8月24日のドル円フラッシュクラッシュでわかった200日MAの重要性

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る
※この記事は547で読むことが出来ます

0902_01

8月24日のドル円暴落をチャート上でリアルタイムでご覧になっていた方は理解されていることと思いますが、この下落は人が集まって売りがかさんだというよりは米国の株式価格の下落に合わせてアルゴリズムが起動し、一気にあらゆるストップロスを巻き込んで116円台まで突っ込んだ、いわばフラッシュクラッシュによるもので、116円をつけてからの戻りもかなり早いものでした。

本来120円近辺で止まると思って買いをいれていた向きも多かったと思いますが、実態としてはまったくサポートにならず、多くのストップロスをただただ巻き込んで下落していったという印象です。

1.200日移動平均線を割り込んで多くのアルゴリズムが起動?

200ma

今回のドル円の下げが特に加速したのは200日移動平均線を下抜けてからだったといえます。

日ごろ200日移動平均線というのは、ドル円についてはそれほど意識するレベルではありませんが、今年は比較的相場が長くレンジで膠着していたこともあって意外にドル円の200日移動平均線は高いところを推移していたことが改めてわかります。

昨年10月末のまさかの黒田バズーカ2以降は上のチャートを見てもわかるように、ドル円はしっかり200日移動平均線を抜けるということはありませんでした。

しかし、今回かなり明確に抜けてしまったことは非常に重要な結果をもたらすことになりそうです。

既に1月16日の115.86円と4月30日の118.500円を通るサポートラインも200日MAも下回っていますからこの先、雲の上限が来年1月まで上昇する局面になっては、時がたつほど雲のなかに週足が突入するという格好になり、既に今年のドル円におけるドル高は125.86円と125.28円のダブルトップで終了している可能性もでてきているのです。

2.200日移動平均は投機筋のきわめて重要なコストライン

ある金融機関のレポートによれば、今年前半のヘッジファンドの平均利回りは3.7%とかなり低空飛行を続けているとのことですが、投機筋が株の高値膠着、コモディティの暴落に、中国リスクを受けて儲かっていないという話が随所から聞こえてきます。

そうした投機筋にとって200日移動平均線というのはほぼ1年前からの平均コストですから、これを平気でドル円が下回ってしまうというのは確かに指をくわえてみていられないレベルです。

アルゴリズムがこれに反映して一斉に売り浴びせを行うというのもかなり理解できることといえます。
それぐらい大きなコストラインが200日移動平均線なのだということを改めて認識させられた状況が8月24日であったといえるでしょう。

3.9月は例年米国株価が最も下落するシーズン

さて、ここからドル円はどうなるかですが、9月は例年もっともNYダウが下落するシーズンといわれます。また米国では大統領選挙の前哨戦がはじまることから毎回ドル円は下落傾向が続く時期にさしかかります。

さらにこの24日の下落以来、米国の株価が下落するとユーロと円が買われる動きにトレンドが変化してきていることも注目されます。

チャートの動きではだいぶ元に戻しているという見方もありますし9月4日には一目均衡表の雲がさらにねじれることから上方向を予想する向きもいるようです。

果たして雇用統計とその後の米国の利上げへの動きを含めてドル円が再度上昇過程に入れるものなのか注目されています。

再上昇があるとしても、一旦もう少し下方向を試す可能性はまだ残されているのではないでしょうか。

とくに大幅な下落があった後は2週間後ぐらいにまた下落方向に動くというのがドル円の過去の事例になっていますので、今回もこの動きがあるとすれば下押しの可能性がかなり高まるものとなります。

4.長期停滞論のローレンス・サマーズ元米国財務長官が微妙な発言

Lawrence

最近ローレンス・サマーズがかなり微妙な発言をツイッターで行い市場では話題となっています。

「1997年、1998年、2007年、そして2008年のように、私たちは非常に深刻な状況の始まりにいる可能性がある」

とツイートしたのがその内容で、サマーズは長期停滞への処方箋として、財政出動が最も有効だとも述べています。

このローレンス・サマーズはFRBを席捲するMIT学派の精神的な支柱であるだけに、こうした発言がどれだけFRBのオペレーションに影響をあたえていくことになるかはまだはっきりとは判りませが、米国がかなり利上げのチャンスを逸する状況に置かれていることだけはどうやら間違いないようです。

例えば12月となった場合には事実上今年は利上げがないというシナリオも想定しておくことが必要な状況になってきているとも言えそうです。

5.KKR以下のPKOは10月のGPIFとの統合運用のためにドル買い中

KR(国家公務員共済組合連合会)と地方公務員共済組合連合会、日本私学振興共済事業団は、10月1日のGPIFとの積立金運用一元化に向けてポートフォリオを
GPIFに近づけなくてはならないため、ドル円を買い上げているようで25日以降の不思議なドル円の買上がりもこれが理由ではないかと言われ始めています。

GPIFにおける26年度運用資産額・構成割合は国債39.4%に、国内株式22.0%、外国債券12.6%、外国株式20.9%、短期資産5.1%ですが、21兆円の運用資産を持つ地方公務員共済は単純に計算しても外物40%に対し26.5%でほぼ2.8兆円の外貨買いニーズ。

同様に66.5%、12.5%、2.6%、12.2%のKKRも7.8兆円の25.2%=2.0兆円の外貨買いが必要になります。

これが9月末までに本当に実現されるかわかりませんが当面ドル円の下値サポート材料となることは考えられます。ただし、この買い付けが終わるとPKOもほぼ終了ですから下値を誰が支えるのかが大きな問題になりそうで、官製相場のこれまでの構造にも変化が出る可能性が高まるといえます。

6.一方向に動くことを決めうちせずに両方向の可能性を探る局面に

8月24日を境にした一旦短期下落トレンドがでてからこれまでと市場の様子が変わってきていることだけは間違いありません。

妙に各市場のボラティリティは下がっていますし、今回の暴落をきっかけとして米国の債券にお金が流れ込んでいるわけでもなく、FLY to QUALITYも明確には出ていないのが現状です。

なんとなく状況が変わりつつあることを察知している市場関係者は多いようですが、この先再度明確なトレンドがでるまでは様子をみながら小さなポジション、あるいはレバレッジを下げた取引にタイトなストップロスで売買していくという注意深さが必要になりそうです。

とくに9月は中国の粛清人事がかなり断行されるようで、それにともなう整合性に欠く動きがさらに顕在化してくることは容易に想像がつく状況です。

人民元の切り下げも最低限10%程度は行われない限りあまり意味がないとの説も出てきていますので、9月に中国がらみで大きな動きがでることはまだまだ可能性として否定できない状況です。

少なくとも9月については十分様子を見たうえで相場に臨むことが肝要です。

最近よく話題にでる米国でもっとも成功しているヘッジファンドのブリッジウォーターアソシエイツのCEOレイダリオはすでに今年後半の投資規模を縮小して利上げによる変化に対する準備を行っているといいます。

これまでに金融市場で大きな利益をあげてきたプレーヤーほど利上げによる市場の変化というものに神経質になっているという事実はしっかり認識しておく必要がありそうです。

そのぐらい米国の利上げによる政策変更は世界の金融市場に予想外の事態を引き起こす可能性があるということなのです。

24日の暴落も直接的な引き金は確かに中国市場ですが、その背景にうっすらと米国の利上げ問題が市場をざわつかせていることは間違いなく、このまま何もなく利上げ後の市場がスムースに展開すると考えるのはかなり難しくなりつつあるのです。


  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*