジアラビアの問題がさらに大きなイシューとして拡大した場合には、相場の暴落といったことも想定しかなくてはならないところにさしかかってきています。

とりわけ為替の売買は大きな影響を受けることが必至の状態ですから、迂闊なポジションをとることはできるだけ避けて、リスクオフに備えられるような売買を心がけることが必要です。とくに10月初旬からの2週間はくれぐれも気を使った売買を心がけるべきでしょう。


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